プロローグ
俺は絶望しているこの世界に。
俺の名前は神崎神一十八才の高校生だ。
世界に絶望している理由は至極単純で、やりたい事が無いからである。
何を言っていると思う人が大多数だと思う。
俺自身自己中心的な考えだと自覚している。
しかし、人はなぜ生きている?と聞かれたら悩んだ末に子供を養う為、夢があるからなど自分のやりたい事を答えるだろう。
俺にはやりたい事が一切無い。
やりたい事が無いのにこれから社畜になり、辛い事だけをやっていくなんて絶望でしかない。
そんな説得力の欠片もない哲学チックな事を考えながら歩いていた、そんな時だった。
今話題の、歩きながらモンスターを捕まえるゲームをしている小さな女の子が目に入った。
レアなモンスターでも見つけたのであろう。脇目もふらずに猛ダッシュで信号を渡った。
信号は青であった。
しかし、車というのはいつ、どこから飛び出て来るか分からない物である。
俺は横から飛び出て来る車に誰よりも早く気が付いた。
気が付いたと同時に、小さな女の子に向かって猛ダッシュをしていた。
小さな背中に手が触れる感触がしたと同時に、俺の体の左側に強烈な衝撃が走った。
俺が見た最後の光景は、四m程先で泣いている女の子の姿だった