倭に住まう者
久しぶりの更新ですが、読んで下さる方がいらっしゃるようで嬉しいです。
これからも亀のようにゆっくりな更新ですが、よろしくお願いします。
倭。
南北に細く長く伸びた島国の名である。
もし、遥かな上空から見下ろす者があれば、龍を思わせる形をしていることに気がつくだろう。
国土の半分以上が山と森に覆われ、平地はほんのわずかしか存在しない。
わずかな平地の大半は田や畑になっている。
倭に住まう者たちは大きく3つに分けることが出来る。
1つめは、平地あるいは切り開かれた土地に住み、帝を崇め、庇護の替わりに税を納める者たち。2つめは、山や森に住み、優れた身体能力と力を持ち、自然と共に生きる身軽な者たち。
そして、最後はそのどちらでもあり、どちらでもない者たち。
この国に住まう神、この国を支える神の声を聴き、姿を観、祀り、鎮める役割を担う者たち。
その役目上、彼等は全ての町・村・里に存在する。
彼等はただ一人をその頂点とし、神々に仕える。
故に、己が一族のみの命に従い、他の者の命を受け付けず、従うことはない。
彼等が居らねば、神を鎮めること叶わず、その地は荒れ、ただ滅びを待つのみとなる。
よって、彼等に逆らう者はいない。
誇り高き彼等の頂点にたちし者は、姫巫子と呼ばれる。
姫巫子はこの倭で唯一全ての神を鎮めることの出来る巫子であり、倭に広がる全ての社を統べる者である。
姫巫女の言葉は神の言葉であり、逆らいうる者は一人として存在しない。
姫巫女とは、神の魂を持つこの世で最も清らで神聖なる穢れなき者である。
平地に住まう者を民、山森に住まう者を忍、神を祀る者を社人と呼ぶ。
民・忍・杜人の区別なく、神を視し杜人は産まれ出でる。