Ⅶ鬼崎 勇次⑥
――サーー
「おっと、わがクラスの担任西村先生のお出ましだ。今日もお美しい」
目を輝かせながら満が自分の席へと帰っていく。
「お前ら席に座れ。ホームルームを始めるぞ。おい、堂本何やってんだお前のクラスはA組だろ早く出ていけ」
「すみません西村先生大事な友達に大切な助言をしていたもんですぐに出ていきます。おい、鬼崎転科するなら早めに頼むな。近接戦闘科の評判がこれ以上落ちたらたまったもんじゃねぇからな」
のしのしと足音を鳴らしながら教室を出ていく大きな後ろ姿を眺めながら。最後に愚痴の一つでも言わせてもらう。
「ご助言どうもありがとさん」
この学校は他の高校と比べてかなり特殊な成績のつけ方をしている。単位制なのは、別にどうってことのない普通のことだが俺たちの学校は取得できる単位の上限がない。
これが何を意味するのか、それは、より単位を多く取った方が優秀な生徒であるという生徒間の優劣が簡単に数字だけで決まってしまうのである。
この単位というのは、一般科目での取得が基礎になりプラスαに特殊科目での単位取得がある。それぞれが所属してる学科で固有の単位習得の仕方があるのだが、近接戦闘科は、特にこの単位の取得が一番簡単であり一つの取得単位数が大きいと言われている。それもそのはず、戦闘になれば最前線で戦うことになるので、一番活躍ができる学科だからである。まあ、その代わり殉職率も一番高いわけなので別にそれもうなずけるわけなのだが、
こうなってくるとどう・・どうなんちゃら君みたいなやつはこの学校には比較的に多くなってしまうのはしょうがない
自分の学科を誇りに思うことはとてもいいことだとは思うけども、それでどうだろ他の学科を下に見ることはいいことなんでしょうか先生。
「全く、鬼崎くんは敵が多いね」
苦笑いしながら昌輝が話しかけてくる
「ああ、人気者はつらいな。俺も早く席に戻らなきゃなそろそろ西村先生がチャカ(銃)をぶっ放しかなない」
「春香も席に戻れ。・・・・・わかったわかった言いたいことがあるんだろ後で聞いてやるから。そんな目で訴えてこないでくれ」
春香になんとか席に戻ってもらい
俺も自分の席である窓側の一番前の席に着席する。
「私がこの教室を受け持つようになった西村 恭子だ。
最低限これだけは言っておかねばなるまい生徒諸君進級おめでとう。貴様らは、もうこの学校に入って二年目となった。これまでの甘い生活が送れると思うなよ。お前たちは、もう引き下がれない所まできてる。ここまできた奴は、引くも地獄だ。もう、シャバで普通の生活を送るのは無理だろう。いろいろ学びすぎたからな。まあ、進むも地獄だけどな。
身に着けた技術をより極めるのがお前たち二学年の主な仕事だ。中には個人的に任務を与えられる生徒もいるだろう。その中には死んでも成功させなければならないものもあるかもしれない。その時は、今来るかもしれないし、明日来るかもしれない。そんな状況に対処できるように備えろ。学んだ技術をより磨けそしてお前ら馬鹿のために高いお金を出してくれた国のために還元しろ。私たちが日々訓練してる中で使用してる弾や備品、設備なんかはもちろんタダじゃねぇ。お前らは初期投資されてるわけだ簡単に死ぬんじゃねぇぞ」
――あれ、この教室雨漏りしてるのかな?
突然机の上に水滴が落ちてきてそんなことをふと思う。
あれ~違いました僕の目から零れ落ちた水でスタ☆
今までの生活が甘いだって?俺には辛過ぎて食べれなかったんですが?
その後の簡単に死ぬんじゃねぇよって「生徒よ頼むから死なないでおくれ」っていう天使の願いですよね?悪魔のささやきじゃないですよね?
「そして、2年生進級にあたりお前たちには最初の大規模行事{部屋獲り}が五月の頭から開催される。そこで重要なチームの話だが、一年生の時に貴様らが提出した申請書のチームでの出場とする。しかし、おのおの二年生となり考えることもあるだろう。本日を含めて一週間後を期限とし班員の補充、脱退を許可する。その際は、きちんと書類にして第4棟に提出すること。もちろん人数制限は規定どおりの分隊規模の最低人数8人までだ。部屋獲りについての詳細は近日学校支給の端末により発表する。
ここまでに質問のあるやつはいるか。あ、部屋獲りが始まるまでは一年生の時に割り振られた学屋を作戦本部として使うことを許可する。そして、本日より夜間巡回も始まるから当番の班は忘れるな。
それでは、各自の専門棟に移動しろ。春休暇の間になんらかの郊外活動にでたものは報告を忘れるな。以上解散」
―――なんだか、いろいろと分からないことだらけでしたが今度春香にでも聞いてみましょう。しかし、だいぶ早く終わったな。なんだか西村先生もだいぶ急いでたみたいだし何かあったのかな
「おう、勇次。教練終わった後どうする?一回班で集まっとくか」
後ろの席に座っている満が移動する準備をしながら話しかけてくる。
「うーん、いや、今日は学屋じゃなくていつものところで一杯かわしながら談笑でどうだ?」
「まあ、学校始まった初日だし、一年頑張りましょうということでそれもありだな。よし、班員には俺が伝えておこう」
「頼む。昌輝にはちゃんと親に一報いれてからくるように伝えとけ、あいつのところの親心配性だからな」
「任せとけ。それではひとはち(18時)で」
「うむ」
――俺も早くいかねばな。