ツンのデレ
オレは胸を高鳴らせていた。
今日は、新しい仲間が出来るかもしれないからだ。
「おはよう、父さん、ミリア、ウルツ」
「おはよう、ノア」「おはようノア兄」「わん、わん、ノア」
皆、元気に挨拶を返してくれる。
朝食を食べていると、ミリアとウルツが話していた。
「ウルツ、ミリアだよ、私の名前は、ミリア」
「わん、わん、ミリア、ミリア」
「わー、ノア兄、ウルツが私の名前、覚えたよ!」
ミリアは、とても嬉しそうにウルツを撫でていた、ウルツも嬉しそうだ。
「なあ、ノア、父さんもウルツに言葉教えていいか?」
ん?どうしたんだ、いきなりやる気をだして?
「おほん、ミリアは世界で1番可愛い、もう1度言うぞ、ミリアは世界で1番可愛い」
「ち、ちょっと、やめてよ、お父さん、恥ずかしいよ」
うん、なるほど、オレもやらないとな。
「ウルツ、これも覚えるんだ、ミリアは女神、もう1度言うぞ、ミリアは女神」
「ちょっと、ノア兄も、ウルツに変な事教えちゃ駄目だよ」
うん、恥ずかしがるミリアも可愛いなー、こうして朝食の時間が過ぎていった…
「ふー、食べた、食べた、朝からお腹いっぱいだ」
父さんの料理は旨すぎてついつい食べ過ぎてします。
オレは、準備をして教会に向かう。
「なあ?ウルツ、どんな人がくるかな? 魔術師とかタンク役のできる大盾使いとかだと嬉しなー、治癒魔術師とか怪力な斧使いとかもありだなー」
そんな事を喋りながら教会の前に行くと、まだ誰もいなかった。
「とりあえず、ウルツ、どんな人が来るか分かんないから隠れててくれ」
ウルツは、「わん」と返事をして建物の陰に隠れた。
それから、少し待っていると
「あれ、ノア、何してるの?」
「あ、ソフィア姉、おはよう、早いね」
「うん、今日はね、回復魔法を司祭様が教えてくれる日なの、楽しみすぎて早く来ちゃったんだ。」
へー、司祭様に回復魔法を… そう言えば、そろそろミリアやオリビアが教会に勉強にくる時間だな… 掲示板の待ち合わせの場所ミスったかな?…
あ、ちらほら子供が見れてきた、うーん、オレは悩んでいると…
「もー、信じられない、酒場は追い出されるし、久しぶりに会ったレノンは、仕事があるからって、変な貼り紙渡してくるし、もー、なんなのよ、この貼り紙、センス無さすぎでしょ、何が犬は好きかよ、何が森の虫達がよ、頭に虫沸いてるんじゃないの?」
赤髪の女の子がプンプン怒りながら歩いてくる。
「ねえ、ノア、あの娘、すっごい怒ってるね、どうしたのかな?」
「そ、そうだね、あ、そろそろ、オ、オレ、用事あるから、うん、し、失礼しようかな… はは、は」
「ねえ、そこのあなた、ノアって子供知らない?、ギルドの職員のレノンって奴に頼まれて探してるんだけど」
赤髪の女の子がソフィア姉に話しかける。
「ノアならこの子ですよ」
赤髪の女の子がこちらを見る
「あ、あんた、昨日の酒場の前にいたガキじゃない、あんたのせいで、また子供エルフが来たって、追い出されたのよ、どうしてくれんのよ」
どうしよう、めっちゃ怒ってる、昨日は余裕ありそうに、じゃあね、坊や、とか言ってたのに。
「まあまあ、落ち着いて、怒ったらせっかくの可愛い顔が台無しですよ」
ん?、どうしたんだ? 顔が赤くなってる。
「な、な、な、何言ってるのアンタ、あ、あたしがいくら可愛いからって…」
ん、この子、もしかして…
「いえ本心です、あなたのような美しい女性には
怒りや悲しみの表情よりも笑顔が似合う
あー、神様は何て罰を与えるのか
僕にこんな美しい女性の笑顔を奪わせるなんて
あー神よ…」
赤髪の女の子の顔から湯気が出てる。
この娘なんか、チョロいぞ
「あ、あんた、バカ、べ、別にあたしは、可愛いとか、美人とか言われても全然嬉しくないし、けど、今日は機嫌もいいから、許してあげようかなー、なんて、今回だけなんだからね、次はないんだからね。」
「お許しいただきありがとうございます」
「うん、感謝しなさい」
あ、初めて笑った、なんだ「笑うと凄え可愛いじゃん」あ、つい口にだして言ってしまった。
「あ、あ、あんた、かわ、にゃに、を、ふ、ふにゃー、」
女の子は茹でダコのようになり倒れてしまった。
うーん、レノンさんの知り合いらしいし、とりあえず冒険者ギルドに運ぶか、そう思い女の子を持ち上げようとすると
「むー ずるい」
「え、どうしたの? ソフィア姉」
「ノア、さっきからその子の事ばっかり可愛いとか美女とか言って」
「あ、もしかして、ソフィア姉、嫉妬してるの?」
ソフィア姉は顔が赤くなり、小声で呟く
「ん………、駄目だった?………」
オレは心の中で何度も叫んだ、「惚れてまうやろー」