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月桃館503号室の男 ~黒衣の刺客~  作者: 山極 由磨
第二章・黒衣の刺客現る
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黒衣の刺客現る その4

 20式を連発に切り替え引き金を引く。7.5(ミリ)の鉛弾が黒い影に殺到するが悉く交わされる。

 嘘だろ?弾を避けてる?いや、銃口の向いた位置を見ているのか?それにしても!

 気が付けば目の前に迫っていた。

 頭全体を覆う頭巾に覆面そして円套マントすべて黒一色。

 頭巾と覆面の間に唯一みえるそいつの目は、明らかに怒りに燃えていた。

 なぜ?と考える前に20式を突き出して機関部と弾倉で奴の刃を食い止める。

 金属と金属が軋む音がして手首に嫌な感触が伝わって来る。

 所詮は密着加工の機関部と弾倉、相手のバケモノの様な腕力に耐え切れずひん曲がってきたのだ。鍛え上げられた鋼では受け止めるだけでやっとか?

 腹のあたりに蹴りを入れる。奴は素早く飛びのいて蹴りを交わすが、その隙に俺は通りに躍り出て自動車や荷馬車に轢かれそうになりながら連合租界めがけ走る。

 目の前に租界の入り口である関門。その左右には租界憲兵隊の詰め所。

 砂色の制服姿の憲兵二人が、全裸で駆けてくる中年男の姿に面喰い、歩兵銃を取るのも忘れあっけにとられ茫然と立っている。

 俺は叫んだ。


『人殺シニ追ワレテマス!助ケテクダサイ!!』


 俺の背後から迫って来る凶器を持った奴の存在に気付いた憲兵は、歩兵銃の存在を思い出しそれを構えて静止を命じるが、勿論そんなもん聞かない(わからない?)奴は構わず通りを走る車を飛び越え、詰め所に迫ると奴は憲兵にも襲い掛かった。

 が、そこは流石精鋭と言われる租界憲兵隊。正確な連射を加えるがそれも交わされ一発も当たらない。

 だが、夜の租界に響き渡る歩兵銃の派手な銃声は、租界側からは他の憲兵、周囲からは拓洋警察の巡査をかき集める事になり、多勢に無勢と悟った奴は巡査の追跡を振り切り闇に消えた。

 なんとか助かった?

 俺は真っ裸で憲兵詰所の前に座り込む。石畳の冷たさが、生のケツに痛いほどだった。

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