セイレーンの指輪
「これって… ハリガネムシか?」
「ギギギギギギ? ギギギギチ、ギチギ、ギギギギギギ」
「知ってるのか? 人間の子よ、我らは、見た事がない」
「カマキリさん、それを鎌以外で触っちゃ駄目だ!」
オレはカマキリに警告し、ハリガネムシらしきモンスターを氷魔法でとどめを刺す。
そしてルーリエ、ウルツ、虫達に説明をした。
「皆、聞いてくれ、これは絶対に無闇に触れては駄目だ、これは生き物に寄生する虫なんだ…」
「ギギ? ギギギギ、ギギギギギギ?」
「寄生? 寄生とは、我らの体にか?」
「うん、オレが知っている知識だと、この虫を体の中に寄生して、頭に侵入し宿主の体を操ったりできた筈だ、そして特にこの虫の怖いところは宿主を変えながら生きていく事だ…」
「ギギギギ、チギチ、ギギギギ、チギチ、ギギギギチギ」
「なるほど、だから、オーガの、首から、出てきたのか」
オーガは洗脳ではなく、ハリガネムシによって直接洗脳されているようだった。
だったらブルーキラーモルフォ以外は脅威にはならないかもしれない。
「ワン、ノア、ワン、ワン」
ウルツが、敵の前線と戦闘を始めていた。
オレは、何体かの虫達にウルツと一緒に戦ってもらい、その間にカブトムシとカマキリにコオロギについて聞いた。
「あのコオロギって昔から、洗脳スキルあったの?」
「ギギギギチギチギ、ギギギチギ、チギギギギチギチギ」
「奴に洗脳スキルが、あったかは、我らには分からんぬ」
「ギギギギ、チギチギギ、ギチギ、ギチギチギ」
「そもそも、奴が王女の、側近に、なったのは」
「ギギギギチギチ、ギギギギチギ、ギギギギチギチギ」
「人間との争いに、敗れこの地に、移り住んでからだ」
ん? というとコオロギは成り上がり的な感じか?
「人間との争いって、サフィーリア王国との?」
「ギギギギチギ、ギチギチギチ、ギチギチギ、チギギギギ」
「そうだ我らの、先代の女王は、その戦いで、亡くなった」
「ギギギ、ギチギチギ、チギチギギ、ギギチギチギギ」
「そして、娘にあたる、今の女王が、即位されたのだ」
「もしかして……」
話を聞いていた、ルーリエが小さく呟いた。
「どうした、ルーリエ?」
「いや、可能性の話なんだけど、コオロギの洗脳ってスキルじゃないかもしれないわ…」
「え どういう事だ?」
「あのね、サフィーリア王国の壊滅させられた都市の貴族が有名なマジックアイテムを持ってたの、それがセイレーンの指輪っていう、相手にチャームをかけて洗脳する指輪だったの、その指輪が町の壊滅によって無くなったままなの、盗賊かアイテム目当ての冒険者の仕業かと思われてたんだけど、もしかしたら…」
「なるほど、可能性あるな… というか良く知ってたね、ルーリエ」
すると、ルーリエは顔を赤くして焦せりながら話してきた
「べ、べつに、セイレーンの指輪で、男の子にチヤホヤされたいなんて思ってなかったのよ、本当だからね、信じてね、ノア…」
チヤホヤされたかったのか…
オレは聞かなかった事にして話を戻した。
「という事は、あのコオロギはその指輪を持っている可能性があると…」
「うん、セイレーンの指輪だったら、あたし達が洗脳されないのも納得できるんだ、セイレーンの指輪は持ち主と同じ種族にしか効果がでないの」
「なるほど、だから俺達は洗脳されなかったのか…」
考えているとルーリエが提案してくる
「ノア、あたしもコオロギのところに連れて行って、あたしの魔力視の魔眼なら、コオロギがセイレーンの指輪を発動させた時に魔力の流れを見て、指輪の位置が分かるかもしれないわ」
オレは、傷ついたルーリエを連れて行くか迷っていたが、ルーリエの覚悟のある目を見て、連れて行く事を決意する。
「分かった、一緒に行こう、ルーリエは何があってもオレが守るよ」
「な、何、言ってるの、ノア、そ、それって…」
ルーリエは真っ赤になり頭から煙がでている…
オレは前線のウルツや虫達を呼び、作戦をつたえると
コオロギのいる果樹園の中心に全員で進軍を開始した。




