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それから

最終話です。

 綾乃さんは、昨日までのどこかなげやりな気分とはうってかわって生き生きしていました。

 新婚旅行も拓也さんにまかせっきりだったのですが、今日はクルージング、明日はダイビングとリゾートを思いっきり満喫しています。


もちろん、お買い物も。拓也さんはあれもこれもと綾乃さんに買い与えるので、綾乃さんは戸惑ってしまいます。思い切って拓也さんにたずねてみました。


「ずっとやってみたかった。母さんがいると、お金出すだけになるから」


 返ってきた拓也さんの言葉に綾乃さんは納得するのでした。


 楽しい時間はあっというまに過ぎていきます。帰国の前日、拓也さんは行き先を言わずに綾乃さんを連れ出しました。

 ホテルのスタッフに引き渡されると、拓也さんは別行動だと言われます。スタッフに案内されるままに美容室に連れていかれ、ヘアメイクを施されました。ドレスアップしての食事?パーティー?と綾乃さんは頭をひねります。

 次はこちらを、と言われた物は、素晴らしいウェディングドレス。


 拓也さんが何をしようとしているのかわかった綾乃さんは言葉になりません。ポロリと涙が一粒流れます。スタッフがそっとハンカチを差し出してくれました。

 うれしくて、微笑みながらドレスに袖を通します。


「お綺麗ですわ、さあ、ご主人が待ってますよ」


 そう言われて導かれたのは、ホテルの庭の小さなチャペル。

 緊張気味の拓也さんが、祭壇で待っていました。ホテルの支配人にエスコートされて拓也さんの下まで歩きます。問い様な綾乃さんの眼差しに、拓也さんが口を開きました。


「僕達だけの結婚式だ」


「拓也さん、ありがとう」


「よろしいですかな?」


 牧師さんの言葉で式が始まりました。お互いに誓いの言葉を口にし、誓いのキス。その後には、居合わせた人々に祝福されました。

 日本での結婚式と披露宴に比べれば、ひっそりしたものでしたが、綾乃さんの嬉しさと幸せは比べられらいほど大きいものでした。綾乃さんがかつて夢見ていた結婚式だったのです。


 記念の写真も撮ってもらい、部屋へ戻ると、綺麗に花で飾り付けられていました。


「うわあ、綺麗!」


「ホテルが気を利かせてくれたんだな」


 拓也さんが、ハート型に形作られたアレンジメントに触りながら、笑います。


「ねえ、いつ結婚式たのんだの?」


「二日目の朝。まだ綾乃が眠ってるうちにね」


「ふ~ん。わからなかったわ。でも、どうして?」


「日本での結婚式は、カガミとしてのものだったからな。それに母さん達が突っ走っていたから、綾乃の意見入ってなかっただろ」


「ま、まあ、あれはそういうものだから。一切希望しなければ諦めがつくかなと…」


「だからだよ。プランナーさんと紫さんに手伝ってもらったけど」

 

 拓也さんは、プランナーさんにドレスのサイズを、紫さんにどんな結婚式を夢見ていたかを聞いたのでした。


「どうりで、私好みな訳ね」


 綾乃さんはふわっと笑いました。拓也さんがふっと微笑み、綾乃さんの両手をとりました。


「綾乃、これからもよろしくな」


「はい、こちらこそ」


 華のような綾乃さんの笑顔に、拓也さんはこの笑顔のためなら何でも出来ると思うのでした。



 たくさんのお土産と共に、帰国した二人は、迎えの車で鏡のおうちに向かいます。空港から電話していたので、玄関には両家の両親が待っていました。お母さまsなんかは、両手をふって待ち構えています。


「相変わらずだなあ」


「そうね。でも帰ってきたって気になるわ」


 車から降りて、2人は声をそろえました。


「「ただいま」」



 そして2人は幸せに暮らしました。めでたしめでたし。


 Fin.

本編完結です。お付き合いいただきありがとうございました。

番外編を1話で、完結いたします。

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