第4話 ルール作成中
いつかルール載せます
中身はそこら辺のヤツに毛が生えたみたいなルール
目の前に置かれたカードの束。
俺は髭面にいわれるがままこの束をシャッフルする。
「よし、しっかり混ぜたか。混ざったらその束の一番上から自分にだけ見えるようカードを5枚ひくんだ」
俺はいわれた通りカードの束の上から5枚のカードを引く。
「そしたら今度はデッキの上から1枚、お互いが見えるようにカードを置け。それで準備完了だ」
この男は何を教えようというんだ。
指示通りに動きを進めているがこの様子だと何かのカードゲームを教えようしているようにしか思えない。
まさかこのカードゲームがこの世界を生きていく上で必要なものだというのだろうか。
「必要さ。少なくとも、今の世の中じゃな……」
髭面は俺を見透かしたように少しニヤけながら目をあわせる。
「確かに一昔前まではこんなゲームごときが人生を左右するなんて誰も思っていなかったさ」
「だが、ある研究者が特殊な魔造生命体を見つけたことで世の中は180度変わった」
「それから生まれる膨大な量の魔力はあらゆる物に良くも悪くも影響を与えた」
「人間ってのは欲深い生き物さ。初めて手にした未知の力をなんとか自分たちの手に収めようと偉い学者やら権威のある魔術師共がこぞって生命体を制御するための研究を始めた」
「そして何十年もかけて出来上がったのがコレ。おかげで世の中は急速な成長を遂げ、今はクロノアーツの実力が人間の地位や価値を決める重要な判断材料になっちまった。悪いな長ったらしくなって、再開するか」
そう言うと、少し不満げな顔をしながら髭面はゲームを再開しようとする。
「不満なんですか?その…クロノアーツ?、で決まる世の中が…」
「不満じゃないといったら嘘になる。だが、俺もクロノアーツのおかげで生きてこれた人間だ。コイツがなきゃ俺はいない。だから否定したくてもコイツを手放すことはできねぇ…」
その後、髭面は表情を曇らせながら少しの間黙り込んだ。
そしてむりやり話題をすり替えるように淡々と髭面は説明を続ける。
これ以上、聞くのは野暮って事かな…。少し気にはなるが俺は髭面の説明に耳を傾ける事にした。
その時だった。
玄関の戸が勢いよく開きズカズカと人が入ってくる
「大将!約束の物、受け取りにきたYO!」
薄い灰色の短髪に丸渕のメガネをかけたスラリと背の高い見知らぬ男。
彼は間延びした声でそのまま髭面に声を掛けようとする。
しかし俺を見ると驚いたように少し目を見開きポツリと髭面に告げる。
「Oh…人嫌いの大将がこんな少年を招き入れるなんて…。槍なんか降られたら困りますYO…」
「なんで、そこで槍が降る前提なんだ」
髭面は軽く嘆息を吐く。
にしてもこの人は一体…。
いきなり入ってきた男性に少し困惑していると俺の動揺に気がついたのか、こちらへ近づいてくる。
「どうもだYO!僕の名前はリザ。女なみたいな名前だけどガチムチの男だYO!ちなみにこんな喋り方だけどラッパーじゃなくてなんでも屋をやってるYO!よろしく少年」
「悪いな、ナナシ。怪しい奴だが別に悪い奴ではないんだ。それにコイツは俺の大事なお得意様だ」
「確かに大将にはいつもお世話になってるYO!大将愛してる!!」
お得意様?
そういえば髭面の職業ってなんだろう。
疑問に感じた俺が髭面に聞こうとする。
しかしそれを察したリザさんがすかさず俺に耳打ちをしてくる
「知りたいかい?大将が何者なのかw」