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裏切り

「おはよー」

「おはようございます。テールさん」


私はクフェン、Aランク冒険者チームの火炎の星の一員です。


「テールさんはいつも通り早いですね」

「まぁね。ダンジョンに潜る日は早めに起きて腕を温めないと」


テールさんは私と同じ火炎の星に所属している剣士。属性剣を使ってモンスターを燃やすことで有名。


「あ、デランとルークスももう起きてるよ」

「じゃあ、私が最後ですか」

「気にしなくていいよ。私たちが早いだけだし」


私は2週間ほど前にチームに入ったばかりで皆さんとの時間感覚が違ってまだ追いつけていません。でも皆さん優しくてとても頼りになります…


・・・


「なん…で…」


そんな皆さんに私は殺されそうになっていました。


「あ?」

「なんでこんな…」

「あっれー?私たちのことを信用してた感じ?」


足はテールさんに斬られ、手はデランさんによって氷漬けにされたました。


「俺らはAからSに上がらなきゃならない。だがそのためには金と強い仲間が必要だ」

「じゃ…なん…で」

「君、弱すぎるよ。だって僕の魔法にも対応できてなかったし、ダンジョン内でも僕達と比べると動きも鈍かった。こんなの仲間にしとく理由がないよ」

「そん…な」

「そんなグズでもできる仕事が、死んで保険金を下ろすこと」

「あ…」


そうだ。そういえばチームになる時に保険に入ってるか聞かれて…


「お前の保険金は俺たちの資金として使わせてもらう。奴隷として売り捌くのも良かったが、俺たちの評判が落ちるのは面倒だしな…」

「いや…しにたく…ない」

「デラン、うるさいし、もう殺していい?」

「ダメです。ここで殺したら死体が見つかる危険性があります。そしたら僕達が殺したことがバレます。深層に落としましょう。あそこなら死んでも肉片一つ、骨一つ残らないでしょうから。それに深層にまで行ける冒険者なんてほとんど居ませんから」

「そうね。それならさっさと落としましょうか」

「いや…やめて…くださ…い」

「うるせぇよゴミが、さっさとくたばれ」


そして私はそのままダンジョンの底、深層にまで落とされました。


 深層は人間が生きていけるような環境じゃない。そもそも人間が入れるような場所でもないとされています。Sランクのモンスターが大量に存在し、ボスはいまだに発見されていませんが、もしいるのならSSS以上は確定と言われいています。そんな中に瀕死の状態で落とされました。どうにかして逃げようとしますが、手は凍って感覚がなく、足は切り落とされ、私はイモムシかのように這いながら動くことしかできませんでした。そんな私はモンスターたちにとってはいい餌で…


「いや…来ないで…」


大量のモンスターが私目掛けて走ってきました。死を確信し、目を瞑り死を待つことしかできませんでした。でも一向に痛みが来ません。恐る恐る目を開けるとそこには大量の肉塊だけが転がっていました。


「へ?」


近くで血飛沫が待っています。


「何が…」

「ちょっとスー!暴れすぎですよ!」

「だって、師匠が地上に出かけてるせいで暇なんだもん!」

「しょうがない…師匠は調味料の調達中…調味料ないと…美味しくない…」

「はぁ…どうしてこんな感じに育ったのかしら…ってあなた!大丈夫ですか!」


3人の中でも大人の女性といった雰囲気を醸し出している方が私を見つけて近づいてきました。


「これは…かなりの出血ね。しかも手は凍ってるし…装備的に中層から落ちてきたのかしら?でも中層に氷の魔法を使うやつなんて…ってそれどころじゃない!ウェイン!魔法でこの子の氷を溶かして!足は私が回復させるから」

「…うん」


女の子は女性に言われた通りに私の手の氷を溶かしていきます。その時でした。一体のオークに似たモンスターが女の子に飛び掛かります。


「あぶな…」


私が叫ぼうとした瞬間、そのモンスターは一瞬にして黒焦げに死にました。こんな凄技、テールさんですらできません。


「ん、動かないで。間違えて手まで燃やすかも」

「ひっ!」

「ちょっと!脅さないの!大丈夫ですからね。」


気づけば無くなっていた足が完璧に復活し、氷も全て溶け切りました。


「あの…ありがとうござい…ま…し…た」ドサッ


安堵と恐怖と裏切られたことなどが重なりめちゃくちゃだった私の心はついに限界を迎え、気絶してしまいました。

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