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 漫画、ゲーム、小説、アニメ等、誰かの創った作品で、他者に強く愛された世界、というものは、人の想いの力で新しい世界として創造される。創造された世界は、物語が始まるまでは恙無く動く。しかし、物語が始まる年になると、突然崩れるのだ。


 理由は明白。その世界を創った者達の意思が複雑に絡みあってくるから。


 妄想族が暴走して産まれた世界なのだから、人の意思が介入しやすい。そして、彼らの力によって、物語の登場人物たちから魂が抜ける。その抜けた分に地球の魂を宛がい、物語を完結させると、世界は独立した新しい世界へと成る。


 そう、物語が完結するまでは仮世界。まだ存在できるか不明なため、現地を治める神も派遣できない。かといって、放っておくと魂が抜けたままで世界が凍結し、進まない。ゆっくりと世界の崩壊が始まってしまう。


 その頃地球では増えすぎた魂に、過労死寸前の地球の管理者である神様が、ストライキを起こした。神様が仕事を放りだせば、死んだ魂の転生の輪が動きを止める。そうなれば転生は行われず、転生待ちだったはずの魂と、これから輪に入る予定だった魂たちが争いだす。ここは自分の場所だ、いいやそこは自分の場所だ、と。


 輪から外れた者に待つのは消滅のみ。魂は本能でそれを知っている。だからこそ、争いが起こる。


 しかし、その争いは地球だけではすまなくなった。地球であぶれた魂が、別な世界の輪を犯し始めたのだ。


 転生の輪なら、どこのものでもいいのだから。


 これに困ったのは他の世界を管理する神様。自分の世界が犯されるのを黙ってみているわけにはいかない。


 神様たちは全員で会議を開いた。


 自分達だって複数の世界を管理して、過剰な仕事量に死にそう。そんな中、最ブラックの地球なんて預かりたくない。持ち回りにだってしたくない。どうにか仕事に復帰してもらおうにも、地球の神様は完全にトんだ状態で、誰も連絡をつける事が出来ない。

 地球の神様が最後に残した書置きは『この状況が改善されない限り、絶対に戻らない』


 神様たちは考える。


 地球の神様に戻ってきてもらうため、増えすぎた魂をどうにかしなければならない。そこで、新しい世界に目を付けた。


 まだ管理する神様もいない世界。


 産まれてはすぐ消える。


 消える理由は様々でも、地球関連の世界だけはいつも同じ。


 突然の魂の消滅による、物語の消失。それさえ防げれば、世界は生まれる。世界が生まれてさえくれれば、確率で新しい神様も生まれる。


 神様たちは思った。


 魂が消滅するなら新しい魂を突っ込んで、物語を完結させればいい。数撃って新しい神様が生まれたら、ついでに地球も押し付けよう。神様が生まれなくとも、受け皿に移し替え続ければ、地球の神様も戻ってくるかもしれない。なぜなら物語が完結しなければ、そこに在るモノは全て消失するだけなのだ。つまり、地球から送った魂も勝手に消えるのだから。


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