待ち人
「はぁ、はぁ、はぁ、ライトニングボルト…」
虫モンスター達が黒焦げになる、これで何体目だろう…
ルーリエは果樹園の中心部から続々と出てくる虫モンスターを見て嫌気がさす。
「あの、コオロギ、性格悪いわね…」
さっきから、低ランクモンスターと中ランクモンスターを交互に送ってくる
纏めてだったら、一気に殲滅できて楽なのに……
「ルーリエ、ガウ、ガルル」
「ありがとう、ウルツ、まだ大丈夫よ…」
やっぱり1番厄介なのはブルーキラーモルフォね……
こちらが上級魔法を詠唱しようとするタイミングで強襲してくる、そのせいでさっきから中級魔法かルーンでの対応を余儀なくされる、本当に面倒な相手だわ~ 殲滅力が格段に下がっている。
ルーリエは自分が限界が近い事が分かっていた。
というより、良くもった方だろう、普通のAランクパーティーなら圧倒的な数の暴力にすでに死んでいただろう…
何とかここまで生きられたのは、ウルツの存在が大きかったからだろう。
ウルツは、前衛で虫モンスターの初撃を全て捌いてくれる、そのお陰で中級魔法を詠唱する時間が稼げ、攻撃を避けやすくもなった。
ブルーキラーモルフォが強襲した時もいち早く教えてくれる
そして何より驚いたのは、ルーリエが放った中級雷魔法を見て、ウルツもそれを使った事だ。
「ウルツ、あんた、本当にダイヤモンドウルフ?」
「く、くうーん」
ウルツの正体が気になるルーリエだが極度の疲労で頭が回らない。すると虫の攻勢が一旦止み、コオロギが話しだす。
「ギリギリ、ギギギギリギ、リギギギギリ、ギリ、ギギ」
「赤い髪の、娘は強かった、だが終わりだ、殺す、殺す」
「ギリギ、ギギギ、ギリギリ、ギギギギ、ギギ、ギギ」
「今から、我らの、実験体の、餌にする、喜べ、喜べ」
すると、虫達の奥から黒い3体のオーガが現れた。
「な、何で、オーガが虫に従ってるの…」
「ガルル、ガルル、ガルル」
3体のオーガが現れた事でルーリエは混乱する。
コオロギが虫しか操れないと思っていたからだ…
そうじゃなければ自分達が洗脳されてない理由の説明がつかない。
しかし目の前には、洗脳されたオーガが3体いる。
ルーリエは頭の整理がつかない状態での戦闘を余儀なくされる。
黒いオーガは無言のまま、ルーリエとウルツを強襲する
「く、このオーガ、動きが速い、上位種ね…」
ウルツが2体の相手にし、ルーリエが1体と戦う
「このオーガ、体術スキル持ってるわね… あたしと相性最悪だわ…」
中級魔法ならダメージを与えられるが
オーガの攻撃が速くて詠唱が追いつかない
初級魔法では攻撃できるが
オーガにダメージの蓄積が難しい
「じり貧ね…」
体力が徐々に削られていき
オーガの攻撃を避けきれなくなっていく…
「く、うぐ、いっ」
オーガの拳がルーリエの肩にヒットし
ルーリエが数メートル、吹き飛ばされる
「ガルル、ルーリエ、ルーリエ」
ウルツが駆け寄り、ルーリエに語りかけるが
ルーリエは痛みのあまり、起き上がれない。
「はぁ、はぁ、ウルツ、あたしを置いて、ノアと合流しなさい」
「ワン、ルーリエ、ワン、ワン」
そんな限界のルーリエに追い討ちをかけるべく、オーガ達が畳み掛けて攻撃を仕掛けてくる、ウルツは善戦し2体のオーガを押さえつけ、ルーリエから距離を離そうとするが、もう1体のオーガがルーリエに止めを刺そうと拳を構える。
「シュ」という音を響き、オーガは拳をルーリエに放たれる
「ノア、ゴメンね…」
ルーリエは小さく呟き、覚悟を決めて目を閉じた…
………… あれ? 痛みがこない…
不思議に思い片目を開けると…
自分に放たれた、オーガの腕が空中に舞っていた。
そして自分とオーガの間には、大きな虫達を連れた小さな少年が立っていた。
「え… ノア…」
少女は、泣きながら少年の名前呼ぶ。
少年も笑顔で少女の名前を呼んだ。
「ルーリエ、遅くなってゴメン… 待たせてたね」
大きな虫達がオーガに止めを刺し、ノアはルーリエに駆け寄った。
「大丈夫? ルーリエ、とりあえずこれ飲んで」
グリーンポーションをルーリエに飲ませて、ルーリエが回復するのを待つ。
「あ、あたしね、信じてたの、ノアが絶対にきてくれるって……」
ルーリエは泣きながらオレに体を預ける。
「ルーリエ、オレも………」
ルーリエを介抱しながら、お互いに見つめあい、良い雰囲気になっていると
「ギギギギギ、ギギリギリギ、チギチギギギ、ギギギチギ」
「人間の子よ、良い雰囲気で、申し訳ないが、敵が来るぞ」
空気を読まず大きな角のカブトムシが話してくる。
オレとルーリエが慌てながら果樹園の中心部を見ると
ゾロゾロと虫モンスター達がこちらに向かって来ていた。
「ギギギギギ、ギギギギギチ、ギギ、ギギ、ギギ、ギギ」
「裏切り者共、人間もろとも、殺す、殺す、殺す、殺す」
コオロギがオレ達に向けて殺意を放ってくる
「ルーリエは、タンポポ達と一緒に待っててくれ、オレとウルツでコオロギを倒すから」
「え、駄目よ、ノア、向こうにはブルーキラーモルフォもいるのよ、それにさっきみたいな洗脳されオーガもまだいるかもしれないわ…」
「ギギ、ギチギ、ギギギギギ、ギギチ、ギギギチ」
「その、事だが、人間の子よ、これを、見てくれ」
黒い鎌のカマキリがオーガの首に鎌を刺しこちらに見せてくる
「え、これ…」
そこには、オーガの首からニュルニュルと這い出る、細い一本の線のような生き物がいた。




