2023年の新春短編Ⅲはどうしてないんですか?を主人公に尋ねてみた
ここは次元の狭間の空間、その中でも特に皆がよく集う場所である食堂、その一角である。
長いテーブルの前に置かれた椅子にある二人組が座って陽気に談笑していた。
「よ~し、そんじゃ今日もはりきって撮影いっちゃう系?」
「もちろん、いっちゃわない理由なくない?」
「だよね~?フゥ!!」
そんな二人とテーブルを挟んだ席にカイトは座っていたが、完全に冷めた目で二人を見ている。
だが、そんな事など気にせず二人は撮影を開始した。
「どうも~俺たち渋谷系Gチューバー、エントランスっで~す」
「あげぽよ~ってことで今日もノリノリでいっちゃう系?」
「というわけで、今日もカイトっちのところにお邪魔してマンボー」
「ちょいちょい、なんかそれ超絶外してね?」
「だよね~?今思ってた」
設置したカメラの前でハイテンションで騒ぎまくる二人を見てカイトは思わず大きなため息をついてしまう。
こいつら、なんでいつもここで動画撮影してんだろ?
そう思いながらも、律儀に場所を提供している自分も大概かと苦笑してしまうカイトだが、渋谷系Gチューバーを自称する二人はそんなカイトに早速本題をふっかける。
「ちょいちょい、カイトっち!なんだかノリ悪いけど、今日の動画の主役はカイトっちなんだからもっとテンションあげあげでいこうぜ!」
「なんで俺が主役なんだよ?というか俺も動画に出るのかよ……」
「当たり前じゃん?だって今回のお題はなんで新春短編が今年はないのか?って話なんだし」
その言葉に思わずカイトが吹きだした。
そんなカイトを見てエントランスの二人は「汚ねー!」「それ配信で使えないじゃん」と腹を抱えてゲラゲラ笑い出すが、カイトはそんな二人に「メタい発言やめろ!」と注意するが聞く耳を持っていなかった。
カイトはそんな二人を見て大きくため息をつくと。
「ったく、ほんとそういう評判悪いメタい発言のネタばっかになるから本編から削除されて番外編って別枠立ち上げるハメになったの忘れたのか?」
そう注意するが二人はどこ吹く風といった様子だ。
気にせず再度質問してくる。
「で?なんで今年はないのか教えてチョンマゲってちょっとさっきからネタ古くね?」
「自分で突っ込んじゃうんか~い」
そんな二人を見て、もはや何を言っても無駄なんだなとカイトは諦めの境地に至った。
だからこいつらと絡むの嫌なんだよ……そう思ってカイトは食堂の中を見回す。
広いスペースの中に今はカイトたち三人しかいない、他のメンツはエントランスの二人と絡むのを嫌がってここには来ていないのだ。
その事にカイトはより一層、深いため息をついて語りだす。
「まぁ、新春短編が今年ないのは単純に準備不足なんじゃないですかね?」
「ほう」
「そもそも毎年正月に短編書くって恒例でもないし、そんな時もあるでしょ」
そう答えると、エントランスの二人は首を傾げた。
「いや~それだと動画になんないんだよね~」
「もう少しさ?空気読んでよ」
「酷い言われようだな……」
カイトはため息をつくとエントランスの二人にいくつかの資料を見せた。
「一様、11月ごろまでは新春短編でする話の候補はいくつかあったんだけど、結局、どれかに絞って新春短編を書きだす暇もないまま12月迎えたから諦めたって話だったような……」
そう言うとエントランスの二人は目を輝かせ、いきいきとし出す。
「いいじゃん!いいじゃん!こういうのを待ってたんだぜい!!どうせ新春短編できなかったんだし、蔵出しって事でその候補だったやつの内容、ぶっちゃけちゃおうぜい!」
「いや、もしかしたら来年にやるかもしれんだろ」
「気にしない気にしない!来年も書いてる保証ないんだしさ」
「それはあまり言っちゃいけないやつだろ……」
カイトはエントランスの二人の勢いに押される形で渋々、情報を公開する事に合意した。
というわけで、ここからは2022年11月頃までは2023年元旦~3日公開予定で考えていた「これはとある異世界渡航者の物語・特別編<新春短編Ⅲ>」の候補内容を蔵出し、否、供養していきたいと思います。
●候補1:これはとある異世界渡航者の物語エピソード0(仮)
主人公はカイトではなく「生と死の狭間の空間にて」で初登場した異世界渡航者の先輩である高杉夏治であり、彼の異世界渡航者としての活躍とヒロイン、タキリとの友情を描いた物語。
→外伝としていずれ書こうとは常々思ってたのですが、いざ書こうとなったら具体的なプロットが思い浮かばなかったので没。
●候補2:これは異世界渡航者へと至る物語(仮)
主人公は高杉夏治が語った自らを殺した異世界渡航者の先輩であるアシュラ。
彼がどうして異世界渡航者となったのか、カグたちとの関係やどうしてアビリティーユニットを使って次元の亀裂を修復しようとしてるのか、それらが語られるすべての始まりの物語。
→こちらはプロットも結構できあがってたけど、いざ書くとなったら本編よりこっち優先で書かないと厳しいし、もう短編の量じゃなくなるなーと思ったので書き出すのは保留してます。
そもそも、本編でアシュラがまだ名前だけしか語られてないのに、そんな彼を主人公にした話を書くのはどうなのかとも思ったので……
いずれこの番外編とは別枠の外伝の連載として書こうと思います、気力があれば!(あ
●候補3:魔法アカデミーの転生神童(仮)
短編と新春短編Ⅰ~Ⅱが現在本編で展開中のギルド編より先の出来事を描いていたのに対して、これは本編ではすっ飛ばした過去に訪れた異世界でのお話になります。
ハーフダルムの裏工作によって魔法アカデミーのゴタゴタに巻き込まれてしまいますが、その時の出来事を描いた物語です。
→今更、現在書いてる本編より弱い過去の主人公やヒロイン書いてもなーってのと。現在書いてる本編のキャラがほぼ登場前なので出せないのがどーもなーと思ったので没。
●候補4:沈みゆく大地と黄昏の聖女(仮)
こちらも候補3と同じく本編では断片的に語られてはいるものの、内容的にはすっ飛ばした異世界でのお話です。
→没内容も候補3と同じ。
●候補5:異世界渡航者×空母好き元アラフォーサラリーマン Novelバトルロワイヤル(仮)
別作品「空母好き元アラフォーサラリーマン、異世界転生するってよ」とのクロスオーバー作品、さらに別作品の「みりけん!改」のキャラも参戦する。
→ライ○ー冬○画、いえなんでもないです……ストーリー展開の候補が複数あって絞りきれなかったので没にしました、没にしてよかったです(あ
●候補6:悪役令嬢VS追放無能スキル保持者VSその他諸々(仮)
→混ぜたら危険を混ぜたらプロット段階で意味不明になったし短編ではまとまらないと思ったので没。
●候補7:最果ての世界へ~オペレーション・ラグナロク(仮)
現在書いてる本編の展開とは違ったアナザーストーリーのラスボス戦(1周年企画特別編(1)の序盤で書いた内容)に繋がる物語。
→ジムクベルト戦後からアディルハイト戦までの間の出来事を描く予定でしたが、本編とはまったく違った展開でのアナザーラスボス戦とはいえ、これは今書ける内容じゃないなと思ったので没。
と、内容として考えていたすべてをここまで書きだしてみましたが、今回はどれを選んでも短編書くには時間も含め準備不足でしたね……
2024年の正月には新春短編Ⅲを公開できるように準備したいと思います……