階段の悲劇
俺と愛美ちゃんは電車から降りてから、
駅の階段を上がっていた。
「階段上がるの大丈夫?。疲れてない?。」
「うん、大丈夫だよ。」
そうか、なら良かった。
「愛美ちゃん!」
少し目を離した隙に愛美ちゃんは
階段から転がり落ちていた。
頭から、大量の血が出ている。
俺は、持っていたハンカチで、
止血しようとしたけれど、
ハンカチがあっという間に血に染まってしまった。
「おじさん、もう大丈夫だよ。」
「大丈夫って、とても大丈夫に見えないよ。」
そうだ救急車を呼ぼうと思い、
携帯に番号を打ち込んでいると、
愛美ちゃんは俺の腕を掴んで、
「本当にいいの!」
と言った。
「愛美、幽霊なんだよね。」
幽霊?いきなり何を言っているんだ?。
「ずっとここで、繰り返してるの…。
この死にかたを。」
「でも、もし幽霊というのが本当だとして、
愛美ちゃんは、足が透けていないし、
触れるじゃないか。」
「よく分かんないけど、
愛美は幽霊に出来ないことが出来るの。」
「そうなんだ。」
「ずっと繰り返してるって言っていたけれど
それは、どういう意味なの?。」
「それは…。
この後いつの間にか次の日になっていて、
また、これを繰り返すの。」
これをずっとこの子は繰り返していたのか、
苦しかったんだろうな。