表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私たちの持つ「ゆめ」

作者: 天海波平

何となく思うところのエッセイ。

 もし、あなたが小説家になりたいと考えたとき。

 その理由は? と聞かれたならばどう答えるのか。


 人の心に響く物語を描きたい。


 自分の持つ感性をあまねく表現したい。


 自分の承認欲求を満たしたい。


 他にも色々な理由があるだろうが、そのいずれの願望も「欲望(ゆめ)」という言葉の内に入るだろう。

 何も小説家だけではなく、プロ野球選手やサッカー選手、芸能人や映画俳優、政治家や優れた経営者、アーティストやコーディネーターなどになりたいとしても、理由は異なるとしても、そこにある願望に大きな違いは無い。


 願いとは欲求でもあるからだ。


 「欲望(ゆめ)」は決して悪いものでは無い。


 人間は「欲望(ゆめ)」があるからこそ、それを満たす為に行動する。

 その過程で苦悩し、迷い、挫折や後悔を経験する。

 だがそれが、人間の成長への糧となりうる。

 人間は「欲望(ゆめ)」があるからこそ進化・発展してきた。


 世界のあらゆる偉人たちは「欲望(ゆめ)」を捨てきれなかった。


 イエスもブッダも「愛」や「真理」を世にもたらすという「欲望(ゆめ)」を捨てきれなかった。


 だが、「欲望(ゆめ)」は全てにおいて正当化されるものでも無い。

 その「欲望(ゆめ)」は人々を幸せにすると同時に、争いを引き起こす原因にもなった。

 先の偉人たちの「欲望(ゆめ)」は、後の時代に続く人物の「欲望」を満たすために利用されることもある。

 戦国時代に日本にやって来た宣教師が、布教の為だけに来たわけではない事は広く知られている。

 口では「愛」を語りながら、心は「支配欲」で満たされていた。

 それは、当時のアジア諸国を見れば理解できるだろう。

 

 だが、そのような彼らを一方的に非難する事は出来ない。

 何故なら、そんな彼らの「欲望」は私たち自身の内にも少なからず存在するからだ。

 食欲、色欲、睡眠欲

 三大欲求と称される欲以上に、私たち人間は「欲望」にまみれている。

 金欲、名誉欲、独占欲、etc

 

 自分だけ儲かれば良い

(私だけなぜ貧乏なのだろう)

 自分だけ幸せなら良い

(私だけなぜ不幸なのだろう)

 自分だけ、自分だけ……

(私だけ、私だけ……)

 

 人間は「欲望」と共にある存在なのかも知れない。


 そんな私たちも、最初から「欲望」にまみれていた訳ではない。

 自我も持っていない幼少の頃、あったのは食欲と睡眠欲ぐらいのものだっただろう。

 その欲の多くは、母の愛をもって満たされていた。

 だが、成長とともに自立する過程で、別の大きな「欲」へと変貌していく。

 人間は成長とともに欲深くなるものだ。


 それは「知恵の実」。


 私たちは成長の過程で「知恵」を取り込み、心の内に「欲望」を育む。

 「知恵の実」の種から発芽したその「欲望」は自身を覆い、時に視界を狭め周囲を見渡すことを阻害し、惑わせる。

 それでも「欲望(ゆめ)」は簡単に手放せはしない。

 楽園から遠ざかる事になろうとも。

 「欲望」を心の内に秘めたことによって、挫折し、苦悩し、嘲られ、そして羞恥する。


 私たち人間は、そのような存在かも知れない。


 少なくとも、いま私たちは楽園にはいない。

 混沌の世界の中で、自分の存在を昇華しようとする「欲望(ゆめ)」を秘めた存在だけでしかない。


 その「欲望(ゆめ)」を満たす手段は、誰もがなんとなく知っているだろう。

 そして誰もが、手になかなか掴めないものでもある。


 私たちの持つ「欲望(ゆめ)」とはそのようなものだろう。



自分が幼稚であることは自覚している。


ただ、自分の言葉で定義を示しておこうと思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 人間がここまで繁栄出来たのは欲の深さ、強さ、多様さゆえですよね(^_^;) そりゃあ社会が生き苦しくなるはず( ´艸`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ