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幼馴染 七色

ーーー今日は何曜日だっけ。


,,,,,水曜日か。()()()七色はちょっと着崩した服が好きで、髪の毛は少し立ち上げて、と。


こんな日常にもだいぶ慣れてきたな。

よし。


「行ってきます」


これが俺の日常。

いきなりこんな事言われてもって思うよな。

でも呆れず聞いてほしいんだ。

きっと誰も経験できない俺の‘’備忘録‘’を。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


20xx年7月2日(土曜日)

 俺は今日、七色に告白する。

ずっと前から決めていたことだ。そのために沢山バイトして、デートプランを練って俺が思う最高のシチュエーションを作り上げたつもりだ。


七色(なないろ)とは小学からの幼馴染だ。所謂腐れ縁ってやつだ。昔からよく二人で遊んでいたし、好き とか 嫌い とか、今まで深く考えたこともなかった。

七色を異性として認識したのは中学三年生の時からだ。彼女と喋る度、いつもだとなんて事のない仕草、振舞いに目を奪われて心臓がめちゃくちゃうるさくて

(これは多分、いや絶対に七色が好きだ)

そう気づかされたのが始まりだった。


一方七色は、正直よく分からない。俺とだけ特別仲良くしているわけではないからだ。

学校では男女分け隔てなく喋り、沢山の友人に恵まれ、全員と同じ様に接している。もちろん俺に対しても例外ではない。ただ少し二人で遊んだり、一緒に帰ったりと二人の時間がほかの皆に比べて少し多いだけだ。

それもまた「二人は幼馴染だから」の一言で済まされてしまう。


好きになってからというものの、当たり前かもしれないが七色にも好きになって欲しいと強く思うようになった。他の皆と同じは居心地が悪い。

だがしかし、幼馴染としての時間があまりにも長すぎたのだろう。どう告白するべきかわからない。

というか、七色はどう思っているのか。


何もわからない。幼馴染なのに。誰よりも長く見てきたはずなのに。

こんな事を考え続けていたら高校二年生になってしまい、今に至るというわけだ。


正直デートプランを練ったところでどう告白するかなんて見当もついていない。

でも、このままズルズルと卒業までいってしまうのは嫌だ。

だから、今日俺は七色に告白する。


「珍しいね。竜司から誘ってくるなんて」

「そう、、か?そうか、確かにいつもどこか行くときは七色からだったもんな」

「ホントだよ~どういう風の吹き回し??まさかーー」

やば、勘づかれたか、?

「恋愛相談とか?」

いや、そう、、だけどそうじゃない!

好きなのはお前なんだよ!!

なんて言えず

「い、いやっ?そんなんじゃねーし、てか幼馴染飯に誘うくらい普通だろ」

うわ、声もうわずったし早口だし最悪だ。

「ふぅん。ま、そういうことにしといてあげるよ」

七色はどこか納得したような、変な解釈をしたような表情をみせた。

「いやっ、変な勘違いするなよな!ホント、そんなんじゃないから!」

言えば言うほど墓穴を掘りそうだけど今ここで否定しないと告白どころではなくなるから仕方がない。

「わかったって~ほら、映画始まっちゃうよ?」

屈託ない笑みを浮かべてそういう彼女。

そういうところ、そんな表情が好きなんだよ。

「いこっ」

下唇を嚙みしめている俺の腕を引っ張って映画館に入った。


映画は最近テレビCMでもやっている流行りのやつ。そんなに映画には興味もないのだがデートと言えば、といったところだろう。


いつ始まるのか分からないレベルで流れる予告編をぼーっと見つめているうちに本編が始まった。

予想はしていたが映画の中身は全く頭に入ってこない。

この後の告白のことで頭がいっぱいだからだ。

映画の音ばかりが頭に鳴り響く。

あぁ、うるさい。今はそれどころじゃないって。

目をギュッと閉じていると横から

「怖いんだ?」

そう耳元で囁く声がした。

ちょうどホラーシーンだからか?いや、そんな事どうでもいい。

とっさに片耳を覆った。

俺の心はかき乱されるばかりだ。

絶対に今顔が赤い。ここが映画館でよかった。


映画が終わり夕食を食べにレストランに向かう。

「映画、観てみると面白かったね~竜司もああいうの好きなんだ?」

「ん、まぁ少しは」

やばい、興味がないとは言えないからそういったものの会話が続かない。

「意外とミーハーなとこあるんだね~」

そう言うと、自然と会話が終わる。

あまりいい流れではない。夕食で取り返さないと。


夕食は初めて行くレストランだ。どうやらステーキが売りらしい。

「竜司ってステーキとか食べるんだ。いつもお寿司のイメージだった」

そのとおりである。ステーキなんて嫌いでも好きでもない。

全ては告白するために選んだのだ。

「たまにはステーキもいいだろ?どうせ美味いだろうし」

「それもそっか~」

どこか釈然としない。俺は何か間違えたのだろうか?


ここから食べ終わるまでは学校での話、行事の話、少しの昔話で場をつないだ。

帰り道、予定では映画で盛り上がってもらい、その感想を夕食の時に聞く。そして帰り道、別れが名残惜しくなったところで告白。そんなシチュエーションをイメージしていた。

今のところ、すべてが空回りしている気がする。イマイチ七色が盛り上がってくれない。

このまま告白なんてできる気がしない。


そう思ったが今日このために色々準備をしてきたのだ。

今しないでいつするんだ。勇気を出せ、俺。


いつものバス停前、空気も少しずつ冷たくなってきている頃。

いつも通り綺麗な横顔をしている七色。

そんな空間に飲み込まれそうになりながらも声を振り絞った。


「あ、あのさ、七色」

ふと顔を向ける。

「どした~?」

うわ、告白ってこんな緊張するんだ。全身が震えるのが分かる。心臓も意味が分からないくらいうるさい。

「俺らって幼馴染じゃん」

「うん」

「ずっと一緒にあの、遊んだり!とか、仲良くしてたじゃん?」

「幼馴染だもんね」

「でも、なんていうかその、俺はもっと仲良くなりたいっていうか、、そのーー」

「好き、、なんだよな」

言った。言えた。やっと...!

恐る恐る彼女の顔を見るため目線を向けようとした、が。


「私は、竜司とは幼馴染なだけだよ」

頭が真っ白になった。どうして、あんなに仲良くして、二人の時間も誰よりも多かったのに。

「え、どうして」

「わかんないなら大丈夫。竜司のこと嫌いじゃないよ」

そう言う彼女は何故か少し寂しげな表情を浮かべる。

「嫌いじゃないならっっーーーー


キーーンとすごい耳鳴りがして、目の前が真っ白になった。咄嗟に頭を抱える。

ふらつく、やばい倒れるっっ、、!


‘’危ないっ‘’と七色の声が聞こえた刹那、全身に衝撃が走る。


あれ、空中を舞っている?

俺の記憶はここで一旦途絶えた。



..................ん?


ここは?病院か。

俺多分着たバスに轢かれて、ぶっ飛んで、それで、、

今何日だ?

首が痛い。

生きてるのか?

七色は?


頭の中を考えがグルグル駆け巡る。


ーーーおい

「おいっ!!」


とても大きい声が病室に鳴り響く。

びっくりした。誰かいたのか。ヤンキーみたいな迫力、でも女の人だ。同じ病室の人か。

「あ、すみません」

少し痛む首を振り、声がする方に体を向ける。


「20xx年7月4日 月曜日だよ。わかったか??」

俺は目を疑った。

明るめの茶髪、膝丈より上のスカート、ピンク色のカーディガン。何よりその態度。


でも顔が、、、顔がどう見ても七色なのだ。


「な、七色、?」


俺の中で時が止まったような気がした。

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