蜂蜜
魔法の威力を示すように、炎が燃え続ける、虫達は完全に消し炭になっていた。
「すげえ、すげえよ、ルーリエ」
「ルーリエ、わん、わん」
オレとウルツは、ルーリエに近寄る
「えへへ、でしょ、でしょ、あたし、魔法は自信あるんだー」
ルーリエは胸を張って、褒められて嬉しそうにしている。
「というか、本当に喋る虫いたのね、上位の魔物は喋るのがたまにいるけど、さっきのは弱いモンスターばっかりだし、不思議…、ねえ、ノア喋る虫を知ってるって事は前に会った事あるの?」
オレは、昨日、ウルツとの採取中に果樹園らしき場所で虫達に遭遇した事を話した。
「へー、果樹園で虫か… 不思議ね、東の森って、虫モンスター少ないイメージだったのにな…」
ルーリエと果樹園について話をしていると、茂みの奥を黄色いテニスボールくらいの虫モンスターが飛んでいる。
「あれ、大きいけど蜜蜂?」
「確かあれって、養蜂場とかでテイムされる、ハニービーじゃない?」
「え、養蜂場あるの?」
「うん、マルク公国は、エルフが多いから森の恵みを得る事に長けてるんだ、だから、ハニービーみたいな無害なモンスターは從魔師にテイムしてもらって養蜂場とかで、ハチミツ作ってるよ、甘くて美味しいよね、ハチミツ」
ハチミツか、アーリヤ王国だと高級品だから全然食べれないんだよな…
そうだ、この蜂モンスターをテイムして蜂蜜を作らせようかな…
「なあ、ルーリエ、ハニービーって簡単にテイムできる?」
「うんとねー、マルク公国だと、冒険者になれないレベルの人達がテイムしてるから簡単だと思うけど…」
「なるほど、やってみるか」
オレが近付くと最初は警戒して、オレから逃げようとしたが、先回りしてテイムしてみると、呆気なくテイムできてしまった。とりあえず決めポーズをとって、「ハニービーゲットだぜ」と叫ぶ。
よく見ると、普通の蜜蜂より2回り大きく、プクプクしてる、ちょっと可愛いな
あの喋っていた、虫達と全然違うな、アイツらはキモかった。
「やった、ハニービー、テイム出来たよ」
「良かったね、ノア、これで蜂蜜食べ放題ね」
「わん、わん」
やった、とりあえず鑑定してみよう
名前、
種族名、ハニービー
称号、迷い蜂、♀
AGE、2
Lv、3
HP、50
MP、30
ATK、20
DEF、10
INT、15
RES、15
AGI、20
スキル、仲間召集Lv1
種族スキル、蜂蜜精製Lv3、巣製造Lv3、熱殺蜂球Lv2
うお、何かステータスはめっちゃ弱いけど、有益そうなスキルが多いな、これは色々使えそうだな。名前も決めてあげないとな、称号が迷い蜂♀か、うーん、うーん…
「うん、決めた、タンポポにしよう、今日からこの蜂はタンポポ」
「タンポポか、可愛い名前ね」
「わん、わん、タンポポ」
名前をつけると、タンポポも嬉しそうに喜んでいた。
するとタンポポがオレに話しかけてきた
「ブンブン、ブンブン」
「何々、家族や仲間を助けてほしい? どうゆう事だタンポポ?」
「ブンブン、ブンブン、ブンブン」
「虫の女王に仲間が強制的に働かされている? 虫の女王って果樹園の?」
「ブンブン、ブンブン、ブン」
「え、妹を助けてほしいって? タンポポ妹いるのか?」
あの、キモい虫ども、同じ虫にもひでえ扱いしてるのか…
「とりあえず、タンポポ、家族はオレ達が助けてやる、元々ここに来た目的も果樹園に行く事だからな、そんで……」
ギチギチ、ギチギチ、ギギギ、ギギギ、ギギギ、ギチギチ
「人間、子供、いた、女王に、献上、蜂、裏切り、殺す」
話をしてる、途中に喋る虫達が姿を見せた。
タンポポが怯えている、テイムしてからタンポポの悲しみが伝わってくる
「お前ら、よくもタンポポの家族や仲間を傷つけたな」
「ノア、あたしも、ムカつくから手伝うわ」
「いや、今回は数が少ないからオレとウルツに任せてくれ、オレ達の力もルーリエに見てほしいしね…」
「うん、分かったわ、危なくなったら言ってね」
「ウルツ、右の3体頼む、オレは左の3体を殺る」
「ガルル、ガウ」
戦闘が開始し、すぐさま、オレは氷魔法で敵の足を止め、弓矢で敵の脳天を撃ち抜いていく、3体を倒しきるまで3分もかからなかった。
ウルツに至っては、敵が弱すぎるのか、細切れにしていた。
「ふー、戦闘終了」
戦闘が終わり、ルーリエを見ると、ボーと赤い顔でこっちを見てた。
「あれで、10歳、ノアって何者? 子供なのに強いし、カッコいいし…」
「ん、誰がカッコいいって?」
「え、あ、うん、なんでもない…」
タンポポを仲間に加え森を進んで行った。