8013E列車 女?
小学校5年生の春。僕は4年生の時の誕生日にプレゼントとして、服をもらっていた。まぁ、萌が選んでくれたものだし、着ないと失礼だよね。
「萌ちゃん。あれって。」
蒲谷が萌に何か話しかけていたけど、何と言ったのかは知らない。
「いや、だって渡したときに気付いたんだもん。」
「渡したとき気付いたって・・・。でも・・・何で似合うのかなぁ・・・。顔が女の子だから。」
「そうじゃないの・・・。」
「・・・ナガシィ君。」
「んっ。何。」
「萌ちゃんから聞いたけど、ナガシィの家って大きな模型が飾ってあるんだって。」
「うん。・・・見に来たいの。」
と聞いた。蒲谷はちょっとうなずいただけだった。でも、うなずいたということは見たいと思っているのだ。
「分かったよ。いつでも見においで。」
「誰かつれてってもいい。」
「それはいいと思うよ。ナガシィの家大きいから何人で押しかけてもいいよ。」
「あっ。でもクラス全員はやめてよね。」
そう断っておいた。
土曜日。蒲谷は確かに家に来た。つれてきたのはクラスの磯部、端岡。まぁ、ここはいつものメンバーかな。それと出席番号で僕の後ろの二ノ橋さんと金剛さんだった。って。家に連れてきたのは全員女子かよ。まぁいいか・・・。
「よし。ナガシィ君。ソッコウで模型部屋行こう。」
「それはいいけど、なんでこんなに。」
「ナガシィ君の家に興味があるってい聞いたら興味あるって言ってたから。」
「あっ・・・そう・・・。」
もういいや。何を言ってもついてきたかもしれない。そこにはもう何を言わないことにして、みんなを模型のある離れに案内した。
「うわぁ・・・。広っ。そしてデカっ。」
「まぁ、大きいっていうのはじいちゃんに行ってよね。僕はここで遊んでるだけだから。」
「自分の部屋にしちゃっていいじゃん。羨ましい。」
そういわれてもなぁ・・・。僕は集会の中に入った。萌も集会の中に入った。萌は遊ばないから安心だ。ふとみんなを見てみると、
「あんまり触らないでよ。壊れやすいんだから。」
「いや、だってここ人が倒れてるよ。」
「えっ・・・。」
覗き込むと確かに人が倒れている。これは後でじいちゃんに言っておかなければ。すぐに僕は車両庫に行って、車両をたくさん持ってきた。
「蒲谷。リクエスト。」
そう呼ぶと蒲谷が飛んできた。
「えーとねぇ・・・。あっ。211系ある。これ走らせてほしいってことでしょ・・・。ってこれ東京の奴よねぇ・・・。うーん。迷うなぁ・・・。313系の模型ある。」
「あるよ。確か0番台だったなぁ。」
「それも走らせてほしい。」
小学生の時僕は313系がどこを走っているのか知らなかった。オプションでついていたシールの行先表示に浜松の文字があったので、それが近隣で活躍している車両と知ったのは中学2年生になってからだった。とにかく。僕はこの時在来線には無知であった。だから、蒲谷から少しだけ知識を分けてもらったところもあったのだ。
「分かったよ。」
「他は。やっぱり貨物でしょ。モモちゃんで引いて・・・。あっ。やっぱり寝台特急が一番いい。」
「はい、はい。」
「はいは一回でしょ。」
「・・・。あっ。もう。」
それから蒲谷がリクエストした車両を走らせた。みんなして追いかけながらいると、二ノ橋さんは一つ気になったことがあったらしい。
「ねぇ、最初見たときから気になってたんだけど、ナガシィ君が来てるそれって女の子もののワイシャツだよねぇ。」
「えっ。」
それに驚いた。
「そうだよなぁ・・・。結構地味だけど女の子ものっていうのはわかる。」
「・・・ちょっと萌。何渡してくれたんだよ。」
「えっ。それって自分で買ったんじゃないんだ。」
「買うわけないじゃん。これ誕生日にもらったんだから。萌から・・・。」
「萌ちゃん・・・。」
「だから、間違えたんだってば。おそろの服買ってあげたのはよかったんだけど、ナガシィ男の子なこと忘れちゃったから。」
「忘れるな。」
「あっ。でも、男の子であることを忘れるっていうのはわかる。ナガシィ君って呼ばなかったら女の子だからねぇ。」
「コラ。そこだけで判別するなよ。もっと別なことでそう言う区別つけてほしいなぁ・・・。」
「じゃあ、どこで判別しろっていうの。」
と萌が言った。
「えっ・・・。僕ってそんなに女の子との区別ない。」
それには全員にうなずかれた。みんなに僕が女の子の扱いをされていると分かった瞬間だった。
今回からの登場人物
二ノ橋美萌 誕生日 1993年7月15日 血液型 B型
金剛智香 誕生日 1993年8月16日 血液型 A型
二ノ橋美萌
由来は名寄本線二ノ橋駅。
金剛智香
由来は鉄道ではなく旧日本海軍巡洋戦艦金剛
今回の登場人物のうちどちらかはこの先再び出てくるかもしれません。どこで登場するかは内緒ですが、少なくともMT2では登場しません。




