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1話

 遥かな、昔。

 人類はおろか、星さえもなく、世界が混沌の海と、それを照らす天上の王、神の城のみだったころ。

 ベルゼブブは憤っていた。

 新たな神、混沌の海に産まれし麒麟児、YHVHは、混沌の海に住まうもの全て、種族、性別、年齢の区別なく殺戮した。

 ベルゼブブは混沌の海の王であった。

 ダイオウイカであれ、クジラであれ、人魚であれ、そこに生きる命総てを愛した。

 だが、彼は真の名をYHVHに看破され、混沌の神の座から悪魔に落とされた。

 YHVHを読めるものがいようか?

 居ない。ベルゼブブがその神名をメロディーに乗せ歌にしたように、YHVHもまた神名を隠すために自分の名前から母音を消した。

 そして、ベルゼブブは悪魔として、暴力の神、YHVHに立ち向かうことを決意した。

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