ルーリエ
とりあえず、ウルツに乗せて、赤い髪の女の子をギルドに運んだ!
「すいませんー、レノンさん」
「おう、ノア坊、ルーリエに会ったか? 赤い髪の小さい女の子だ」
「もしかして、この人ですか?」
「そう、そう、この小さいって、おーい、何でぶっ倒れてんだ?」
ルーリエをギルドの空いているベッドに寝かせ、オレはこうなった経緯を説明した。
「なるほどー、相変わらずルーリエは昔と全然変わらねーな」
「えっと、レノンさんとルーリエさんはどんな関係なんですか?」
「おう、話せば長くなるんだが……」
レノンさんの話しでは、ギルドで働く前、ローガン、レノン、フィリッツ、ルーリエ、アーシェの5人でAランクパーティーを組んでいたらしい。
ローガン、レノン、フィリッツはカザーム王国出身で
ルーリエ、アーシェはマルク公国の出身だという
ディザールの悪夢のあとに、それぞれ別の道に進む事になったが、5~6年の間一緒にパーティーを組んでいたという。
「あの、レノンさん話しの途中にすいません、アーシェって、もしかして……母さんですか?」
「ん? 聞いてないか? そうだぞ、アーシェはオレ達と一緒に冒険者引退後はギルドの職員で働いていて、少ししてからモアメットと結婚したんだ、あん時は驚いたぜ」
そうだったのか知らなかった、母さんが死んで夜に1人で泣いている父さんを見てから、あまり母さんの話しはしないようにしてたからな…
「あ、すいません、話しの腰を折ってしまって続けて下さい」
「ああ、それから……」
それから、ルーリエはマルク公国の貴族である事、母さんの親友である事などを話してくれた。
「ノア坊が、掲示板の貼り紙を貼った後くらいにギルドに来て、遊びに連れてけとか言うんだよ、オレはローガンが留守だから忙しいって断ったら、だったら時間潰しに依頼やクエスト受けるって言うからよ、だったら臨時でもいいからノア坊のパーティーに入れちまおうと思ってよ…」
「そうゆう事か… ん? レノンさん、オレが母さんの息子って言ってないんですか?」
「いや、それがよ、昨日酒場から帰って来てからめちゃくちゃ怒ってて話しかけると、犬みたいに吠えるんだよ……しょうがないから貼り紙だけ渡して教会に行かせたんだ」
なるほど、そうゆう事か
「うーん、凄く有難いんですが、ルーリエって強いんですか?」
「あ、そうか、ノア坊は若いからまだ知らねえか」
「え、何をですか?」
「ルーリエは、マルク公国の元宮廷魔導師筆頭だぞ、マルクの魔導師ルーリエって言ったら魔術を志す者なら、1回は耳にすると言われるくらい有名だ。」
「マルクの魔導師ルーリエか、凄い人なんですね」
「ああ、オレ達がディザール山脈で助かったのも、ルーリエのお陰だしな…
まあ、性格はちょっと子供みたいだけどな…」
レノンさんと色々話していると、ルーリエが目を覚ます。
「あれ、何で、あたし寝てるの? 確か、変な子供に告白されて…」
ルーリエとオレと目があう
「あ、あんた、あたしが可愛いからって寝てる時に襲おとしたわね」
「おいおい、ルーリエ、ちょっと待て、ノア坊は倒れたお前を運んでくれたんだぞ」
「え、そうだったの? あ、確かに、このボロくて小さい感じはフロルのギルドね」
「ボロいと小さいは余計だ」
レノンさんは、オレが母さんの子供である事や、パーティーメンバーを探してる事をルーリエに説明してくれた。
「へー、あんた、アーシェの息子何だって?」
「はい」
「何で、パーティーメンバーが欲しいの? あんたの年は普通、家で遊んだりするものでしょ、冒険者なんかならなくていいでしょ?」
ルーリエがオレに質問してくる
「オレも母さんが死ぬまでそう思ってました、母さんの弱っていくのに、父さんの仕事を手伝う事も、薬草を取りに行く事も、手を握る事しか出来なくて…」
「ノア坊……」
「その時分かったんです、大切な物を守る為には強さが必要だって、だからオレ…………」
「分かった、あたしがメンバーになってあげる、それで、あんたを強くしてあげる、感謝しなさいよ、あたしが直々に見てあげるんだから」
「え、何でいきなり…」
「大切な物を守る為には強さが必要だって、最初に会った時のアーシェと同じ事言ってるんだもん………」
ねえ、アーシェ、何であたし、残して逝ったの?
アーシェがいなくなってから、目に見える物、全部、色褪せて見えて…
まるで、時間が止まったみたいなんだ。
けどね、不思議なの、この子に会って、この子の言葉を聞いてから
あたし、ドキドキしてるんだ。
だってこの子、初めて会った時の、アーシェと同じ事を言うんだもん
だから、この子は、あなたの分もあたしが守ってあげるね…
「え、母さんが?」
「うん、だから、これから宜しくね、ノア」