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冒険者

「お前達、親子は常識がないのか」


「はい、すいません…」


「まあまあ、ローガン先輩、ノアも謝ってますし…」


「モアメット、お前の事も言っているんだ、お前もノアが倒れてた時同じように叫んでたぞ、まったくお前達、家族ときたら……」


「まあまあ、ローガン、そのぐらいにしてやりな、話しが進まんぞ」


「う、うむ、ノア、その腕はどうした? 倒れる前に何があった?」


レノンさんに助け船を出してもらい、オレは倒れる前に何がおきたか事細かに話していく。


「うーん、なるほど、それは多分、従魔刻印だな、しかし不思議だな?」


「え、何が不思議なんですか?」


「いや、従魔刻印は、従魔師なら誰でも持っている物だ、なあ、レノン?」


「ああ、けど、ノア坊の腕の従魔刻印はオレ達が見たのと違うんだよな…」


「え、何が違うんですか?」


「いや、オレ達のパーティーにも従魔師がいたんだけど、そいつは10体くらいテイムしてたけど、小さな線が数本、腕についているだけだったぞ…」


隣に座る、父さんは顔を真っ青にして油汗をかいていた… 


「なるほど、確かにフェンリルを1体テイムしただけでこんな風になるなんて変ですね?」


「うん、そうだな、フェンリルを1体…、ん、ん、すまん、ノア、もう1度言ってくれ、最近は耳が遠くてな、幻聴が聞こえたようだ。」


「あ、はい、フェンリルを1体テイム…」


「フ、フェ、フェンリルーーーーーーーー!」


ローガンさんの声がフロルの町に響いた。


「ちょっと、ローガンさん、近所迷惑ですよ」


「す、すまん、というか今のはお前が悪い、なあ、レノン」


「………………」


レノンさんは、白眼を剥いて気絶していた。


「レ、レ、レノンー」「レノンさんー」


オレとローガンさんの声が、またフロルの町に響いた。




それから、数分後に復活したレノンさんを交えて


再び、森での出来事を話し始める。


「……という感じで、ウルツを預かる事になったんです。」


「………………………」


「あのー、何か質問ありますか?」


「………………………」


部屋に沈黙が訪れ、ローガンさんが口を開いた。


「まず、1つ、良く生きて戻った…」


父さん、レノンさん、ローガンさんに誉められる


「そして、辛い記憶かもしれんが、死んでいた人間の冒険者の顔を分かるか?」


「はい、ちょっと待って下さい」


オレは、スキル、イメージ筆写を使い、木の板に、目撃した人間の死体の絵を書いていく。それを見てローガンさんは、顔を強張らせる。


「なるほど…、レノン、モアメット、見てみろ」


ローガンさんは、木の板を、レノンさんと父さんに渡す。

先に声をあげたのは父さんだった。


「ローガンさん、これ、Bランクパーティーの鋼の盾のハインツじゃないですか、それにこれ、他のメンバーも」


有名人らしい、確かに今思い出せば、死体の人数は5人で中々の装備を持っていた。


そして、レノンさんが口を開いた。


「ローガン、確かに鋼の盾の連中は、昨日依頼を受け付けした時から連絡が途絶えてる、簡単な依頼だから、失敗するようなレベルじゃない…」


重い沈黙が流れる


「すまん、ノア、助かった、お前が居なければ、ハインツ達の墓すら建ててやれんとこだった…」


その言葉を聞いてオレは涙が出そうになる。


「いや、オレは何も出来ませんでした、フェンリルとあった時も恐くて…」


「何を言うか、お前には恐怖に駆られ、逃げるという選択肢もあった、しかし、家族や町を守る為、敢えて過酷な道に進んだのだ、恥じる事は何もない、そしてその結果によってハインツ達の死は確認され、フェンリルとの知己を得た、これはフロルの町に、いや人類にとって、とても大事な事だ、他の誰に何を言われても、ワタシはお前を行動を指示する、何故ならお前は冒険をしたからだ。」


「冒険?」


「ああ、冒険だ、ノア、冒険とは何か分かるか?」


「いえ、分かりません?」


「ノア、冒険とは、未知に挑む事だ」


「未知に挑む…」


「うむ、危険だったかもしれん、怖かったかもしれん、だが楽しかったろ」


「え」


その瞬間、今日おきた出来事がフラッシュバックし、自然と笑顔が漏れていた。

父さん、ミリア、ソフィア姉、ウルツ、姫フェンリル、アデルさん、レノンさん、ローガンさん… 今日1日で本当に色んな事があった…

オレは、今日の事を思い返しながら返事をする。


「はい、そうですね、確かに今日が生きてきて1番怖かったけど、1番楽しかったです」


「うむ、そうだろう、ノア、覚えておけ、未知とは人が求めてやまぬ物なのだ…」


「未知を求める…」


「ああ、そうだ、ノア、冒険者になる方法を知ってるか?」


「いえ、知りません」


「そうか、ならば教えてやる」


ローガンさんは、レノンさん、父さん、と軽く目配せをした、そして


「フロルのギルドマスター、ローガンがここで宣言する、モアメットの子、ノアを未知への追求者と認め、冒険者にする事を、誰か異議のある者は前に出ろ」


「異議なし」 「異議なし」


父さんとレノンさんが答える。

冒険者へのなり方は、ギルドマスターの許可とギルド職員2人以上の了承だった。


「これより、モアメットの子、ノアを冒険者として認める」


ぱちぱちぱち、父さん、ローガンさん、レノンさんが拍手してくれる。

父さんも涙を流して喜んでくれた、オレも笑いながら泣いていた。




母さんが死んでから7年


自分の無力さ痛快し、強くなる決意した部屋で


オレは冒険者になった。

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