仮面ライダー龍騎、本編!城戸真司(仮面ライダー龍騎)
城戸真司(仮面ライダー龍騎)の視点で、ミラーワールドの過酷な戦いと、彼が最後まで信じ抜いた「愚直な願い」、そして死の間際に見た光景を描きます。
鏡の向こうの明日:城戸真司の独白
「戦わなきゃ、生き残れない」
神崎士郎が言ったその言葉が、ずっと頭の中で回っていた。
でも、俺にはどうしてもそれが分からなかった。誰かを蹴落として、誰かの命を奪って手に入れる幸せなんて、そんなの、鏡の中に映る偽物の世界と同じじゃないか。
俺は、ただの「城戸真司」として、みんなに生きていてほしかったんだ。
蓮、お前という「相棒」
秋山蓮。お前は本当に、最初から最後まで嫌な奴だったよ。
すぐ殴るし、突き放すし、俺のことを「バカ」だの「お人好し」だのって。
でも、お前が誰よりも傷ついて、誰よりも必死に戦っていたことを、俺は知っている。
恵里さんのために、自分の心を殺してまで戦おうとしていたお前の背中を、俺は放っておけなかった。
お前がいたから、俺は迷いながらも龍騎として立ち続けられたんだ。……サンキューな、蓮。
散っていったライダーたち
北岡さん、あんたは最後まで自分勝手だったけど、どこか憎めなかった。
手塚、お前が命を懸けて教えてくれた「運命は変えられる」って言葉、俺はずっと守りたかった。
東條も、芝浦も、浅倉も……。
みんな、何かが少しずつ違っていれば、あんなふうに消えていくことはなかったはずなんだ。
ミラーワールドなんてなければ。こんな戦いなんてなければ。
俺は、あいつらとも、普通に笑い合える世界が良かったよ。
神崎優衣への約束
優衣ちゃん。君が泣いているのを見るのが、一番辛かった。
君の命を救うために、お兄さんの神崎士郎があんな地獄を作ったなんて。
でも、君はそれを望んでいなかった。
誰かの犠牲の上に成り立つ命なんて、君が一番拒んでいた。
だから、俺は決めたんだ。たとえ俺がどうなっても、この戦いだけは終わらせるって。
結末:雨の中、託した未来
脇腹の傷が、熱い。
雨が冷たいはずなのに、そこだけが燃えるように熱くて、感覚がなくなっていく。
モンスターから女の子を助けた時、不思議と後悔はなかった。
「あぁ、これでいいんだ」って、心のどこかで思っちゃったんだ。
駆け寄ってきた蓮の顔が、雨と血で滲んで見える。
あんなに苦しそうな顔、させるつもりじゃなかったんだけどな。
「蓮……やっぱり、俺……戦いを止めたい……」
言葉にすると、急に体が軽くなった気がした。
俺が死んでも、蓮ならきっと分かってくれる。
この理不尽な連鎖を、お前なら断ち切ってくれる。
「お前は……生きろ……」
最後にそれだけ伝えて、俺はゆっくりと目を閉じた。
不思議だ。暗闇の向こう側に、温かい光が見える。
戦いのない世界。
鏡を見るのが怖くない、ただの日常。
みんなが、当たり前に「おはよう」って言い合える、そんな場所。
……あぁ。
もし、もう一度生まれ変われるなら。
その時は、ライダーとしてじゃなく。
ただの「城戸真司」として、またお前らと会いたいな。
「じゃあな、蓮。……あとは、頼んだぜ……」
俺の意識は、穏やかな静寂の中に溶けていった。
俺が守りたかった、この世界のみんなの「明日」を信じて。




