8002E列車 遊んだ日
話数番号は8001からスタートしていますが、8000話これの前の話があるわけではございませんので、ご安心くださいませ。小学校シリーズは番外編として投稿しているため、列車番号は「臨時」を意味する8000の桁を使っているまでです。なお、E列車シリーズと小学校のEの関係はありません。ちょうどEだっただけです。
それからというもの僕は坂口ちゃんと話すようになっていった。それが最初となって、だんだんとクラスのみんなと話すようになっていったけど、みんなと遊ぶというのにはまだ時間がかかると思われた。
「ねぇ、永島君は外で遊ばないの。」
坂口ちゃんが聞いてきた。
「えっ。だって・・・。外で遊ぶのはちょっとねぇ・・・。」
「ちょっと何。」
「・・・。何か楽しいことでもあるの。」
「あるよ。ねぇ、みんなで遊ぼ。」
「・・・。」
今日も結局断ってしまった。だけど、なかなか諦めない人もいる。
「そんなこと言って。一人でダラダラ過ごすのがいいんじゃ体がいつか壊れるよ。」
といったのは磯部ちゃんだ。
「別に・・・。体が壊れるなんてことはないと思うよ。」
(まぁ、頭はもう壊れてるかもしれないけど・・・。)
「ほら、早く行こう。外に。みんなと一緒に遊ぼうよ。」
と言って、磯部ちゃんは僕の手を握った。そして、そのまま僕を引きずって連れて行こうとする。
「えっ・・・。あっ。ちょっと。・・・ねぇ・・・。」
「・・・。」
「萌ちゃん。萌ちゃんは来ないの。」
「あっ。ちょっと待って。」
というわけで、外に連れてこられたわけである。外に連れてこられると今まで眺めるだけで終わっていた物が全部大きく見えた。って、それは当然かぁ。僕は身長がみんなより(男子の中だけでいえば)ないから・・・。というか僕の身長は坂口ちゃんと同じぐらい。磯部ちゃんより少し高いというだけ。わかるとおり、僕は女の子クラスの身長しかない。
「何して遊ぶ。かくれんぼでもする。」
「・・・。」
「かくれんぼはよくしてるしなぁ・・・。」
端岡ちゃんも加わっている。
「永島君は何して遊びたいの。」
「えっ。何してって・・・。うーん。ただ電車を眺めていたいだけかなぁ・・・。」
「そう・・・。でも、ここには近くに電車走ってないし。」
運動場の中心からあたりを見回す時が結構生えているところにタイヤの跳び箱みたいなものが置いてあることに気が付いた。あれで遊ぶのは初めてだけど・・・。
「・・・あっ。じゃああのタイヤでも行かない。」
「よしっ。行こう。」
それでタイヤのところに向かった。
「うわぁ。近くで見ると大きいね。」
坂口ちゃんがそう言った。僕たちはいるのはウサギ小屋にいちばん近いタイヤ。結構大きな車に使ってたタイヤかなぁ・・・。半分埋まってるとはいっても僕たちの身長ぐらいの大きさがあると思う。
「よっ。」
僕はタイヤの上に上った。
「永島君危ないよ。」
端岡ちゃんがすかさず止める。
「大丈夫だよ。これぐらいいつも家の近くの河川敷でやってるから。」
「河川敷・・・。」
僕の家は天竜川に近い。河原まで行くには堤防を一つ越えればいいだけ。堤防の草ぼうぼうの時期に突っ切っていくのは癪だけど、河川敷までは1分かからない。それほど近い所に住んでいる。
「永島君の家天竜川に近いもんね。」
坂口ちゃんのそういう声を聴いて、
「坂口ちゃん僕の家がどこにあるか知ってるわけ。」
「うん。あのおっきな家でしょ。」
たぶんあたってる。
「へぇ。永島君の家そんなに大きいんだ。一度行ってみたいなぁ。そんな豪邸。」
「豪邸って・・・。豪邸じゃないよ。」
「永島君。今度の日曜日さぁ。永島君の家遊びに行ってもいい。」
「えっ。・・・いいけど。」
「やったー。ねぇねぇ、全員で遊びに行こう。クラスの人全員誘って。」
「そんな人数で行ったら永島君迷惑じゃない。」
「さすがにクラス全員はやめてよね。磯部ちゃん。」
そういってから僕はタイヤからタイヤへ飛び移った。ずっとそれを繰り返した。僕は身長がないこと。痩せていることなど結構いろいろな要因で軽い。身軽な体になっている。ただ最後の飛び移りで失敗して、端岡ちゃんに頭から突っ込むことになった。
「だから危ないって言ったのに・・・。」
「アハハ・・・。ごめん。・・・大丈夫・・・。」
「大丈夫じゃない。」
これが萌たちと初めて遊んだ日のことだった。
永島はただのバカです。