木の人形
「ギギャー、ギギャー、ギギ、グギャー」
果樹園にゴブリン達の悲鳴が響く、ゴブリンと木の人形の戦闘を始まったのだ。
「ギャ…、ギャギャ… ギャー、ギャギャギャ」
ゴブリン達は、いきなり現れた木の人形の集団に困惑し動揺の色を隠せず、かなり浮き足だっている。
「な、なあ、ラズリ、これってお前が呼んだんだよな?」
オレは詠唱が終わり、立っているラズリに問いかける
「うん… 自然魔法で………を… 呼んで…」
すると、ラズリは話しの途中に意識を失ってしまう
「ラ、ラズリ!? おい、ラズリ、おい…」
「すぅー すぅー すぅー…」
「あれ?…」
「ノア、ラズリは多分魔力切れよ、こんな数の木の人形を呼び出したのなら、魔力が切れて当然よ…」
混乱するオレにルーリエが魔力切れだと教えてくれる。
ラズリが呼び出した木の人形達は、ラズリが意識を失っても問題なく戦い、片方の腕から長い蔦や枝を出してゴブリン達を拘束し、残ったもう片方の腕から木の槍を出し、着実にゴブリンの数を減らしていった。
「ギヒャ、ギギャー、ギャギャー、ギャヒャハ」
「メキメキ、バリバリ、メキメキ、バリバリ、メキメキ」
ゴブリン達も負けじと何度も突撃してきたが、剣や槍や斧などの武器は木の人形達にはあまり効果がなく、枝や蔦に拘束され、前線で動けなくなるゴブリン達が増える事になり戦況は膠着状態になっていった。
「なあ、ルーリエ、このまま被害が大きくなったらゴブリン達は、撤退しないかな?」
「これはあたしの予想だけど難しいと思うわ… 普通の群れとの遭遇戦なら被害が大きくなると逃げたりするかも知れないけど… ゴブリン達の行動は、明らかに果樹園を目標にしてるもの…」
「今回の戦いは、ゴブリンとの普通の遭遇戦じゃないって事か?」
「う~ん、あたしもまだ考えが纏まりきってないの、ちょっと考える時間を頂戴、ノア」
そう言って集中して考え始めるルーリエを見て
オレはオレで色々と思考を巡らせていく
うーん、偶然の遭遇戦じゃない? となるとラズリ達が移動中に襲われた事も虫達の亡骸を解体していた事も何かの理由があるって事か?
確かゴブリン達は地面の窪みも見て何か探し回ってたよな…
虫達を解体… ゴブリン達が探してる物… あ!
もしかして、セイレーンの指輪か!
あれ? そしたら何でゴブリンがコオロギの指輪の事を知ってるんだ?
ゴブリンとコオロギの間には何か繋がりがあったのか?
「なあ、ルーリエ、考えの纏まらない部分って、セイレーンの指輪とコオロギやゴブリン達の繋がりの事か?」
するとルーリエは、頭の中の考えを整理するように1つずつ順番に答えていく。
「あたし達がコオロギの亡骸からセイレーンの指輪を回収しようとした時、何故かゴブリンナイトやソルジャーがセイレーンの指輪を持っていたじゃない? その事を考えれば、コオロギとゴブリンに何かしらの繋がりがあった事は間違いないと思うの… だけど…」
「ルーリエ、分からない部分はオレも考えるから良かったら教えてくれ…」
ルーリエはこちらを見て少し考えた後、徐に話しだす。
「これは確証のない仮説なんだけど、まずゴブリン達の集団がこのタイミングで果樹園に来た理由なんだけど…」
「それは協力関係だったコオロギの援軍とか何かじゃないのか?」
「それは違うと思う、なら何でゴブリン達は虫達を襲ったの? 協力関係ならいきなり虫達に攻撃なんてしないでしょ?」
「それは…」
「それに自分達がオーガと協力して3万以上の兵数で挑んで勝てなかった狼の国に、虫達とこの300体でどうにかなるの?」
「確かに、そう言われれば…」
言われて初めて気付いた、確かに何かがおかしい…
ガルムさんも言ってたじゃないか…
狼神ウルが眷属を連れて戦争を仕掛けたゴブリンやオーガの部族を殲滅しに向かってるって、その状況で虫達に援軍?
あり得ない… それじゃあこのゴブリン達は…
「あたしには、狼の国に挑んで敗れた虫達に止めを刺して、指輪を回収に来たようにしか思えないの…」
「な…」
「ノア、ワン、ワン、ワン」
オレがルーリエの仮説に驚きの声を上げたのと同じタイミングで、ウルツが急に話しに入ってくる
「ん? ウルツ、森の奥を見ろって?」
目の前のゴブリンの集団との戦いに集中していて気付かなかったが、目を凝らすと森の奥から煙が無数に上がっているのが見えた。
その瞬間
「ヴォーーーー、ヴォーーーー、ヴォーーーー」
ゴブリンの角笛が鳴り響き、ゴブリン達は急に戦いを止め、少し後退して横陣をしき、何かに備えるように警戒態勢をとっていた。
木の人形達は距離をとるゴブリン達を追って攻撃する事はなく、ラズリを中心とした大きな円陣をしき、静かに佇んでいる。
オレ達がゴブリン達の行動の意図が分からず、黙って様子を見ていると
1体の装飾品を着飾った太ったゴブリンが歴戦の風貌がある4体のゴブリンナイトを連れてこちらに向かって歩いてくる
太ったゴブリンは、木の人形達の攻撃が届かないギリギリの距離まで来ると、オレ達に向かって大きな声を上げた。
「木の人形達の主人と話したい、こちらにこれ以上、戦闘の意志はない…」
「え…」
すると、ゴブリンが人間の言葉で交渉をしてきたのだった。
お疲れ様です
35話投稿しました。
いつも読んでくださりありがとうございます。
投稿遅くなり申し訳ありません
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