東の森
すー、はー、すー、はー、空気が美味しいー
「森は、やっぱりいいな~」
東の森は、冒険者以外あまり人が来ない為、薬草、キノコ、果実が取り放題である。
森に来る時は、皮の袋や、短剣、弓を父さんに借りてくる。
森を探索しながらモンスターとの戦闘に備え自分のスキルを確認してゆく。
オレの保有スキルは、こんな感じだ。
戦闘スキル
剣術Lv3、弓術Lv5、水魔法Lv3、氷魔法Lv2
サポートスキル
身体強化Lv2、博識Lv6、採取Lv2
ユニークスキル
テイムLv1、鑑定Lv2
固有スキル
イメージ筆写
オレは転生した時から水魔法、博識、テイム、鑑定、イメージ筆写の5つのスキルを保有していた。
水魔法は、父さんの紹介でギルドの受付の元冒険者、レノンさんに稽古をつけてもらった。レノンさんは、氷魔法も得意という事なのでついでに教えてもらった。
博識は、多分だが異世界から来た人間は皆持っていると思う。
前世の知識の賜物だ、スキル補助効果で本などを読むと覚えるのが早くなる
テイムは、まだ使った事がない。
そもそも、町の外に出れたのが10歳になってからだし
薬草採取中に見かけるモンスターは、ゴブリンやボーンラビットばかりで何か、ショボかったからだ。
やっぱり、記念すべき最初のモンスターは、ピカ◯ュウみたいヤツが良い。
鑑定は、父さんと相談して2人だけの秘密にしている。
何故なら、この世界では教会や金持ちの商人などが人物鑑定や商品鑑定の際に多額の金を巻き上げるらしく、平民達からの評判はかなり悪いからだ。
鑑定スキル持ちは将来安定で絶対食いっぱぐれないらしい。
イメージ筆写は、頭に描いたイメージを木の板や羊皮紙に筆写出来るスキル
これは、案外便利だった。
それ以外のスキルは、父さんとの鍛練で身に付けた物だ。
しばらく歩くと獣の足跡らしき物を見つける。
「この先のほうかな?」
気配をなくし、音に注意をはらい奥に進んでいく。
「ん、あれ」
足跡の先を見ると、フロルの町でのご飯の主力が現れた。
ボーンラビットちゃんだ。
肉も旨く、皮も売れる、そして弱い、三拍子揃った優れもの!
気づかれないよう、弓を引き、ボーンラビットに狙いを定める。
「ドッ」
放たれた矢がボーンラビットの胴体に刺さり、動きが鈍くなったところを
短剣で止めをさす。
オレは、血抜きをして、そのすぐ場を離れる。
森では血の匂いで、鼻がいいワーグ、レッドボアのような獣系のモンスターが集まって来るからだ。
場所を離れ、探索していくと大量のキアル草とキノコの自生地を発見した。
「ラッキー、とりあえず、キアル草を採取して」
「ふん、ふーん、ふーん」
オレは、上機嫌に鼻歌を歌いながら採取していく。
今日は、運が良い、森に入って3時間でボーンラビットと大量のキアル草とキノコが手に入った。
「そろそろお昼にしようかな」
オレは、皮の袋から父さんが作ったパンと干し肉を取り、勢いよく食べる
「うめー、父さんのパンはマジ旨い」
「この世界の技術で何でこんなに旨いんだ?」
父さんは、マジでハイスペックや!
ムシャ、ムシャ、ムシャ、しばらく食事を楽しんでいると
「くぅーん」
「ん、くぅーん?」
「うわ、な、何だこいつ」
後ろに白い犬がいた。
「な、なんだ、オレは食っても旨くないぞ!」
「くぅーん」
「ん、パンが食いたいのか?」
コク、コク、白い犬が頷く
何やら、危険はなさそうである、とりあえず鑑定してみた。
「えっと、なに、なに、ん、ん、んー、なんじゃこりゃー」
森にオレの声が響き渡った。