テイム
オレは、ウルツの言葉に感動し、頭をナデナデする
すると、ウルツがカタコトを喋りだした。
「ノア、ノア、きゃん、きゃん」
「うぉー、ウルツがオレの名前を喋った」
オレとガルムさんが驚く
「うむ、甥は生まれて、まだ1週間しか経過していない、我が人間の言葉を覚えたのは200歳を過ぎたあたりだった、いくら、人間と共に生活をしてるとはいえ、早すぎる…」
沈黙が続き、ガルムさんが話しだす。
「ノアよ、お主、まさか甥をテイムしているか?」
え、これは、ヤバイ雰囲気か? 誤魔化すべきか? 正直に言うべきか?
少し迷ったが正直に話した。
「はい、昨日の夜、名前をつけた時に、腕に従魔刻印が刻まれてました」
オレは、ガルムさんに腕をみせる。ガルムさんは腕を見たまま長い時間、考えていた。
「あの…… 何か駄目でした?」
「む… うむ、ああ、すまん、驚かせるつもりはなかった… いや、だが、それ、以外に……」
「やっぱり、駄目でしたかね?」
「いやいや、テイムが問題な訳ではない、何よりテイムはお互いの了承がなければ出来ぬからな、甥も認めているという事だろう。」
ん、どうしたんだ、ガルムさん、妙に何か気にしてるな……
「すまん、ノアよ、時間をとらせた、長く考えてしまった…」
「いえいえ、こちらこそ、助けて頂きありがとうございます。」
「うむ、ノアよ、あの虫どもは、我が燃やし尽くして良いか?」
良いですよ、と答えようとした時に「ワン、ワン、ガウ、ガウ、ガー」
被せ気味にウルツが話しに入ってきた。このパターンは…
「む、本当に大丈夫か? 甥よ、虫達は数が多い…」
「ワン、ワン、ガウ、ガウー」
「うむ、分かった、分かった……」
ウルツとの話しを終えた、ガルムさんは同情するような目でこちらを見る
「え、ガルムさん、虫は? 果樹園は?」
「うむ、甥が戦いたいらしい、止めたが聞かぬのだ…」
「な、なるほど…」
しかし、オレはどうしても聞いておきたい事があった。
「すいません、ガルムさん、1つ質問して良いですか?」
「うむ、何だ?」
「正直に答えてほしいのですが、このまま2人で戦ってあの虫達に勝てますか?」
「……… 正直に申せば、甥は生き残るが、ノア、お前は死ぬだろう」
「やはり、そうですよね」
そうだよな、さっきの戦いでオレは、ウルツの足を引っ張っていた、何とか改善しないと、一緒に冒険をすると言ったウルツに申し訳がたたない。
「今はな……」
「え、」
「今のまま、戦えば死ぬだろ、しかし、お主は人間だろう、我は人間は弱いが知恵はある生き物だと思っておる、我らに爪や牙があるように人間にもあるのだろう?隠された牙が」
隠され牙か、当てはまるのか分からないが確かにオレは、今まったく違う事を考えている虫からどう生き残るかではなく、人類がどう生き残るのかを
「あの、お願いがあります………………」
「ははははっは、こんなに愉快な事は、ここ100年はなかったぞ、ノアよ、人間とは、とんでもない牙を隠しているものだな…、うむ、黒炎のガルムの名ににおいて約束しよう。誓いが果たされた時………………」
「あ、ありがとうございます、ガルムさん」
「では、ユグドラシルに戻るとしよう」
ガルムさんは、ユグドラシルに帰っていった。
オレはガルムさんを心の中で、アニキと呼んでいた…
「ノア、ノア、キューン」
「ウルツ、お前もいつか、アニキみたいな狼になるんだぞ」
ウルツの目がやる気に満ち溢れている、オレの目もやる気に満ち溢れている
「ウルツ、一緒に虫達と戦うぞ、」
そう、お互いに誓い、がっちり握手をした。
そして、そのまま逃げるように町へ帰った。