洗脳
木の陰に隠れ、虫達の動向を確認する。
果樹園の中心部、ひときわ大きな果樹の枝に青い6枚の羽を持つ蝶が止まっていた、そしてその周りには、巨大な虫達が集まっていた。
その中でコオロギのモンスターが話をしだす。
「ギギ、ギギギギ、リギリ、ギギギギ、チギ、チギギ、ギギギ、ギギギ」
「女王、狼の国は、王妃の、死により、弱く、なった、今こそ、奴らの」
「ギギギ、ギリギリ、ギリギリギリギリ、ギギギギリ、ギリギ、ギギ」
「本拠に、乗り込み、大樹ユグドラシル、手に入れる、機会が、きた」
「…………………」
ん? こいつらの狙いは大樹ユグドラシルか…
そう言えば、姫フェンリルやガルムさんが言ってたな
狼の国は大樹ユグドラシルをずっと守ってきたって
何なんだ? ユグドラシルって……
すると、1匹のビッグマンティスが虫達の元に走っていく
「ギギギ、ギチ、ギチギギ、ギギリギ、リギ、ギ、ギギチギ」
「人間の、子供、果樹園に、向かって、いる、蜂、裏切った」
すると虫達が急に騒ぎだした。
「ギギ、ギギチ、ギチギギギ、ギリ、ギリギ、ギギ、ギチギ、チギギギ」
「人間、に死を、裏切り者に、死を、人間に、死を、裏切り、者に死を」
「…………………」
「ギギ、ギギチギチ、ギギギ、ギリギリギギ、ギギチギチ、ギリ、ギリ」
「女王、この機会に、地下に、捕らえている、裏切り者の、仲間、殺す」
「…………………」
「ギチギ、チギギギギリ、ギリギ、ギギギ、チギ、ギチギ、ギチギ」
「他にも、捕らえていた、反逆者、どもを、殺す、許可を、許可を」
「…………………」
コオロギが他の虫モンスターを先導し話を纏めていく。
というかさっきから女王一言も喋ってないぞ
そう言えば、最初に果樹園に来た時もコオロギが全部対応してて女王は姿すら現さなかった。
「なあ、ルーリエ、これって…」
「ええ、多分、あのコオロギは洗脳系の能力持ってるわね」
「やっぱりそうだよな、けど何でオレとウルツを追撃する時に低ランクのモンスターしか送らなかったんだ? ここにいる巨大な虫モンスターは明らかに高ランクだぞ、ウルツはともかくオレは確実に死んでいたと思うんだが…」
「多分だけど、あまり遠くに離れると洗脳が解けるのかもしれないわ、だから部下に追撃させたのかも…」
「という事は、女王含めた虫達は、コオロギに洗脳支配されている?」
オレ達が虫達について話していると。
「ブンブン、ブンブン、ブンブン、ブン」
「ん? タンポポ、地下に仲間以外の虫も捕らえられているって?」
「なるほどね、だったら2手に分かれるのはどう?」
「え、2手に分かれる?」
「うん、まず、あたしとウルツが騒いで敵を引き付けるわ、その間にノアとタンポポが地下に潜入して、コオロギに逆らった虫達を助けるの」
「いくら、ルーリエとウルツでも2人でこの数はキツイだろう…」
「うん、そうね、あそこにいる虫モンスターは多分、D~Cランクだと思うからあの数でも何とかなると思うけど、問題はブルーキラーモルフォね、あれが戦いに参加してきたらかなり危険ね……」
「そうだよな、だったらオレ…」
「ノア」
ルーリエは強い口調で割ってはいる。
「ノアはタンポポの家族を助けたいんでしょ… 確かに3人で戦えば勝率は上がるかもしれないよ、けど、タンポポの家族や捕らわれている虫達が殺される確率が上がっちゃうの、それに地下に捕らわれいる虫達は精神耐性のスキル持ちの可能性が高いから、コオロギやブルーキラーモルフォを倒すなら、その虫達の協力が絶対に必要になる、言っている意味解るよね?」
ルーリエが話しながら優しくオレの頭を撫でる
オレは涙が出そうになるのを我慢して強く返事を返す
「絶対に虫達を解放して、応援に駆けつけるから絶対に死ぬなよ」
「任せて」「ワン」
ルーリエとウルツが返事をする。
オレはタンポポに案内を頼み、地下に続く穴を下っていく。
少ししてから、地上から爆発音が聞こえてきた、地上の戦いが始まったのだ
オレはルーリエから貰った、光を発するルーンの棒を使い地下をどんどん降りていく。
地上に残った、ルーリエとウルツは魔法や爪を駆使しながら近付く虫達を駆逐していく、なるべく果樹園の中心部から離れながら、音を立て虫達を引き付けていく。
「あー、もう、虫って超キモい、ウルツごめんね、ノアの側に居たかったよね…」
「ワン、ワン、ルーリエ」
言葉は分からないけど、気にするなと言ったようにルーリエは感じる
「ねえ、ウルツ、お互い絶対死んじゃ駄目よ、生きてノアに褒めてもらうんだから…」
「ワン、ワン、ノア、ワン」
こうして地上の戦いは苛烈を極めていった…




