通行許可
とりあえず疲れがピークなオレ達は、フロルの東門の前まで歩いて来ていた。
途中、隠れてたタンポポやコスモス達がオレ達に合流しかけたが、ラズリの事が怖いらしく、木の陰から出て来なかった。「明日、また森に来るから」オレがそう言うと嬉しそうに巣に帰って行った。
オレは町に行くまでの間に、ラズリにルーリエとウルツの事を紹介した。
ラズリは、ルーリエとウルツとすぐに仲良くなり抱きついていた。
「はぁー、何て衛兵に言おうかなー、ウルツの時も30分はかかったからな」
「ワン、ノア、ワン」
「ノアの親戚とかにすれば良いんじゃない?」
「確かにそれが良いかも… ラズリも大丈夫?」
「うん、ノアのシンセキ?って事にするね、分かった」
オレ達は話しを合わせて、東門の知り合いの衛兵に話しかけた。
「こんばんは、夜遅くまで大変ですね」
「おう、坊主、毎日精がでるなー、こんな遅くまで薬草採取か?」
「いや、今日は親戚が遊びに来る日だったから、迎えに行ってきたんだ」
「ほー、良かったな何事もなくて、モンスターには会わなかったか?」
「はい、運良く会わなかっ……」
「え、私モンスターだよ、そしてノアのシンセキなの」
元気に笑顔で爆弾発言をする、ラズリ
ラズリよ、それだとオレもモンスターだぞ…
衛兵は、「え」という顔をしてこっちを向いた。
オレの顔は汚職のバレた政治家みたいな顔になっていた……
「ぼ、坊主、今、この娘…」
「き、記憶にございません…」
「いや、この娘、今、自分を…」
「き、記憶にございません…」
オレは、政治家のように話しを反らし続ける、すると
「こ、この娘は、変わってて面白い所があるのよ、はい、これ、あたしの冒険者カード」
そう言って助け舟を出してくれたルーリエが衛兵に冒険者カードを見せる、カードを見た衛兵は驚いて声を上げた。
「ルーリエ… あ、あんた、マルクの魔導師ルーリエか」
「そうよ、あたしがルーリエよ」
ルーリエは、オレの方を見ながらドヤ顔を決めてくる。
「この娘は、あたしの知り合いだから通行許可を出してほしいんだけど」
「あの有名なルーリエさんが言うなら大丈夫だろう… 通行を許可しよう」
そう言うと、衛兵はあっさり東門を通してくれた。
門を通り、人が居ないのを確認してラズリにさっきの話しをする
「ラズリ、他の人の前では、モンスターだって言っちゃ駄目だよ」
「え、そうだったの… ごめんなさい、ノアがウルツと一緒にいるから大丈夫なのかと思ってた… ねぇ、ノア、怒ってる?」
「いやいや、怒ってないよ、逆にオレこそ、ごめん、ちゃんと説明してなかった…」
「良かった、怒ってなくて」そう言いながら、ラズリは左側の腕に抱きついてくる。
「ち、ちょっと、抱きついちゃ駄目って、さっき言っただろ…」
そう言って、無事な右腕でラズリの離そうとすると…
「ラズリばっかりズルいわ、さ、さっき、頑張ったんだがら良いでしょ?」
顔を赤らめながら、ルーリエがオレの右腕に抱きついてきた。
このタイミングでデレるのか、しかし、確かにさっきはルーリエのお陰で助かったからな…
オレは冒険者ギルドに着くまでの間、すれ違う人々にチラチラ見られ、「坊主モテモテだなー」など声をかけられ続けた…
「レ、レノンさん助けて下さい~」
オレは冒険者ギルドに入って、受付のレノンさんに助けを求めた。
「どうした? ノア坊、そんな大声だして… ルーリエとパーティーの連携を確かめに行ったんじゃなかったのか?」
「そ、それが…」
「それは、あたしが説明してあげる」
いつの間にかオレの腕から離れていた、ルーリエが今日あった事を説明するという事になり、ギルドマスターの部屋に移動して話しをしだす。
「ぶ、ぶ、ブルーキラーモルフォが出たのか…」
ヤバイ、ヤバイ、話しの途中なのに、レノンさんの顔がブルーキラーモルフォの羽より青くなってきた…
「ええ、出たわ… この娘よ」
「なるほど、この娘が… この娘がーーー」
レノンさんの声がフロルの町に響き渡る
すると、ドタドタとギルドマスターの部屋に近付いてくる足音がした。
「レノンさん、大声がしたんですがどうかしましたか? あれノア」
「あ、父さん、まだギルドにいたんだね」
「ああ、ギルドマスターが留守だから、仕事が長引いててな… ん?」
父さんは、オレの後ろを見て固まっていた。
「お、お前、ル、ルーリエ、何でここにいるんだ」
「久しぶりね、モアメット元気にしてた?」
「ノ、ノア、その赤い悪魔から離れろ…」
「赤い悪魔とは心外ね、あんたこそ、あたしのアーシェを… この盗賊」
「ぐぬぬぬ、言わせておけば…」
何だろ? 父さんが珍しい動揺している… 何かあったのか?
「何だ、お前らはまだ仲が悪いのか? 相変わらずだな~」
そう言うと、レノンさんが父さんとルーリエの関係について教えてくれた。
何でも、パーティーが解散した後にギルドの職員になった
母さんと一緒にルーリエもフロルに滞在してたらしく、父さんと母さんの仲を引き裂こうと常に暗躍していたらしい…
極めつけが、結婚した2人の家に「あんたがアーシェに悪さしないように見張る」と言って、2年近く一緒に暮らしていたという…
話しを聞いている最中も、2人はずっと悪口を言い合っている…
新婚の家に2年同居するって… エグい、エグ過ぎるぞ、ルーリエ
オレは父さんに同情し涙を流したのだった…




