8003E列車 家に来た日
(いつ来るのかなぁ・・・。)
そんなことを思いながら、僕は離れにいた。いる場所が違うかもしれないけど、まぁ関係ないかぁ・・・。しばらくすると僕は一度離れから出た。玄関に向かって歩く。友達を家に招くこと自体が僕にとっては初めてだ。どうすればいいのか半分わかっていない。
数分後。僕の家に坂口ちゃんたちがやってきた。
「おはよう。永島君。」
「おはよう。上がっていいよ。」
そういって僕は家の中に招き入れた。今日は駿兄ちゃんはこれないって言ってたし、模型をいじることができるのはおじいちゃんかお父さんぐらいかぁ・・・。それとも和田山さんに頼もうかなぁ・・・。いや、自分でも編成がわかる新幹線でも走らせようかなぁ・・・。
「永島君。永島君の部屋ってどこ。」
「えっ。」
磯部ちゃんがそう聞いてきた。そうか。友達を招いたら、一番最初に案内するのは自分の部屋なわけかぁ・・・。自分の中でそう納得して、僕の部屋に案内した。
「・・・。」
部屋に案内すると坂口ちゃんたちは言葉を失っていた。
(なんか男の子の部屋とは思えないんですけど・・・。)
「まぁ、ぬいぐるみとかあるけど気にしないで。」
「えっ。・・・うん。」
(気になるよ・・・。)
「永島君。ゲームとか持ってないの。」
磯部ちゃんがそう聞いてきた。
「ゲームは持ってないんだ。いとこのうちに遊びに行ったときはゲームして遊んだりするけど。」
「いとこ・・・。」
「あっ。今日来ないから、来てたら紹介するね。」
と言っておいた。
「それじゃあ、ゲームがないってことだから、何して遊ぼうか。」
「・・・うーん。永島君何か知ってるゲームとかある。」
「えっ。知ってるゲーム・・・。えーと、神経衰弱ぐらい・・・。」
「・・・。」
「あっ。何かまずいことでも言った。」
「ああ。ううん。別にまずいことは言ってないよ。知ってるのが少ないんだなぁって思っただけ。」
「・・・。」
そのあと結局神経衰弱をすることに。最初は僕も楽しんでいたけど、だんだんと飽きてきた。飽きてきたからどうしようかと悩んだ。でも、これは僕だけが楽しめてしまうし・・・。うーん。なんか全員で楽しめるものってなかったっけ・・・。
「永島君。こんなに言え広いんだからさぁ、ほかのところも案内してよ。」
「えっ・・・。」
でもラッキーと思った。これで離れに連れていける口実ができた。
それで案内をしながら、離れに連れて行った。
「ここって。」
「うーん。僕の遊び場かなぁ・・・。」
「じゃあ、おもちゃいっぱいあるわけ。」
「・・・。いっぱいあるよ。でも・・・。磯部ちゃんたちにはちょっとハードル高いかも。」
そういってドアを開けた。中に入って明かりをつける。
「うわっ・・・。」
坂口ちゃんたちの目が点になった。
「模型だよ。」
「えっ。これどうするの。これ永島君が作ったの。」
「作れるわけないよ。図工得意じゃないもん。」
「それにしてもすごいなぁ・・・。永島君が作ったじゃなくても、すご過ぎる。」
「・・・。」
僕は坂口ちゃんたちは何もしないだろうと思って、車両が置いてあるところに向かった。ドアを開けて中に入る。するとなぜか坂口ちゃんたちもついてきた。まぁ、いいかぁ・・・。明かりをつけて、中に入ると、
「えっ・・・。」
「これ全部模型・・・。」
「うん。鉄道模型っていうんだ。これの1つくらいだったかなぁ。それぐらいが僕の持ち物なんだ。」
(これの1つって・・・。)
「何か走らせる。って言っても、僕は新幹線ぐらいしか編成がわかんないから新幹線しか走らせるものがないんだけど・・・。」
「何か走らせて。」
別にいいよっていうと思ったので、坂口ちゃんがそう言ったのには意外だった。
「・・・わかったよ。」
僕はお気に入りの100系新幹線の模型と200系新幹線の模型を取り出した。200系新幹線はシャークノーズの100系タイプ。つまりH編成かF編成。しかし、2階建て込であるからH編成だ。それを持ちして、僕は模型の集会の中に入った。
「ちょっと走らせるまで時間がかかるからちょっとだけ待っててね。」
僕はそう言っていつもの手順で車両をレールの上にのせていった。
「・・・。」
僕のやる作業を坂口ちゃんたちはただただ見つめているだけである。列車が動くまでの辛抱だ。16両編成の車両。合わせて32両をレールの上に乗せたので、100系新幹線から先に走らせ始めた。それを動いておっているみんなを見ると自分を見ているような気がした。
「・・・。」
永島君は普段学校じゃ見せない顔で新幹線を眺めていた。目がキラキラ輝いている。それを忘れることができない・・・。
男の子ですが、感性はこの時から女の子。