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空に浮かぶ詩  作者: 摩耶
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PAGE3.心に灯る声

 暗がりの道と静寂の夜。


 その中を眩しいライトが切り裂きながら、


 一人の女が車を山頂へと走らせていた。


 気晴らしに走っているようにも見えるが、


 彼女の表情に揺らぎはなく、ただ機械的に車を動かしていた。


 無音の空間を引き裂いていた激しいユーロビートが、


 車中の世界の異質さを更に際立たせていた。


 「はぁ……」


 数刻も経たないうちに、ドライバー、水澤 紗枝(みずさわ さえ)を乗せた車は、


 彼女を山頂近くの駐車場へと導いていた。


 いつもならば、せり上がって来る高揚感は彼女の心には入ってはこなかった。


 ただ、虚無感だけが走りきった彼女の心には滞っている。


 「これから、どうしようかしら………」


 誰が聞いているわけでもなく一人で呟いている紗枝。


 自分で何を言っているんだろうと思わず苦笑いを浮かべる。


 これから死のうとしている自分にとっては、行き着く所なんて何処でもいい。


 時間とタイミングを自分の中で決め、好きな車の中で死ぬために七輪と炭の用意もした。


 ただ、同士を募る事はしなかった。


 死ぬならば、自分独りで充分だ。


 秋から冬へと季節への移動は、高所から如実に表れてくる。


 車のライトに照らされる木々の葉は緑ではなく、黄色が多くなっている。


 朱から再び緑の風景になるのも、そんなに時間がかからないだろう。


 先程主旋律だったユーロビートはすっかり影を潜め、静かな空間が車内に支配していた。


 その中で、紗枝は一人で踏み切ることに躊躇していた。


 覚悟があると決めたとはいえ、


 自分がこの世からいなくなってしまう未来を目の前に、


 躊躇う事のない人間なんているのだろうか。


 これは紗枝が独りで死ぬと決めたときからまとわりついてくる不安。


 数人が集っていたのなら、こんな躊躇いは欠片も見当たらなかっただろう。


 『明日貴方が死ぬとしたら、何をしますか?』


 よく雑誌で使われるアンケートに答えは様々だろう。


 持っているお金で出来うる限りの贅沢をする。


 銀行強盗をする。


 好きな人に告白する。


 並べられる幾多の回答。


 その時は、紗枝はこう思っていた。


 「何も変わらずに日常を過ごす」と。


 それは全くの架空の質問だから、人は軽々と口にすることが出来る。


 だが、本当に死のうとしている紗枝は日常とは違う何かを感じざろう得なくなった。


 死ぬ直前までに過ぎる時間が紗枝にとっては、ただ惜しいものだった。


 最期なんだから、今までしなかったことがしたい。


 しかし、今紗枝にあるものは一台の車だけ。


 車内を際限なく見渡し、何を思ったのかラジオの電源を入れた。


 『………んやはなんと、5時間生放送でお送りいたします!』


 威勢のいい女性の声が車内を満たしていく。


 車を走らせて山を登ったり下ったりしている時に、人の話す声は集中力をかき乱す。


 登りきった後は外の空気を吸う事が多かったし、下った後はそのまま電源を落とす。


 紗枝にとっては、ラジオというものは忌避していたものだった。


 「へぇ……生放送かぁ……」


 ルーチンワークで音楽をかけ続ける紗枝にとって、スピーカからの誰かの声は斬新なのだろう。


 『こんばんわ!本日の貴方の相手は紀本 侑(きもと ゆう)です!


  さっきのCMでも流れました通り、今日は5時間の生放送です!


  みんな、寝ないでついてきてね!』


 軽快な音楽と共に先程と同じ女性の声が聴こえてきた。


 軽々と聴衆者を惹きつけてくる声。


 紗枝にとってはこういった声は苦手だ。


 声は不思議なもので、聞く立場の人間の感覚によっても変わってくる。


 今の紗枝がこの声に直感で感じたものは『成功者の言葉』


 自らの境遇とは全く対称的な所に存在しているもの。


 生理的にも好きにはなれないのかもしれない。


 首を振って、電源に手を伸ばそうとしてその手が止まる。


 『FAXやメールでも受け付けてますよ~』


 声のトーンは変わることはないが、ポケットに無造作に手が伸びる。


 メールの形で遺書を残そうと思っていた携帯電話がそこにはあった。


 軽々しく言葉を創るMCへちょっと悪戯をしたかったのだろう。


 気まぐれから発生した衝動は、紗枝の指を携帯のボタンへと追いやる。


 耳で一度聞いただけのアドレスを正確に打ち込み、勢いのまま本文を書き込む。


 短絡な文章のメールだ。作成される時間も短い。


 「ふ……」


 『送信しました』の文面を見て紗枝が冷たく笑う。


 『私は、今から死のうと思います。 SAE』と書かれた一通のメールが、


 送信メールボックスに送られていった。


 自らが死を決意したメールを読まれる事はないだろう。


 それは紗枝自身もそう思っていた。


 単なる悪戯目的だとも思われるだろう。


 MCのテンションが落ちないようにスタッフが揉み消す可能性もある。


 唯、送ってしまったからには読まれる可能性も否定できない。


 初めてラジオというものに投稿したという言われもしない緊張感。


 緊張感が最高潮に達するのに、そんなに時間がかからなかった。


 『え~っと……いきなりなんですが、こんなメールを紹介します。』


 それは序盤のCMが終わると同時に切り出された侑の声だった。


 『これは……ペンネーム…SAEさんでいいのかな?


  S・A・EでSAEさん』


 シートを倒してラジオを聴いていた紗枝が、いきなり跳ね起きる。


 大きな緊張感が紗枝の鼓動を速める。


 『「私は、今から死のうと思います。」と短く書かれているだけなんだけど、


  一体、何があったのかな……?でも、これだけじゃ、よくわかんないから、


  まだ自分で死のうなんて思うんじゃないわよ。


  まずは今どうしているのかメールくださいね。待ってます。』


 公の電波を使っての個人的な侑の言葉だった。


 慌てて周囲を見渡すも、車内には紗枝しかいない。


 窓も締め切っているので、誰にも聴かれているわけでもない。


 冬が近いというのに、体中に汗をかいている紗枝。


 この短い時間に、遺書はスタッフの合間で大きな問題になったのには違いはない。


 死ぬというフレーズを事も無げに電波に乗せた侑。


 それは、悪戯を真剣に捉え、真っ向から紗枝と話そうとする侑の覚悟の表れ。


 「えっと……えっと……」


 冷たい微笑を浮かべていた人とは全くの別人だった。


 無視しても良かったのかもしれない。


 だが、折角語りかけてくれているのに、それを無碍(むげ)にするのも気が引けるのか、


 打ち間違う事がないように携帯電話を操作する。


 ラジオからは、相変わらず侑の軽快な声やスタッフとのやり取りが弾んでいる。


 死を口にしたのにもかかわらず、声のトーンは落ちてはいない。


 先程の倍ほどの時間を要して、メールを送信する紗枝。


 作成した本文が若干長いのと、


 誤植がないように確認して送ったのだから時間もかかった。


 『さっきのSAEさんからメールが届きました~。


  メールアドレスも同じなのでたぶん同じリスナーさんでしょうね。


  ん~っと……


  「車の中で死のうと思い、その前に今までしなかったことをしようと思って


   今まで聴いたことのなかったラジオをつけたんです」って事かぁ…


  本当に偶然が重なったんだね。


  じゃ、今度はどうして自分が死にたいと思っているのかを書いて送ってね』


 送信から読まれるまで、ざっと15分程度。


 あまりの対応の早さに紗枝は更に驚いた。


 ラジオのスタッフが、紗枝のメールは直ぐに侑に届くようにしてあるのだろう。


 紗枝のレスポンスに対して、再びコールを残して侑は言葉を切った。


 一方の紗枝は読まれた高揚感を越え、申し訳なさを感じるようになった。


 他にも生放送を聴いている人もいる。


 採用を目指してメールを送っている人だっている。


 下らない遺書のおかげで採用されないと怒っている人もいるだろう。


 そんな大きなリスクを背負ってまでも一石を投じた侑。


 紗枝には侑の一石を投げ返す責任がある。


 律儀な紗枝が出した答えだった。


 紗枝と侑のやりとりは暫くは続くものだと思われた。


 だが、軽快な会話の途中にシリアスな話で水を差すのもよくはないのだろう。


 紗枝のメールが読まれる事は続かなかった。


 一人のリスナーのためだけに番組を展開していくわけには行かない。


 生放送の特長を生かし、メールの生投票を行っていたり、


 リスナーに直接電話をかけ、驚いた所を笑い飛ばしていたりしている。


 第一声を聴いた時に紗枝の心にあった生理的な嫌悪感は、徐々に解されてゆく。


 これが一人の人間が紡いでいるのかと、改めて紗枝は驚く。


 たまには軽快に、たまには豪胆に、そしてたまには繊細に。


 侑の織り成す魅惑の声に、自然と紗枝も惹きつけられていく。


 ただ、紗枝の胸の奥にこびりついている虚無感は、


 どうしても拭い去ることは出来ない。


 侑の言葉は、結局は『成功者の言葉』にしか過ぎないのだ。


 『早いよね~。生放送もあと一時間を切ったよ、もう』


 侑の声で、液晶の時計が5時を過ぎていることに気付く紗枝。


 弾み続ける侑に大して、紗枝は未だに重々しい心を引きずっている。


 死ぬ事を望んでいる自分が声につられてはいけない。


 当初の虚無感が、再び紗枝に重くのしかかってきた。


 「……はぁ」


 車内に響く紗枝の重い吐息。


 紗枝は一通のメールを侑に送る。


 これが読まれる事がないのなら、潔く死のうと決心をした。


 全体が軽く、そして弾むようなBGMが流れていた放送だったのだが、


 送った直後、音楽が一変して静かなピアノのソロが流れ始めている。


 『さて、全体的に静かな音楽に変わった所で、先程届いたメールを御紹介します。


  明るいムードでこのメールを読むのも、真面目に捉えてくれそうにないから


  ここまで話すのを遅らせました。ごめんなさいね、SAEさん』


 この声が、同じ人から発せられているとは紗枝は思えなかった。


 イントネーションは先程の侑とは変わってはいない。


 変わったのは、侑が言葉に籠める雰囲気。 


 色をつけるとすると、限りなく紺に近い青だろうか。


 『つい、さっきSAEさんから届きましたメールを読みたいと思います。


 「侑さんは、先の見えない怖さを感じたことはないのですか?


  私は専門学校を卒業しても全く就職先が見つからず、


  今も親に就職活動はしているとは言ってはいますが、


  私を採用してくれるかも自信もありません。


  期待をかけてくれる親に対して、何も返すことの出来ない私。


  そんな自分が情けなくて、何も出来ない自分に苛立って……


  こんな私にもう期待なんてかけてほしくないと思ったから死にたいんです」』


 先程、紗枝の書いたメールを感情を込めて読み上げる侑。


 

 『内容の重いメールだよね、これ。だから私も真剣に話そうと思います。』


 雰囲気が徐々に張り詰めた声を創りあげている。


 自分の言葉で誰かが死のうとしているのを止めようとするのだから当然だ。


 一度、椅子を座りなおす音。そして、小さく咳払いをする侑。


 どうやら話す覚悟を決めたようだ。


 『うん……先の見えない怖さね。今の私もその怖さから逃げているかな。


  だって、今日はこの放送で終わっちゃうけど、明日私に仕事があるかなんて


  誰も保障はしてくれないし、この番組もいつまで続くかなんて解らない。


  永遠に続くものなんてないし、物事には始まりがあれば終わりも必ず来る。


  まぁ、当ったり前の事に目を背けているんだけどね』


 軽く苦笑いを浮かべている様子の侑。


 『でも、いつかはそういう怖さと向き合っていかないといけないわけだもんね。


  だから、毎日そんな怖さと戦っているSAEさんは正直に凄いと思うわ。


  SAEさんって本当に真面目な人なんですね。』


 紗枝の心に明かりが灯る。


 その火を大切にするように自分を抱きしめる。


 言葉が人に及ぼす影響は大きい。


 紗枝もそれを実感しているのだろう。


 『ただ……そうね……


  全てに四角四面になるのはどうかとも思うの。


  真面目が悪いとは言わないけれども、真面目すぎるのはどうかとは思う。


  いつもSAEさんの本心では親に恩返しがしたいと思っているんだけど、


  それだけじゃ心が疲れてしまうこともあるでしょ?』


 メールの文章だけでは、送った本人の感情を読み取ることは本当に難解な事だ。


 言葉にしてしまえば、感情の揺らぎで本音が透けて見える事だってある。


 しかし、今の侑はすぐ隣にいるかのように紗枝の本音を慮る。


 『見えないものだけれど、心も消耗品だから、


  嬉しい事や楽しい事があればその気持ちで心が満たされるし、


  逆に辛い事や哀しい事があれば心が削れて、心の持つ容量が少なくなってくるの。


  そうして心をどんどん削っていくとある一線を越えた時に衝動が暴発して


  人間は何をするかも分からないようになってしまう。


  多分、今のSAEさんの心もそんな状態だと思う。


  そんな時だからこそ、もう一度自分のペースでいいから深呼吸してみて。』



 侑に諭されるように大きく息を吸い込みゆっくりと吐き出す。


 『そう。そしてこれはSAEさんに覚えておいてほしいの。


  自殺するという動機はほぼ99%早とちりで起こす行動なの。


  原因を分析してみたら、自分で解決できる問題で打つ手がない人が


  逃げる手段として起こすのが自殺なの。


  でもその人が解決できない問題なんてその人に降りかかる事はないわ。』


 紗枝が反論する間を開けずに侑が声を紡ぎ続ける。


 『私もね~、3年位前だったかなぁ……全然仕事がなくってね。


  スケジュール帳も本当に真っ白。


  最初は「負けないぞ~」って意気込んで頑張ってたんだけど、


  それも時間が経ってしまうと当たり前のように自信もなくなるし、


  先行きも完全に不透明だし、


  SAEさんみたく手に職を持っているわけでもなかったし


  そう考えていくうちに本当に真っ暗になってね。


  今思えば、それが心が削られて、からっぽの器だけが残るって状態だったのね。』


 紗枝の思っていた事から大きく外れていた。


 最初は成功者の言葉と嫌っていた侑の言葉だったのに


 侑も侑で苦労や挫折を味わった結果が、成功者の言葉の基礎を創りあげたのだろう。


 『だからね……これはラジオで話していいのかなって思うけど、


  生放送だから取り返しのつかないことになるんだろうけど、言っちゃいます。


  私の腕にはね、リスカの傷跡がまだ何本か遺っているの。』


 リストカット。


 紗枝も色々なSNSやブログを見ているので、どのような物かは知っている。


 自らに対する激しい空虚感。自らを認識し激しい憎悪を叩きつける行為。


 自らの血を流す事でしか、生きている事への実感がわかなくなるという事実。


 侑の言葉に紗枝も言葉を失くす。


 『そんな時にね。一冊の本に出会ったの。


  まだ捨てずに取ってあるんだけど、


  その本の一つの言葉だけで私はここまで頑張ってこれたんだと思うの。


  だから同じ言葉をSAEさんにも託したいなと思います。


  と言っても、私はそんなに偉い人間じゃないから、


  「生きている事は素晴らしい」とか大それたことは言わないの。


  当然厳しい事もあるんだから全てが素晴らしい事なんて私も思ったことはないわ。


  だけどその本にはこう書かれていたの。


  「生きているということは驚きに満ちている」って……


  多分、今のSAEさんには同じことじゃないかと思っているんだけどね』


 思っていることを言い当てられて鼓動が跳ね上がる紗枝。


 『「素晴らしい」という単語はWonderfulでしょ?


  そのWonderfulを言い換えれば、Full of Wonderってなるの。


  驚きに満ちているから生きていることが素晴らしいってね。


  生きているからこそ感じられるたくさんの驚きを


  感じないまま亡くなるのは、私は惜しいと思います』


 侑の言葉を一言一言じっくりと噛み締める紗枝。


 まだ感じたことのない驚きがこれからの紗枝を待っている。


 それを水澤 紗枝として感じられないと言うのは確かに惜しい。


 『ん~っと……じゃぁ、今からSAEさんにもリスナーのみんなにも


  一つの驚きを私、紀本 侑からプレゼントします!


  み~んな揃って、東の空を注目!』


 「え?」


  慌てて倒していたシートを起こし、フロントガラス越しの空に目をやる。


 「わ、わっ!」


 いきなりの事に目を細める紗枝。


 暗かった空は何時の間にか明るさを取り戻し、東から太陽が顔を覗かせようとしていた。


 飛び込んでくる朝の光に紗枝の頬が照らし出される。


 『ほら。私も今、みんなと太陽の光に当たっていますよ~!』


 陽気な声がラジオから飛び込んでくる。


 生放送の醍醐味はこんな所にもあるんだと紗枝は実感する。


 『太陽の暖かさも強い光も生きていない限り味わえないものでしょ?


  私はもっとみんなに驚きを感じながら日々を送ってほしいの。


  だからSAEさん、決して今死のうとは思っちゃダメよ。


  驚きは何時、何処にでも転がっているものだし、


  結局、人間はいつかは死ぬんだから、それを早めるようなことは絶対にしないで。


  これは我儘かもしれないけれど、私からSAEさんへのお願いです。』


 朝の光は空に広がっていく。


 覗き込んだ太陽は真っ直ぐ空に向かって昇っていく。


 紗枝を包み込む確かな暖かさ。


 優しい光に抱かれながら紗枝は静かに涙を流す。


 『生放送はそろそろお別れの時間となりました。


  SAEさんが元気を取り戻したと信じてのお別れですね。


  思い止まってくれるなら、またメールを下さいね、SAEさん。


  そして、リスナーの皆さんにも驚きに満ちて心が豊かになるように祈っています。


  本日の生放送のお相手は 紀本 侑でした~!


  本当に聴いてくれてありがとうございました!


  また来週、この番組で会いしましょうね!』


 最後は慌しくなってしまった模様で、紗枝は笑みを浮かべる。


 生きるという力は、侑から確かに紗枝に託されていた。


 きっかけは掴んだ。


 あとは自分が何とかしなければいけないのだ。


 「ありがとう、侑さん」


 そう呟いて紗枝は携帯電話に手にする。


 感謝の気持ちをメールに残し、送信する。


 「よし。じゃ、行こうかな」


 ラジオからCDに音源を変更させる。


 もう握ることがなかったであろうハンドルを握り、


 二度と聴くことがなかっただろうユーロビートを連れて、紗枝は車を走らせてゆく。


 水澤 紗枝の驚きを探す旅が今日も始まろうとしていた。

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