「つばさの党」はなぜ逮捕されるような行動を取ったのか?
筆者:
本日は本エッセイを選んでいただき誠にありがとうございます。
今日は政治団体「つばさの党」の代表黒川氏と15区に立候補していた根本氏が警視庁から公職選挙法の自由妨害罪などの罪で家宅捜索、逮捕、特捜本部設置までされた件について、言論の自由とアテンションエコノミーの在り方も含めて個人的な考察をしていこうと思います。
◇つばさの党は何を目的に妨害行動に出ているのか?
質問者:
つばさの党というのは今回突如として話題に上がりましたけど一体どんなことを述べている政党なのでしょうか……。
筆者:
どうやら調べた限りによりますと代表の黒川氏は旧NHK党と関わり合いが強く、
旧NHK党公認の参院比例代表からも出馬しています。
主張している内容は反中国共産党、対米独立など――実を言うと僕と近い主張をしていますね(笑)。
ところが今回問題となったようにかねてから「主張している方法」に問題があるのです。
質問者:
記事などによりますと、今回の衆院補欠選挙の東京15区では、
〇「へい! へい! へい!」などと他の候補者を挑発する。
〇他の候補者の街頭演説の近くで大音量の演説、クラクションを鳴らすなどを行い邪魔をする。
〇公衆電話ボックスに座って演説。
〇他の候補者の選挙カーを追い回す。
〇暴行行為で他の陣営の関係者数人に負傷者が出る。
などといった行動をしていたそうですね……。
どうしてこのような行為までして自らの主張をしたいのでしょうか……。
これで当選できると思っているんでしょうか……。
筆者:
一般的な話であれば『悪名は無名に勝る』と言う言葉がありますが、
「無名に勝る」と言うだけで、ちゃんとやっているちょっと有名な人には悪名は劣るのが現実であり、
公選による公職に就こうというのであればこのような活動は圧倒的に不利だと思います。
そのために僕が思うに、表向きでは選挙資金の寄付目的のために当選しようと動いているポーズをとっているでしょうが、内心の心理感情としては当選目的で出馬していないと思っています。
質問者:
えっ……どういう事でしょうか?
筆者:
かねてからつばさの党の黒川氏と根本氏に関しては立候補者の演説に乗り込んで大声を出して選挙妨害し、その様子をSNSでリアルタイム配信するスタイルを取っていました。
最近のSNSの閲覧数や動画配信サイトでの再生数による収益システムである「アテンションエコノミー」を活用し、数によるインプレッションの収益を目指していると思われます。
ですから、つばさの党の動画などは彼らを支援する気が無いのであれば“見てはいけない”という事になります。
また、主張していることはまっとうなこともあるので、一定の「信者」が付くだけでも寄付金などによる収益を得ることが出来ます。
今回の選挙においても、
立憲民主党に消費税を増税する政党だと主張したり、
小池都知事について学歴詐称疑惑について追及
するなど、主張している内容そのものについては、一般人からしてみても追及して欲しいことを主張していると思います。
ですから、極少ない数ではあると思うのですが活動を支援する人間と言うのも出ると思いますね。
質問者:
なるほど、結局は昨今のSNSの「炎上商法」に近い状態なわけなんですね……。
◇同じ主張の人も迷惑する
筆者:
今回の一件につきましては傷害罪や公職選挙法違反などで捜査されているのですが、仮に初犯と前例が無いために刑が軽い又は不起訴になったとしても、「品性が欠ける人物」の主張は多くの人には受け入れられないと思います。
特に他人の主張する自由や権利を無理やり妨げてまで自らの権利主張をすることは言語道断と言えます。
正直なところ、同じ主張をしている人までもが「頭のおかしい人物」だと認定される恐れもあります。僕を含めて同じ主張をしている他の人間に対しても二次被害が及んでいるのです。
質問者:
しかし、つばさの党の主張はある意味まっとうな部分もあるわけですがそれについてはどうシステム改善をすればいいのでしょうか?
筆者:
結局のところ本当に世間が知りたい情報をマスコミが取り上げないことが問題です。
特に小池氏の学歴詐称問題については、元側近が最近新たな告発をしたにもかかわらず、メディアや記者は追及を行おうとしません。
学歴詐称が認められればもしかすれば立候補できないといったこともあるので重大な問題です。
※公職選挙法235条 当選を得る目的で候補者の身分、職業、経歴などに関して虚偽の事項を公にした者は2年以下の禁固または30万円以下の罰金
かと言って強引に候補者同士として強引に街頭で討論を要求し、要求に応じなければ不法行為を行うというのは問題外です。
ただ、候補者の討論につきましても公開討論などの場で大きな項目についてそれぞれ、討論・論戦するなどと言った行為でない限り議論は中々行えないというのも事実としてあります。
メディアと討論の場を改善することが大事かなと思います。
◇なぜ警察はすぐに動かなかったのか?
質問者:
しかし、どうして警察はすぐに動いてくれなかったのでしょうか?
東京15区の選挙中に被害届が出ていたようですし、すぐに逮捕されていてもおかしくはないのではありませんか?
筆者:
警視庁のすぐに逮捕をしなかった理由としましては「選挙の公正確保」ということのようです。
これまでは一般市民が候補者の選挙の妨害を行った際にすぐさま現行犯逮捕されたケースであり、「立候補者が他の立候補者を妨害するといったこと」が異例だったためですね。
普通考えたら自身の当選のために選挙というものは比較的には品行方正に活動をするものです。
しかし、つばさの党は上でも考察した通り、選挙そのものを「インプレッション稼ぎの場」として活用しているわけです。
そのために、「妨害行為を行う事で稼ぐ」というちょっと常識とは全く異なる行動をしているわけです。
そのために対応が遅れてしまい被害が拡大した側面があるのです。
ですから今後の公職選挙法改正を行う必要性について議論がされているという事なんですね。
◇今後の言論と法改正について
質問者:
なるほど……そもそもの行動原理が違うという事ですね。
今後はどのような法改正が行われるんでしょうか?
筆者:
まず現行の公職選挙法においては選挙の自由妨害罪に該当する行為の明確化や、罰則の強化が議論されていくことだと思います。
ネットの過剰な炎上インプレッション対策につきましては、
24年5月10日には改正プロバイダ責任制限法が成立し、インターネット上の権利侵害にあたる投稿・広告への削除申請があった場合、SNSの運営事業者に対応を義務づけることになっています(施行は1年以内と不明のためにすぐに適用されない)。
質問者:
「言論弾圧」と言われる可能性についてはどうなんでしょうか?
筆者:
「言論弾圧」は簡単に言ってしまえば中国のように反共産党の主張をしただけですぐさま逮捕されるような事態のことを言うと思います。
その点、日本の言論の自由は保障されていると言えると思いますね。
ただ、日本も罰則規定は無いものの徐々にネットでの情報管理の体制は整いつつありますね。
正式に改定された際に触れようと思うのですが、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」改定案などでも誤情報の規制を行うことになりそうです。
ただ、ネット上の治安維持(インプレッションのための過剰な投稿防止)のためには一定程度は仕方のないことではあるのも事実なので本当にこれは難しい問題だと思いますね。
質問者:
一体どの段階で“デマ”や“過剰な投稿“とするかが課題になりそうですね……。
筆者:
嘘であったとしても誰かが幸福になる「思いやりがある嘘」ならいいと思うんです。
例えば待ち合わせに遅れてきた相手に対して前々からいたのにもかかわらず「今来た」ということであれば、相手を思いやった「良い嘘」になるわけです。
結局のところ「損害を受けたかどうか」が一番重要なポイントかなと思います。
これには金銭的な損失、物理的な損失だけでなく精神的な苦痛も含まれると思います。
僕も一応はプチ言論人として、読まれている方がなるべく不快に思われないような内容を普段マスコミでは言われていない角度から発信していこうと思いますね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は「つばさの党」はインプレッション稼ぎと寄付金目的のためにまっとうなことを言いながらも妨害活動をしているのではないか? ということ。
今後の言論活動は相手が損害を受けないような発信をすることが重要だという事をお伝えさせていただきました。
今後もこのような時事問題や政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていますのでどうぞご覧ください。
陰謀論的な話ですとつばさの党は公職選挙法改正、ネットでの言論統制をさせるためにわざわざ大きな事件を起こしたのではないか? と言われています。
可能性はゼロではないにしろ、明確な根拠を示すことが出来ませんので本文には書かないでおきました。