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婚約破棄されてヤケ酒したらお忍び中の王弟殿下が釣れました  作者: 朝霞 花純@電子書籍発売中


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10/23

第10話 婚約①

また予約ミス……。


明日の投稿予定分を誤投稿してしまったので、明日の投稿はお休みするかもしれません。

 シルヴィアがルークを連れて、ローランズ公爵邸に帰ってきた翌朝。

 

 ダイニングで朝食を食べていたシルヴィアに父であるデイヴィットが告げる。


「そうそう、シルヴィ。今日も午前中にルーク殿が我が家に来るから、食べ終わったら彼をお迎えするのに相応しい装いをしておけ」


(は!? 今日も来る? 一体何をしに?)


「お父様、彼は一体何の用事で来られるのですか?」


「それは彼が来てからシルヴィに話す。今の時点で言えることはシルヴィ、お前に関する話だ」



 食後の紅茶を全て飲んで、シルヴィアは自室に戻り、言われた通りにルークを出迎えるのに相応しいように着替えて身なりを整えた。



 今日のドレスは落ち着いた印象のネイビーのドレスだ。


 ドレスのスカート部分には細かいダイヤモンドの粒が縫い付けられており、光が当たる度キラキラと輝く。


 髪型は全体的にコテで巻いてくるくるにした後、ハーフアップにしてもらい、真珠の髪飾りをつける。



 準備が出来たシルヴィアは玄関に出向く。


 するとちょうどルークが到着したようである。


 今日のルークは仕立ての良い一張羅の正装で、手には真っ赤な薔薇の大きなブーケを持っている。



「おはよう、シルヴィ。今日も君に会えて僕は嬉しいよ」


 ルークは今日も朝から麗しい笑顔だ。


「ルーク、おはようございます」


「今日は閣下と会う約束があってお邪魔させてもらったんだけど、閣下と会う前にシルヴィと話をしなくちゃいけないから、まずシルヴィの部屋で話をさせてもらってもいいかい? 誓って不埒なことをするつもりはないし、部屋のドアを開けて外から使用人が部屋の様子を確認できるようにして構わないから」


 ルークは真剣な表情だったので、シルヴィアは彼を信用することにした。


「わかりましたわ。では、私の部屋で話を聞かせて頂きます」


「ありがとう、シルヴィ。じゃあ君の部屋に案内してくれる?」


「はい。では、ついて来て下さい。それとカレナは私と一緒に来て」


 カレナはシルヴィア付きのメイドの一人である。


 シルヴィアより3歳年上で、年齢が近く、主従関係ではあるもののシルヴィアにとっては姉のような存在である。

 

「シルヴィアお嬢様、畏まりました」



 シルヴィアの部屋はローランズ公爵邸の二階の角部屋である。


 彼女が自室で気に入っているところは日当たりが良く、部屋から公爵邸の庭園が見えるところだ。


 

 シルヴィアとルークは部屋の中に入り、カレナは開いたドア付近で控える。


「ここがシルヴィの部屋かぁ~…。結構女の子っぽい部屋だね」


 ルークはきょろきょろと室内を見渡す。



「可愛いものは人並に好きなので部屋は割と可愛い感じにしていますの」


 レースのカーテンや繊細な彫刻入りの書き物机、猫足のソファーに天蓋付きのベッド。


 ただし、可愛いと言ってもレースやフリルでゴテゴテしたものばかりではなく、アンティーク調の上品さのあるもので、室内は家具を含めて落ち着いた色合いのものが多い。



「ルーク、こちらに座って下さい」


 シルヴィアはソファーに腰掛け、ルークに座るよう指示する。


「失礼するよ」


 ルークが隣に腰掛けたところで、本題に入る。



「それで、私に何のお話が?」


「単刀直入に言おう。シルヴィ、僕と婚約してくれないか?」


「え……? どうして私と婚約……? な、何かの冗談ですわよね?」


 ルークは真剣な表情をしており、ふざけた様子は全くない。


「冗談なんかではない。僕は真面目に言っている」


「私とあなた、一昨日会ったばかりですわ。婚約する理由がわかりません」


(昨日、ルークの屋敷で”責任を取って欲しいということであれば責任を取る”とは言っていたけれど、あの時は軽い感じで言ってたから口から出まかせで言ってるだけかと思ったのに……)


「理由を言わないと、シルヴィは当然納得はしないだろうから説明するね。シルヴィは早く次の婚約者を決めないと足元を見られて、君が望まない婚約をする羽目になる可能性がある。それを回避する為に僕との婚約だ。僕以上に条件面でシルヴィの婚約相手にいい者はいない」


「望まない婚約って具体的には? 婚約破棄されたばかりでまだ次の婚約なんて考えられないのですが……」


「確かに考えられないのはわかる。わかるけれど、早急に決めなければならない話なんだ。望まない婚約っていうのは、訳ありと後妻、王家から婚約破棄をなかったことにしての復縁。考えられるのはこの三つ。訳ありと後妻は説明はいらないだろうから省略するね。王家からの復縁については文字通りの復縁。だけど、元々の婚約とは条件が違う」


 ルークはそこで一度区切り、説明を続ける。


「シルヴィ、君は酒場で”婚約者の両親は婚約破棄と新たな婚約について了承している”と言っていたけれど、それは嘘で、僕はフィリップ王太子殿下が国王陛下夫妻の了承を得ないまま婚約破棄したと思っている」


「え……?」


「いくら息子を甘やかしている国王夫妻でも流石に、公衆の面前でフィリップ王太子殿下が君と婚約破棄して、その後釜に男爵令嬢を据えることを認める訳がない。事前に根回しがあったならば、少なくとも公衆の面前でな、く関係者を集めて内々に婚約解消になっていたはず。元々王家から頼み込んで成立した婚約を王家の方から破棄するだけでも相当な顰蹙ものなのに、新しい婚約者は男爵家令嬢。どれだけローランズ公爵家を馬鹿にすれば気が済むのかという話になる」


「あの時はあの場の雰囲気に従ってそこまで深くは考えなかったけれど、確かに事前にフィリップ王太子殿下が国王夫妻に根回しをしていたならば、少なくとも公衆の面前ではなかったでしょうね」


「これから先、王家がどんなことを言い出すのか現時点ではまだわからないけれど、可能性の一つとして、フィリップ王太子殿下は廃嫡されずそのまま王太子のまま、正妃と側妃にシルヴィとエミリー嬢の両方を迎えることが考えられる。どちらが正妃でどちらが側妃かはさておき、問題なのはフィリップ王太子殿下が、王妃がやるべき公務や執務をシルヴィに押し付けて良いように利用しないかということなんだ。例の男爵令嬢はとてもじゃないけれど、公務をこなせそうな人物ではないよね?」


「あの感じでは公務は出来そうにないですわね。その流れで私に婚約者がいなければ、婚約破棄をなかったことにして足元を見られる可能性がありますわね。書類不備でまだ書類上では正式に婚約破棄されておらず、婚約破棄に伴う慰謝料の支払いなどは完了しておりませんので、一から婚約する場合に比べて事務処理は少ないですし」


「これほどまでの仕打ちをされて、シルヴィはフィリップ王太子殿下に嫁ぎたいという気持ちはもうないよね?」


「ええ。王家に利用されるのは勘弁して頂きたいですわ」


「じゃあ僕との婚約を了承してくれる?」


「最終的にお父様のご意向も伺わなければなりませんが、私個人としてはルークには悪い感情は持っておりませんわ。でも、結局未だに私はあなたの家名も知らないから悪い感情はないというだけでお返事することは出来ませんわ」


 シルヴィアがそう告げるとルークは神妙な表情になる。


「シルヴィ、黙っていてごめんね。僕の名前はルーク・ベレスフォード。ベレスフォード公爵家の現当主、そして現国王陛下の弟なんだ」


 シルヴィアは驚きのあまり目を見開く。


(ベレスフォード公爵で現国王陛下の弟!? それはちょっと私には正体を言いにくいわよね。言ってしまえば婚約破棄は彼の身内が起こしたことだし……)


「まぁ! そうでしたの。私達、社交の場で挨拶はしたことございませんわよね? 私のことをご存知でしたの?」


「確かに挨拶はしたことはないね。甥の婚約者だから名前は知っていたし、こう言うと気持ち悪いかもしれないけれど、遠目でちらっとシルヴィを見かけたことはあるよ」


「やっぱり対面して挨拶したことはなかったのですわね。ルークについて教えて頂きましたが、ルークの方は本当で私と婚約してよろしいのですか? 私は婚約破棄された傷物令嬢でそんな私が公爵家当主のルークと婚約して問題はないのですか? ルークは私と婚約することで自分の家族の不始末の責任を取るという話でしたら、ルークに申し訳ないですわ」


 シルヴィアは憂いの表情でルークに尋ねる。


「シルヴィ。僕は自分の身内の責任を取って君との婚約を提案している訳ではないよ。確かにシルヴィを取り巻く状況を考えたらすぐ婚約者を決めた方がいいことと条件的に僕はシルヴィの婚約者に良いというのも事実。それに僕はもう王族の籍は外れているから王家絡みで嫌な思いをすることもない」


 そこでルークは一度言葉を区切る。


「でもね、それは建前。僕が婚約を申し出た一番の理由はシルヴィのことを好ましく思っているから。僕は酒場で出会ったあの日、シルヴィに惹かれたんだ。理不尽に耐えながらも頑張ったシルヴィを僕が甘やかしてあげたい」


 ルークは跪いて赤い薔薇のブーケをシルヴィアに差し出す。


「シルヴィ、貴女のことを愛しています。僕と婚約して頂けますか?」


「はい……!」



 シルヴィアは了承の返事をし、薔薇のブーケを受け取る。


 すると、ルークがいきなりシルヴィアをグイっと自分の方に抱き寄せる。


 自分と年齢の近い男性に抱き寄せられたのは初めてのシルヴィアはドキドキした。


「ありがとう、シルヴィア」



 ルークはそう告げるやいなやチュッとシルヴィアの頬にキスする。


 その時は呆然としていたが、何をされたのか理解したシルヴィアは徐々に顔を真っ赤にする。


「ふふっ、真っ赤になったシルヴィも可愛いね。ここはシルヴィの気持ちが追い付いてからするね」


 ルークはシルヴィアの唇をちょんと突きながら宣言する。


「もうっ、ルークってば……!」 

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