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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死ぬ世界

作者: 64馬力で失踪する人生を賭けた大穴






















死んだ。

























ら、異世界にいた。

















剣と魔法で成り上がる夢の世界だった。












転生者の俺は最強無敵だった。













産まれながらにしてその世界の全てを与えられたんじゃないかと思うくらい恵まれていた。


















まだ開拓されていない世界地図が自分の足で広がって描きし記される充足感。















与えられた力で












その全てを存分に振るえる世界で













俺は最高に充実した時間を過ごせていたのだと、その時初めて実感したんだ。





「店主・・・俺、決めましたよ。

俺の馬、売ります。」




「あいよ、8210マルクだ。」




「ヒヒーン!(何故だ相棒!?)」




「此処まで一緒に旅をしてくれてありがとう。

俺はもう冒険家を辞めようと思ってたんだ。

最後まで面倒見れずにゴメンな。」




「ヒヒーン!ブル、ブル!

(そんな、俺たちなら何処までもイケると声を高らかに荒野を駆け進んだ相棒は何処に行ってしまったんだ!

頼む、もう一度俺に跨ってあの厚くて硬い皮の鞭で俺のケツをシバいて遥かなる高みへと誘ってくれ!)」



「どうです?旦那ァ・・・

この前目をつけてた奴なら準備は出来て居ますが。」



「勿論買うに決まってるだろ?

ふはははは!

今日から俺は船長だぜ!!」



「ウィニー!(そんな、相棒ッー)」


















呼吸を合わせて

身体の動きを合わせて

一つになって遠い所までイッたりキタりしたのに・・・

もう、お前以外を乗せても何も感じない身体にされたのに

置いて行くのか?






嘘だろ?もう誰も信じられねえ・・・





















と、思っていたのが一ヶ月前のこと。





「はぁーい、ブラッシングするから大人しくしててね〜。」



「ネェーイ!(ねえねえお姉ちゃん、ちょっと乗ってかない?)」






いやー、思えばあの時売り飛ばされて良かった〜。


干し草がうめぇ!

人参がウメェ!

世話係の姉ちゃんが可愛いし、丁寧にブラッシングしてくれる。



相棒?ああ、いたな、そんな奴。

こっちがヒイヒイしながら走ってる中ケツを鞭打つ鬼畜野郎。

飯も雑だし、鞍が臭いし。

やっぱアレだわ、俺は女しか乗せねえ事にする。

もし相棒が買い戻しても知らねえ顔して振り落としてやる。

あーあ、俺という最高の乗用馬を売り飛ばすなんて見る目がない男だったが、お陰で今じゃ三食昼寝付きで可愛いニンゲンのメスの世話係まで付いていると来た。

ふんっ、そう考えると売られてせいせいした!















なーんて考えていたのが一週間前。








ふんっ、ふんっ、ふんぬっ!




あ〝あ〝〜〜、ここはマジで天国か〜?




ふんっ、ふんっ、ふんぬっ!




毎日、女の子とHが出来るなんて何処のホテルならこんな待遇良くしてくれるよ?



ああーでも腰疲れてきたな。

でも振らないと鞭打たれるし。

取り敢えず、これ終わったらちょっと休憩させて。




ふんぬっ!

ふんぬっ!





あー可愛いよ、セントクライムちゃん。

イヤらしい香りしやがって。

でもちょっと反応薄いよね?

今から一発イクから受け止めてよね。




ふんぬっ!

ふんぬっ!



あー、キタキタ。

あれ?待ってこれ擬牝台じゃん!

チクショー、また騙されてる!




ふんぬっ!

ふんぬっ!



くそ〜、こんなところ抜け出してやる。

あっ、ちょっと痛いヤメテッ!

分かった、続けますから・・・




ふんっ・・・ふんっ






今思えば相棒と旅してた頃が幸せだったな〜。


せっかく異世界に転生したと思ったら馬だったし。


近頃はドラゴンとかスライムとかモンスターでもカッコ良く無双しているのに。


馬でもイケるんじゃないかと思ってたら走る以外では特に秀でたところは無かったよ(T ^ T)



魔法とか使いたかったなーと思いながら矢に貫かれた右脚を引きずって歩いてたら相棒と出会えたんだ。



あの後、ちゃんと看病してくれて

ぎこちない手つきで跨って、

一歩進む毎にギットンバッタン腰を鞍に打ち付けられて

下手くそな癖に無茶苦茶乗るなと思いながらも、いつの間にか息もピッタリ合った頃にはお互いに相棒として信頼していたのに。




もう一度、あの広々とした大地を駆け回りたい。

全力で風を感じ、土を踏みしめながら進む感触を味わいたい。


転生直後は受け入れ難かったが、やはり俺は立派な馬なのだ、こんなところで腰を振ってる場合じゃない。



ふんぬっ!

ふんぬっ!



しかし俺が密かに慕っていたセントクライムたんの香りを付けておくなんて卑怯な飼育員め。

彼女をどうしたんだ?




「種馬の方は如何ですか?」



「如何したもこうしたもありまへん、見ての通りですわ。

これで通算26回目のデッパ記念日でおまんがな。

こいつは底なしでっせ?」



「なるほど、今年はこいつの種だけで厩の雌は全部まかなえそうだな。

それまでこいつにはシッカリ働いて貰わないとな。」



「でもこいつセントクライムでしか盛らないんやけど大丈夫か?

間引かれたって聞いたけど?」



「近くの農村に売ったんだよ。

足が速くないから馬耕を引かせる馬にしたんだよ。」






なんだって?







勝手に跨って乗り物にしたり

田畑を耕すコンバイン代わりにしたり

必死で走らせて置いて自分たちは誰が勝つのかと賭け事を始め


あまつさえ都合良くする為に交配をして



チクショー、ニンゲンなんてクソ食らえや!



おい聞いたかよ、海に出るとか言ってた男、出航したその日に嵐に飲まれて船の欠片も残ってないだってよ!



あ、相棒!

そんな、嘘だ!




ウマガニゲタゾッー

オエー、オエー!

ウマニケラレタ、イシキガナイゾ?!




久し振りに全力で走った。


走るって気持ちいいな、やっぱり



そして程なくして海辺で打ち上げられた我が相棒を背負い、再び広い世界を駆け回るのだった。





もし、異世界に馬として転生したらどうなるのかと思った。


無双してみたかったけど無理そうな気がした。


馬として人との信頼関係を書きたかった。


おわり

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