頼れる変態
どうも紅の雲雀です。今日は卒業式だけだったんで午後は暇なのですよ。だから投稿します。では、どうぞです
私はあの後、保健委員長さんに助けられた。
その時。
『今日は患者が多いわね』
と言っていた。
もしかしたらその患者の一人は大河だったのかもしれない。
私は悔しい。
生徒会をクビになったこと。
私が弱いこと。
もっと強かったら会長さんも心配しないはず。
修行……したほうがいいのかな?
でもどうやって修行しよう……。
「奈々さん、大丈夫ですか?」
「え? あ、うん……」
「何か顔色悪いから……」
「大丈夫……」
葉月ちゃんが心配そうに私を見る。
「考えてることは一緒ですか……?」
「たぶんね」
「解散……」
不安が心を支配する。
私が弱いから……。
そればかりが私の心の中で永遠とループする。
「奈々さん」
「何?」
「修行しましょう」
「え!? いきなりどうしたの」
「弱いままだとダメな気がして……弱いと会長に心配をかけるから……だから強くなって会長を安心させてあげましょう」
「でも……私たち、もう生徒会役員じゃないんだよ……?」
「でもじゃないです! やると言ったらやるのです」
「どうやって修行するの?」
「ん~っと……じゃあ、私はロボットを作るのでそれと戦ってください」
「うん……」
「そうと決まれば………………じゃじゃん! 完成です!」
「もうできたの!?」
「はい! 私が作るのが速いか、奈々さんが壊すのが速いか……」
「勝負だね」
「<雷の槍>!」
私は葉月ちゃんの作ったロボットを壊してる。
私と同じくらいの速さで葉月ちゃんはロボットを作ってる。
「砲台用意です! 続いて大砲を配置! <大砲の絶壁>です」
大砲のバリアね……。
残念だけど……。
「その弾の行き先は私じゃなくてそっちね」
「!」
磁石。
私の電気でつくった凄く強い磁石。
大砲の弾は私のほうじゃなくて、そっちの磁石にほうにとんでった。
「まだまだです!」
これはトラック?
分からないけどデカイ車が突っ込んでくる。
「<落雷>!」
車のど真ん中に雷を落とした。
そして車は爆発。
煙で辺りが見えない。
これを利用して私が勝つ。
「甘いですよ!」
いつのまにか葉月ちゃんが後ろに立っていて、周りにはロボットがあった。
「参りました……でも何でここが見えたの?」
「そんなの簡単ですよ。私は煙を見えなくする機械を作ったんです。そして足音を消すために、音のしないロボットのキャタピラに乗って、奈々さんの後ろに回ったんです」
「そうなの……惨敗ね……」
「いやいや……奈々さんが本気をだしてたら私黒コゲですよ」
「でも負けたのは私だし……やっぱり修行……でも誰に見てもらおう」
「う~ん……心あたりがありませんね」
「私も……」
私は一人思いついた。
でもこの人だけは……。
私は迷っていた。
一人。
いるけど頼むのは気が引ける……。
「いるよ……一人だけ頼める人が」
「誰ですか?」
「宮尾土門先輩……」
「宮尾先輩ですか……?」
「うん……変態で……変態で……変態の最低な先輩……あの人に頼むのは気が引けるけど。かなり強いし、前年度の生徒会役員だった人」
「え? じゃあ何で今年は生徒会に入らなかったんですか?」
「会長さんいわく『あの変態さんは私の生徒会にはいらないですから』だってさ」
「……そういうことですか……」
「ここらへんでいいかな」
「?」
ここはプールの近く。
私はそこに座る。
「葉月ちゃんは危ないから。遠くに行ってて。そして……(ごにょごにょ)」
「あ、はい」
遠くに行ったことを確認する。
そして……。
「<放電>!」
「うぎゃーーーーーーーーー!!!!」
やっぱり。
「こんにちは、先輩」
「あ、奈々ちゃんだね。久しぶり。俺と付き合う気になった?」
「そんなわけないでしょう……」
「え。え? ど、どこからきたんですか??」
「お、白井葉月ちゃんか~」
「何で私の名前を?」
「ふん、俺はこの学園の女子はほとんど覚えてるんだぜい」
「だから先輩はみんなから変態って呼ばれてるの」
さっきから葉月ちゃんが不思議そうにしてる。
「で、どうやってここに来たんですか??」
「俺の能力だよ」
「先輩の能力は“土”ですよね?」
「うん、俺は土を操る能力」
「さっきは土に潜っていたんでしょう。だから私が地面に向かって放電したの」
「そういうことですか」
葉月ちゃんが手をポンッと叩いて言った。
「で、何の用? 俺も暇じゃないんだよ?」
「どうせ今からプールを覗こうとしてたんでしょ……」
「そう、そのとおりだ」
「私たちはお願いしに来たんです」
「お願い?」
「私たちの修行の相手になってください」
先輩は笑顔で答えた。
「ごめんね」
「何でですか?」
「だって俺。痛いのとか修行とか苦手だし」
「先輩は元生徒会の人間でしょう」
「だから?」
先輩は妙に真剣な顔で答えた。
「たしかに俺は元生徒会役員だった。だから? 俺にその修行は関係ないし。今生徒会で起こってる問題も関係ない。そんな関係のない俺に何で修行を見てもらうんだ?」
「関係あります! たしかに先輩は生徒会を辞めさせられました。会長さんはあんな事言って追い出したみたいですけど、会長さんが貴方を追い出した本当の理由を貴方は知らないでしょう」
「本当の理由?」
「一応調べさせてもらいました。3年1組。名前宮尾土門。去年は生徒会に所属していた。そして貴方は大変優秀な生徒だった。授業も生徒会もいつも休まず出席していた優等生。でも去年の夏、一つ事件が起こった」
「そんなことまで調べたんだ……」
「はい」
「???」
後ろでは葉月ちゃんが頭にはてなを浮かべてる。
「だからって修行を見るのと話が違う」
「断ると?」
「ああ」
私はそうですかと言い葉月ちゃんのほうを向いた。
別に諦めたわけじゃない。
話し合いでダメなら、もっときちんとした手段でいかなきゃ。
脅迫とかね。
「では、先輩の持っている画像。全て消させてもらいます」
私が葉月ちゃんに指示したのは、先輩のパソコンにハッキングして画像を消すため。
「もちろん宮尾先輩のことですから、葉月ちゃんの能力はご存知ですよね?」
「きたない手だね……でも、そういうの嫌いじゃないよ。それほど問題は危険なようだし。俺でよかったら手伝わせてもらうよ」
全ては計画通りかな?
でも一応私たち生徒会が写ってる写真は消させてもらったけど。
それに気づくのは先輩は家に帰ってからのお話。