8001E列車 話した日
当小説はできうる限り順番に時代を進めてまいります。ですので、時代が前後してしまうことがあるかと思われます。あらかじめご了承ください。例としては1年生の話を投稿いたしました次話が小学校4年生の時というように執筆いたしてまいります。
僕の名前は永島智暉。どこにでもいる小学生である。
「なぁ、外遊び行こう。」
そういって僕のクラスメイトは外へ遊びに行く。しかし、僕にはそれが楽しいとは思えない日々が続いていた。僕は一人でいるのが一番良かった。そうあの人と会うまでは・・・。
「・・・。」
「綾ちゃん。ちょっといたずらしないで。」
「だったら遊んでよ。」
「もう仕方ないなぁ・・・。」
「萌ちゃんも一緒に遊ぼう。」
「えっ。あっ。うん。行こう。行こう。」
「・・・。」
僕はそんなクラスメイトのやり取りを見ていた。でも、僕はそれに関心を持っていたわけではなかった。好奇心のない人だと周りからは思われているかもしれない。僕なりに好奇心はあるほうだと思っている。しかし、なかなかそれを表に出すことができないでいた。
(外かぁ。僕は家以外ほとんど外で遊ばないから・・・。)
「・・・。」
外を眺めていた。
授業中。僕には授業以外で楽しみが一つあった。今やっている授業は国語。結構懐かしいと思う人もいるかもしれない。今国語でやっているところは車が関係する文章が載っているページ。家にはミニカーがたくさんある。100台はあるかなぁ・・・。まぁ、数なんて僕には関係ないことだ。それに、それは僕のものではない。
「じゃあ、ここを永島君。ちょっと読んでくれるかなぁ・・・。」
「あっ・・・はい・・・。」
先生に名指しされてしぶしぶ読むことにする・・・。こういうことするのは僕はあんまり好きじゃない。できれば人とあまり話したくない。自分が興味持っているものなんて・・・。周りと僕は話が合わないんだ。こんな話をされて喜ぶ人のほうが少ないと思う。でも、僕はそんなに人に隠すようなことに興味を持っているわけではない。
読み終わると僕は席に腰かけた。
「んっ・・・。」
聞こえる・・・。僕はそれを聞いて少し笑った。
「永島君。永島君はどうしてほかのみんなと話さないの。」
ボクを覗き込んで聞いているのは学級委員だったっけ。名前はなんて言ったっけ。クラス全員の名前を覚えているわけではない。しかし、学校が始まってもう10か月経とうとしている。その時になってクラスメイトの名前を覚えられていないなんて・・・。
「・・・。」
(どうせ話は合わないんだ・・・。)
ということで無視した。
「・・・。」
そろそろ放っといてほしい。僕はクラスのみんなと話は合わない。合わないから、一人にしておいてほしいんだ。僕は机に突っ伏した。話す気なんかないんだ。しばらくすると相手ももうどうでもよくなったのか僕の近くから離れていった。そうだよ。それでいいよ・・・。
「いい加減クラスになじんだらどうなんだよ。」
「だって・・・。僕と話なんか合わないもん。」
「合わない合わないって思ってるから会わないんだって。クラスの気になるやつらとかにでも試しに話してみろよ。誰か話が合う人がいるかもしないぞ。」
そういってくれるのは僕のいとこの駿兄ちゃんだ。
「そうかなぁ・・・。」
「そうだよ。本当は今日話しかけてきてくれた奴だってお前のことが気になってるんじゃないのか。そこからクラスになじんでいけばいいじゃないか。」
(僕の持っている話題に誰かついてこれる人いるのかなぁ・・・。)
そう思った。だって僕の持っている話題は結構ディープだ。こういう話題ってそんなに受ける人はいないと思う。
「まぁ、ものは試しに話してみろよ。」
「・・・。」
翌日。僕はいつものように過ごしていた。
「永島君。」
顔を上げると今度は学級委員じゃなかった。えっと確かいつも磯部ちゃんたちと遊んでる・・・坂口ちゃんだったっけ・・・。
「いつも電車の音聞いてるの。」
「・・・。」
その声を聞いて思わずうれしくなった。ようやっと巡り会えたと思った。僕を話が合う人・・・。
「うん。」
とだけ答えた。こんなこと初めてかもしれない。クラスメイトと話すのはこれが初めてだと思う。自己紹介もしたけど、それ以来クラスの人とは話すらしていなかった。今までクラスから僕を隔離していた。
「・・・。」
「電車って面白いよ。それにかっこいいんだ・・・。僕新幹線が好きなんだ。」
そんな話から始まった。これが僕の・・・。萌と話した日である。
感想がございましたら、お書きくださいませ。なお、このような回想編は本編にも数話含まれていますので、本編もよろしくお願いいたします。
投稿はできうる限り偶数日投稿といたします。