初めての本格的勝負!
大河が侵入者と戦って、私と葉月ちゃんは会長さんたちを探すことになりました。
あ、今回は私(彩崎奈々)視点なのでよろしくお願いします。
まずは1階から探しに行き、全てのクラスを見ましたが誰もいません……
「奈々さん、あの監視カメラが映っていなかったところに行きます?」
うん、ちょっと怖いな……今は大河がいないし……。大丈夫かな……?
「一応行こうか、映らなかったところってどこなの?」
「えーと……月麗学園旧校舎です」
月麗学園の旧校舎は学園からちょっと離れたところにあります。旧校舎はボロボロで気味が悪く誰も近づかないはず。
「それじゃあ行きましょう」
ただ監視カメラが壊れただけ、という結果を祈りながら。そこで何もないことを祈りながら。
そして私と葉月ちゃんは旧校舎についた。そこには……
「やー、そこのお姉さん、ボクとお茶しない? な~んてね」
「もちろんお断りします」
そう言いながら私は辺りを見回した。けど会長さんらしき人物は誰もいなくて、戦ってる気配もなかった。
「ん? 君が探しているのは弱気な王子様? 元気なお嬢様? それとも最強の女王?」
晴樹先輩、由香里先輩、会長さんのこと?
「どこにいるのか知りたい?」
「簡単には教えてくれなさそうな顔ですね」
「もちろん。簡単には教えないさ」
「で、どうしたら教えてくれるんですか?」
「ボクと戦って君が勝ったら教えてあげる。簡単なルールでしょ?」
戦いはいいけど葉月ちゃんはどうしよう。
「そちらのお嬢さんも参加してもいいですよ」
2対1……でも葉月ちゃんの能力は戦闘向きじゃないし……。
「奈々さん、私も戦いますよ」
「うん……」
「さーて、ゲーム開始じゃん」
「<放電>!」
私は相手が話し終わると同時に雷を放った。
「まあ、気が早いお嬢様だこと」
「!」
「何で? って顔してるね。ゲームは始まったばかりだ、もっと楽しもうよ」
私の雷が聞いてない? 何で?
「<放電>!」
「また同じ攻撃かい? はぁ……もう飽きたよその攻撃、<草のバリア>」
草? ってことは自然を操るの?
「次はボクから攻撃するね、<紅薔薇>」
そして相手のほうから私に向かって薔薇が飛んできた。
でも遅い。
私は真横に避けた。
「まだまだ」
相手は笑いながら言った。
すると薔薇のとげが全方向に向かって飛んできた。
「<電気の壁>!」
「反応が早いね、でも後ろががら空きだ、<蔓の鞭>」
「いっ……」
私はとげのほうに集中していて反応ができなかった……
「だ、大丈夫ですか!?」
「……大丈夫だから、葉月ちゃんは逃げて」
「え、で、でも!」
「いいから!」
「は、はい……」
葉月ちゃんは全速力で逃げた。
「あらあら? もう一人のお嬢さんは仲間を置いて逃げちゃったの?」
「…………」
「臆病者? ひ弱? 雑魚? なのそのお嬢さんは」
「……葉月ちゃんの悪口を言わないで」
「でも事実だ」
葉月ちゃんは生徒会に入ったばかりの新入りで話したことが少ない。けど私たちの仲間。だから仲間の悪口を聞くのは嫌だ。絶対に負けたくない!
「許さない……<放電>!」
「まだ懲りないの? いい加減諦めな、<草のバリア>!」
「じゃあ次はもう一段階上の<落雷>!」
「へー雷を落とせるのか。でも<草のバリア>!」
「残念ながらその落雷は貴方に落としたものじゃないよ」
落雷は私に落としたものだ。そして私の体に雷を纏わせる。
「自分に?」
「<放電>!」
「だから! 飽きたって言ってるだろ! <草のバリア>!」
「私もそのバリア飽きました」
私が放った雷は草のバリアに当たりバリアを焼いた。そして相手に当てた。
「くっ……そんなの猫のラッキーパンチだろ? <紅薔薇>!」
「<電気のバリア>」
「ほ~ら、また後ろががら空きだ! <蔓の鞭>!」
「その攻撃も飽きましたよ、<電気空間>」
私の周りに半径2メートルの円状の雷をつくった。
「とどめ! <放電>!」
「あはははははっ! 残念ながらそれは効かないよ! <草のバリア>!」
「だからそれは効きませんって……!」
しまった!
「どうやらその落雷の力を使い果たしたみたいだね、<蔓の鞭>」
「<電気の壁>!」
「ボクもそろそろ本気だしていい?」
「!」
ってことはまだ本気じゃなかったの!?
「<光合成>」
そういうと相手の傷が綺麗に直っていった。
「光合成って植物が二酸化炭素を吸って酸素をだす、けどボクは二酸化炭素を吸って回復するんだ」
振り出しに戻った……。
「さぁ! 絶望すればいい! ボクの力の前でひれ伏せばいい!」
どうすればいいの……。
また攻撃し続ければいいの?
でもまた光合成したら?
分からない……。
「さーて、次の攻撃で楽になりなよ<蔓の槍>」
終わった……。
「<機械操作>!」
「何だこの機械?」
「ハァハァ……遅れました……白井葉月、参上ですっ!」
「ああ、臆病者のお嬢さんか」
「どうしてここに来たの?」
「だって仲間を置いて逃げるなんてできないです。だからこれを持ってきたんです」
それは色々な機械だった。
「選手交代です。私が相手になります!」
「二人でかかってきてもいいんだよ?」
「それじゃあ私も再参加する」
「で、でも」
「いいから」
「はい……」
「二人だけで話してるなよ! <蔓の槍>!」
「<機械操作>!」
葉月ちゃんはクレーン車を操作して蔓を折った。そして相手を攻撃した。
「ちっ! <紅薔薇>」
相手は薔薇をクレーン車に飛ばした。
「散れ!」
すると薔薇の花びらが散り花びらがクレーン車を切り刻んだ。
「俺の薔薇の切れ味はどうだ? 強いだろ?」
そして葉月ちゃんは笑った。
「それじゃあ爆発してください」
「は?」
クレーン車が爆発した。近くにいた相手はその爆発に巻き込まれた。
「植物で爆発は防御できないですよね?」
「確かに効いたぜ。でも残念だね。無傷だ」
「また光合成……」
「回復できるんですか?」
「お前らの攻撃は全て無意味だ」
どうしよう……必殺技みたいな奥の手はあるけど、葉月ちゃんが危ないし……。
「ならこれなんてどうですか?」
銃? しかも大きい。
「ロックオン! 当たって!」
「そんな銃ごときでボクに勝てると思ってるの? <草のバリア>」
「しかたないです<融合>」
葉月ちゃんはもう一個機械を取りだした。
「よし、これでいいです。奈々さんちょっといいですか?」
葉月ちゃんが私の耳元に来た。
「…………分かったよ。<放電>!」
私は葉月ちゃんの改造した銃に電気を飛ばした。
「充電完了です! 発射!」
葉月ちゃんは私の電気を纏わせた弾を発射した。
「だから効かないって、<草のバリア>」
「残念ながら私がこの銃に融合させたのは奈々さんの電気を倍増させる機械です。そしてこの攻撃は囮です。本命はこれからです」
「はぁ?」
葉月ちゃんには悪いけど、奥の手だすね。
「<神雷龍>!」
神の雷の龍。まだ制御だ完璧じゃないし、私の全ての電気を食われる。だから奥の手。これで倒せなかったらお終い……。
「あっははははは! 面白いや! やっぱりゲームはスリルがないとね! <蔦の壁><草のバリア>!」
私の龍は相手のバリアに当たり、それを貫いた。相手は気絶して倒れた。
ヤバイ……私も全力を出したから……
「奈々さん! 大丈夫ですか? 今助けを呼びますから!」
瞼が重い……疲れたし寝てもいいよね。
「あ、もしもし。生徒会役員の白井ですが保健委員長さんはいますか! 緊急で旧校舎にきてください!」