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岐路

ドン・スネークを倒したあと、俺はもう一度ラヴォア博士の研究室を尋ねることにした。結果報告である。

硫酸と水の発熱反応を利用して、ドン・スネークを倒したことを伝えた。


「君と戦う相手も、なかなか大変だな」


博士が呆れたように言った。そう言いつつ、俺の作戦を吟味しだすあたり、さすが、博士である。また、白熱した議論に興じた。


俺は名残惜しさを感じつつ、ここを去ることを告げた。博士はエロー学術都市に行くことを進めてくれた。なんでも、国家として研究に力を入れており、世界中から優秀な人材を集めているらしい。推薦状も書いてくれた。


シマさんにも、お礼を言いに行った。


「結局、お祝いできなかったわね」


残念そうだ。そういえば、話せるようになったことを、まだ、ピロロ姫に伝えていなかった。喜ぶ顔を見たかった。その思いで気が沈む。


俺の顔が曇ったのだろう。


「まだ、試作品なのだけど、折角だからお祝いしましょう」


シマさんは、そう、明るく言うと、ショートケーキを出してくれた。


スポンジが普通のケーキより薄く切られ、五層ぐらいになっている。間にはクリームや薄くスライスされたイチゴが挟まれていた。全てが一体となって絶妙のハーモニーを奏でている。出発の取りやめを、本気で考えたほどである。


「また、いつでも食べに来て」


シマさんは笑顔でそういった。


とぼとぼと歩きつつ、お城の門を潜って外に出ようとした時だった。


「ピロル様、お待ちください! 」


振り返ると、こちらへ、全速力で掛けてくる人の影がみえた。目を凝らす。モアゼルさんだ。


「陛下がお呼びです」


俺の前までやって来ると、呼吸を落ち着けながら言った。


やはり、派手にやりすぎたか。守護魔獣を一体消し去ったのは、まずかったかな。逃げよう。

そう思った瞬間体が宙に浮く。モアゼルさんに、ガッチりホールドされた。抜けない。下手するとマスターより、強いかも。


「二度目はありませんわ」


モアゼルさんは、冷たくそう吐き捨てると、俺を連行していった。


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