表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

8005E列車 いじられた日

 初めての春休みに入った。今日は坂口(さかぐち)ちゃんが単独で家に遊びに来ている。今日は駿(しゅん)兄ちゃんも家に来ているし、みんなで離れにいる。

「まぁ、(とも)もこうして女の子と遊ぶようになったんだし、一安心だけどなぁ。」

「どういうこと。駿(しゅん)兄ちゃん。」

「んっ。なんでもないよ。」

(うらやましいなぁ。この野郎・・・。)

駿(しゅん)お兄ちゃん。今日はどんな電車走らせてくれるの。」

「えっ。そうだな・・・。じゃあ、きょうはまたここら辺を走ってる電車でも走らせようかなぁ・・・。」

「えー。「ネックス」走らせてよ。」

「「ネックス」・・・。「ネックス」なんて電車あったっけ。」

萌がそうつぶやいた。萌はこの時電車のことはよく知らない。「ネックス」と聞いても何がなんなのかわからないのは当然だった。僕もこの時は「ネックス」イコール253系とはなっていなかった。僕は愛称で「成田エクスプレスを知っていただけである。

「はいはい。じゃあ、「ネックス」でも走らせるかぁ・・・。ほかに希望は。」

「えっ。100系と0系と300系と500系走らせて。」

(あからさまに700系は除外するんだ・・・。)

「わかったわかった。200系のHはいいのか。」

「うん。」

僕がそう答えると駿(しゅん)兄ちゃんは車両庫に消えていった。

永島(ながしま)君よく100系新幹線って好きだよっていうけど、100系新幹線ってどんなの。ほかの新幹線みたいに丸い顔してるの。」

「・・・100系新幹線は0系新幹線みたいに丸い顔なんてしてないよ。それに今の新幹線は0系と200系以外全部丸い顔なんてしてないからね。500系新幹線みたいにくちばしみたいなのもあるし、700系新幹線みたいに「カモノハシ」なのもあるし。」

そこまで言ったころだろう。駿(しゅん)兄ちゃんが車両庫から戻ってきた。

「あっ。駿(しゅん)兄ちゃん。模型見せて。」

「ああ。」

駿(しゅん)兄ちゃんから模型のケースを受け取るとケースを開いた。そして、中にある先頭車を取り出す。駿(しゅん)兄ちゃんはほかにも200系新幹線と400系新幹線の模型も持ってきていた。それぞれの先頭車を出して、線路の上に並べた。

「ねっ。違うでしょ。」

「・・・。」

たぶん同じだろというのは0系と200系以外ないと思う。でも0系も200系も当然違う。0系新幹線は雪には対応していないけど、200系新幹線は雪に対応している。それに0系よりも200系の鼻は少し長い。素人目では見過ごしてしまうような違いだが、電車というのはそういう細かいところの表情も違うから、見分けるポイントとして大切だ。

「へぇ・・・。でもこれとこれは同じだよねぇ。」

指差したのは案の定0系と200系。まぁ、これは素人目だから。坂口(さかぐち)ちゃんにもまだ知識がないし・・・。これからだんだん覚えていくのかなぁ・・・。そうなってくれると僕としてもありがたい。

「まぁ、同じに見えるよなぁ。でも色は違うだろ。」

まぁ、見てわかる違いを駿(しゅん)兄ちゃんは言った。

「なんで。同じ顔なのに色が違うの。」

「その新幹線は浜松のほうには来ないんだよ。ここよりもずっと寒い所に行くから。そっちには緑が多いから、そっちに合った色にしたんだよ。」

駿(しゅん)兄ちゃんは坂口(さかぐち)ちゃんにもわかりやすいように説明した。

「・・・。じゃあ、100系新幹線にもそういうところでも違うところってあるわけ。」

「えっ。あるよ。」

僕は自分の好きな新幹線の説明を坂口(さかぐち)ちゃんにした。もちろん坂口(さかぐち)ちゃんがわかるようには説明するつもりである。

「えっと。100系新幹線には中がレストランみたいになってるのと、中がスーパーみたいになっているのと、2階建てが4両くっついてるのがあるんだよ。それぞれ違うからアルファベットも違ってて・・・。」

といったところで駿(しゅん)兄ちゃんが一度止めた。

「新幹線ってこういうもの使って種類分けしてるんだよ。」

と言って紙の上にアルファベットを描いた。書いたアルファベットはH(0系新幹線)、G(100系新幹線)、X(100系新幹線)、V(100系新幹線)、J(300系新幹線)、F(300系新幹線)、Sk(0系新幹線)、N(0系新幹線)、W、C(700系新幹線)、B(700系新幹線)。それぞれの編成記号は確か・・・。あれ、何がなんだったっけ。判別ができるのはX、G、V、W。それ以外は何が何だかわからない。まだ作中で言っていなかったが、Wの編成記号を使っているのは500系新幹線である。

「こういうの使ってるんだ。それで100系新幹線にはX編成とG編成と「グランドひかり」っていうのとV編成っていうのがあるんだ。」

「へぇ・・・。」

(とも)・・・。」

「何。駿(しゅん)兄ちゃん。」

「お前ずっとそう思ってたのか。」

「えっ。何を。」

「V編成と「グランドひかり」っていうのは同じやつのことを言ってるんだぞ。」

「えっ。そうなの。」

「あっ。ってことは今永島(ながしま)君ウソ言ったんだ。」

「えっ。だって知らなかったんだもん。」

「知らなかったんだもんって。お母さん言ってたよ。ウソつくのはいけないんだって。」

「アハハ・・・。」

「別にウソついたわけじゃ・・・。」

「あっ。反省しないのもいけないんだ。ちょっと待って。ナガシィ。ウソつく人には何かしてあげないと、ねぇ、駿(しゅん)兄ちゃん。」

「えっ・・・。」

「ちょっと待ってよ。」

「待たない。」

まさか。こんなことになるなんて。これが引き金となって、僕はいじられキャラに転じることになる。そして、坂口(さかぐち)ちゃんはこれ以来僕のことをナガシィと呼ぶようになったのだ。


引き金はこれです。ここから永島は萌のおもちゃに転じることになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ