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インディゴの野望 (★ジンク皇子視点)

ジンク皇子は20万の大軍を率いて、ブルーフィールズ城を目指していた。


敵に気づかれぬよう、暗闇の中を静かに行軍する。遠くで緑龍が暴れいる。その周りでは青士同士が戦っていた。


インディゴ卿の策では、皇帝陛下寄りの青士団に緑龍討伐を行わせ、それを背後から襲うことで邪魔者を一掃すると聞かされていた。その策通り進んでいるようだ。罠の可能性も捨てきれないが。


ブルーフィールズ城近くで、隊を編成し待機させることにした。笛の合図でいつでも動かせるようにしてあるが、可能な限り血は流したくない。


10名の先鋭を連れ、城の門へと向う。門番にインディゴ卿との会談に訪れたことを伝える。案内役の青士がやってきて、場内へと連れていかれた。


会議室のような所へ通された。数分でインディゴ卿がやってきた。


「これはこれは、遠いところ、よくぞお越しくださいました」


「カッパー皇子は」


「申し訳ございませんが、来られません」


その言葉を合図に、四方の扉から青士がなだれ込んできた。ジンク王子らを囲む。


「動くなっ! 笛を吹いても無駄だぞ。貴様の緑士団は既に私の青士団(ぶか)が抑えている」

インディゴ卿が、ジンク王子の指先を睨みながら言った。笛を吹こうとしたのが、悟られたようだ。最後の手段にでる。


(緑龍、聞こえるか。ただちに、ブルーフィールズ城せめよ)


思念を送る。思念による会話は、知能の高い龍種のみが使える能力だった。


(我が主、申し訳ございません。向かえそうにありません)


この会話以降、いくら緑龍に話しかけても、返事は帰って来なかった。


ジンク王子は愕然とした。インディゴ卿は緑龍をも、抑えたのか。最悪、緑龍を動かせばいいと考えていたからこそ、ここまで乗り込んできたのだ。


待機兵と緑龍で二段階の保険をかけていたのだ。その両方がが使えないとなると、分が悪すぎる。


インディゴ卿が全てを見透かしたかのように、ニヤリと笑った。


「ジンク皇子と緑士を引っ捕らえよ」


青士により乱暴に縛られた後、帝王の間に連れていかれた。


カッパー皇子が来なかったことで、凡そ、予想はしていたが、フサロ皇帝陛下一族も捕らわれていた。


そこから、インディゴ卿の自分語りが始まった。

如何にフサロ皇帝陛下が目障りだったか。自らの素晴らしさ、

そして、皇帝陛下さえ居なければという嘆き。それを実現するための努力。

ひいては、己を認めてくれたニガレオス帝国皇帝ボン・ブラックへの忠誠。

青龍を抑えるための封印術式もニガレオス帝国から入手したこと。

緑龍討伐と見せかけて、邪魔なラズワルド卿を排除したこと。

謀反を企ててくれた緑士に対する皮肉を込めた感謝。そして、今回の謀反を利用して、自らがシアニン帝国皇帝になること。

筋書きは、ジンクが謀反を起こしフサロ皇帝陛下一族を殺害し、それをインディゴ卿が制圧するという流れだった。


自身に酔いしれた男は、流暢に恍惚とした表情で、長々と語っていた。

もしここで、インディゴ卿が速やかに行動を起こしていたなければ、未来は違ったものになったのかも、しれない。

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