エピローグ
夜空には星が瞬いていた。どこまでも続く深い闇の中で、彼女はただ立ち尽くしている。星々の輝きはどれも小さく、彼女の足元まで届くことはない。けれど、それでも一つひとつの光は確かにそこに在り続け、冷たくもどこか温かい光で夜空を埋め尽くしていた。
「君が選んだ道を、後悔していないかい?」
不意に聞こえた声に、彼女は振り返る。そこには、漆黒の闇に溶け込むかのような姿があった。静かな瞳で彼女を見つめるその存在は、どこか懐かしさと、そして抗いがたい力を秘めている。彼女は微笑んだ。彼女にとってその問いの答えは、とうの昔に決まっていたのだから。
「夜空に触れたその日から、私の道は決まっていたんだと思う」
彼女の視線は再び夜空へと戻る。星々の輝きが、今にも溢れ出しそうに瞬いている。運命に導かれ、幾度も希望と絶望の間をさまよった日々がふと胸をよぎる。それでも彼女は確かに立っていた。どれほどの夜が訪れようと、あの星が輝き続ける限り、彼女の戦いは終わらないのだろう。
そして、彼女の姿は再び夜の闇に溶け込むように消えていった。
その日から、夜空にはひときわ美しい星が加わっていた――誰もが気づかぬ場所で、けれど確かに輝き続ける光が。