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まだ恋を知らない  作者: 嘘くん
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一途な秋本律

始業式も終わり、教室で担任の先生がクラスメイトをお互い知るためにと、出席番号順に自己紹介をしてもらうので、3分間考えるようにと指示をした。

そう、俺は出席番号1番だ。毎回このような時は自分の名字を呪いたいと思う。もし結婚できたら、子供に同じ経験をさせないように、奥さんの家に嫁ごうとすら考えている。

そんなことより、もう3分だ。ウルトラマンの体力の短かさを痛感する。よくこんな短時間で怪獣を倒せたものだ。ボクシングならワンラウンドKO勝ちだ。ウルトラマンすげぇーと感心した。

とりあえず適当に終わらせよう。

先生「では秋本君からお願いね、みんなの方を向いて言ってね」

律「はい」俺は立った。

 「秋本律といいます。部活は帰宅部です。よろしくお願いします。」一応ぺこりと頭を下げる

先生「少し短すぎるわ!秋本君の好きな食べ物は何?ニックネームとかある?」

律「好きな食べ物はラーメンです。ニックネームは特にありません。何でも自由に呼んでください」そして、着席する。

先生「はい、どんどん番号順にお願いします」

俺は心の中で、先生まじかんべーんとつぶやく。

自己紹介なんて自由だろ。ほんとめんどくせぇーな。皆んな俺のことなんて興味ねぇーんだよ。あーだりぃー。

海「はい、天野海斗といいます。部活は野球部です。好きなものは漫画です。名前は天くんでも、海くんでも何でも大丈夫です。この1年間よろしくお願いします」

クラスの数人がほほえむ。

いいなー海斗のやつはやっぱり人付き合いが上手いなぁ。

何人か続いて次は鈴木だ。

冬「鈴木冬華といいます。部活は美術部です。よろしくお願いします」

ボゾボソっと言った。先生も女の子だからか、短くても何も追求しなかった。

鈴木は俺と同じで人付き合いが苦手だ。

そして自己紹介は続く、

花「中原花音です!部活は吹奏楽部です。好きなことは音楽を聴くことです。よろしくお願いします!」

俺はその時、教室の外を向いていた。彼女を直視できなかったからだ。そう、彼女こそが俺の想い人だった。相変わらず、声も顔も可愛い、俺のタイプだ。その時いろんな思い出を一瞬で思い返していた。彼女のことは諦めきったつもりでいた、つもりではいたが彼女のことは大嫌いなのに、どうしても好きなのだ。俗にいう振られたけど、彼氏のことが嫌いになれません、というような状態だ。塞ぎ込んでいると、先生が箱を持って目の前に立っていた。

先生「秋本くん!課題のせいで昨日寝られなかったの?大丈夫?」

気づけば、自己紹介は全員おわり、席替えをするそうだ。

秋本「あ、すいません、ぼーっとしてました、課題なんてやってないですよ」

先生「わかりました。あとで職員室に来なさい。早く席替えの席決めるから、番号が紙に書いてあるから、箱から取って!」

律「はい」

後ろの席が当たるようにと思いながら、紙を取った

皆んな紙を取り終わり、黒板に書いた教室の座席の四角にそれぞれ、先生が適当に番号を書いていく。番号が1番から書かれていき、生徒たちは騒いでいる、嬉しそうなやつと悲しそうなやつ、すぐ見たら分かるような顔をしていた。俺の後ろの海斗もその1人で悲しそうな顔をしていた。

律「おい、海斗何番だ?」

海「1番前のど真ん中、教卓の目の前だよ」

律「あの席は可哀想だな。毎日頭はよく洗えよ、先生の喋る時に出る唾を毎授業浴びるんだからな」

海「うっせぇー潔癖やろう、お前はどこなんだよ」

律「まだ分からん、ちなみに36番だ」

海「まだ俺の横が空いてるから、お前は間違いなく俺らの友情という固い絆で俺の横になるだろうな」

俺は36番でそろそろである。

やった!心の中で俺も叫んだ。

左後ろの窓側の角の席だ。

たくさん寝れる。

律「残念だったな海斗、俺は左後ろの角で神席だ」

海「この裏切者が」

先生が全ての席番号を書き終わり、移動するように指示をする。

俺も心の中では喜びながらも、表情には出さず、移動する。

早速さと移動を終え、ぼーっとしてると、驚いた。

律「まじか」

不意に心の声が少し出てしまった。

たぶん彼女に聞こえてはいない。

俺の隣に来たのは花音、いや、中原さんだ。もう関係もないから中原さんと呼ぶばなきゃ。

花「あら秋本君、隣よろしくね」

いや、普通に喋ってくんのかよ、いや、どんな根性してんだ、こいつは、鉛の心臓の持ち主か、いや、もうなんならゴーレムなのか、心がないのか、

律「おう、よろしくな」

やっぱ女なんて、特にこいつはクソ野郎だな、あー最悪。でも可愛いと思ってしまう自分がいる。それがまた許せない。こいつはクソ野郎だ、メスブタだ、最悪な女だ、と何度も言い聞かせるが、至近距離で見ると可愛さが倍増する。

気を紛らわすために、海斗の方を見た、海斗の隣は鈴木だったようだ。いつものように仲良しそうに喋っているように見える。そう見えるだけで、多分、海斗が罵られているだけだろうなと1人思う。

そしてその後、気づけば、帰りのホームルームも即終わり、やっと長い1日が終わる。

海「おい、律!今から鈴木と3人でナイゼリア行くぞ、休み明けから赤点は不味いからな、鈴木に勉強教えもらうぞ!鈴木の分のドリンクバーは俺ら2人で割り勘な、よし行くぞ」

律「俺はまだ行くなんて言ってないぞ」

律「そーいえば、よしいくぞ、よしいくぞう、吉幾三っていう人いなかったけ?歴史かなんかで」

海「お前はいっつも変なことばっか気にするよなー変なやつ」

冬「吉幾三は歌手よ、まだ生きているわ、勝手に歴史の人にしたら可哀想よ」

律「あーなんかいたなー」

海「あ、俺思い出したぞ!俺ら東京さ行くだってやつ歌ってる人だよな」

律「あーそうだな俺も思い出した、さんきゅーな」

海「それならカラオケでも行くか!」

冬「カラオケなら私は絶対行かないわよ」

海「わかったわかった、鈴木は音痴って言ってたもんな、ナイゼリア行くか」

冬「殺す、ナイゼリア毒物混入殺人事件でも起こしてやろうかしら」

律「許してやってくれ、こいつには悪気がない、ただのバカなんだ」

冬「そんなの知ってるわよ」

海「うるせぇーさっさ行くぞ」

律「わかったわかった、行けばいんだろー行けば、、、」

秋本律は職員室に呼び出しをくらったことをすっかり忘れ、次の日、先生にシバかれた。


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