仮面ライダー龍騎、本編!須藤雅史(仮面ライダーシザース)
捕食者の誤算:須藤雅史の独白
刑事という肩書きは、実に都合がいい。
法を守るフリをしながら、邪魔な人間を闇に葬り、自らの手を汚さずに獲物を仕留める。
ミラーワールドという場所は、そんな俺にとって「最高の狩場」だった。
神崎士郎が言った「戦わなきゃ生き残れない」という言葉。
あれは真理だ。だが、少し言葉が足りないな。
正確には「強い者が、弱い者を食らって生き残る」……それだけのことだ。
獲物たちの群れ
城戸真司。あんな甘っちょろい正義感でライダーを名乗るとは、滑稽で反吐が出る。
秋山蓮。必死に牙を剥いているが、あいつの目には迷いがある。
俺に迷いなどない。ボルキャンサーに食わせる「餌」が多ければ多いほど、俺の力は増し、この世界の頂点に近づける。
「刑事の俺が、法そのものなんだよ」
そう、俺がルールだ。俺が死なせた人間も、俺がこれから消すライダーたちも、すべては俺が「永遠の勝者」になるためのステップに過ぎない。
誤算:秋山蓮との対峙
ナイトとの戦い。
俺のシザースバイザーと、あいつのウィングナイト。
確かにあいつは強かったが、詰めが甘い。
俺のボルキャンサーが放つ、シザースアタックで終わりだ。
そう確信していた。……あの瞬間までは。
結末:砕け散った約束
「……!? なんだ、この音は……」
鈍い音が響いた。
俺の腰にある、カードデッキ。
ナイトの攻撃が、俺の「命の灯火」であるデッキを直撃し、ひび割れを作っていた。
一瞬、思考が止まる。
そして、背後に冷たい殺気を感じた。
「待て……ボルキャンサー……! 俺だ、契約者の須藤だ!」
振り向くと、そこにはいつも俺の命令に従っていたはずの巨大な蟹が、今まで見たこともない飢えた目で俺を凝視していた。
ミラーワールドの鉄則。
「契約を維持できなくなった者は、モンスターの餌になる」
「よせ……やめろ! 来るな!」
俺は必死にシザースバイザーを振るったが、力が入らない。
砕けたデッキからは光が漏れ、俺の体はゆっくりと粒子になって消えかかっている。
それよりも早く、ボルキャンサーの巨大なハサミが俺の体に伸びてきた。
「俺は……俺は刑事だぞ! こんな、こんなところで……っ!」
悲鳴は、肉が噛み砕かれる嫌な音にかき消された。
鏡の破片が飛び散る中、俺は自分が「捕食者」ではなく、ただの「餌」に過ぎなかったことを思い知らされた。
暗転していく視界の中で、最後に見たのは、俺を食い散らかしながらさらに巨大化していく、あの忌々しいバケモノの姿だった。




