Ⅰ・月夜の出逢い――その⑧
「なんだあ。じゃ,あたしと同い年ってことだよね。よろしく,ミシェ」
彼女がこっちの世界(って言ったらなんかヘンな感じだけど)ではあたしと同い年だって分かったら,急に親近感が湧いた。相手は魔女なのに,警戒心はどこかに行っちゃったみたいだ。
「――ところで,カナ。あなた,悩んでることがあるのでしょう?」
ミシェが,あたしの目をまっすぐ見て問いかけてきた。しかも断定形で,だ。
「えっ,なんで知ってんの⁉」
「言ったでしょう?私はずっと,あなたの様子を水晶玉で見ていた,って」
「あ……」
そうだった。ってことは,この子にはあたしの悩みなんか筒抜けってことか……。
すると,ミシェはニンマリ笑ってこうも言ったのである。
「『あ~あ,いっそのこと,魔法でも使えたら……』,だったかしら?」
「…………あれも,聞いちゃってたの?」
彼女はあっさり「ええ」と頷く。
「だから私は,あなたに会いに来たの。カナ,あなたを私の弟子にするためにね」
「でっ……,弟子ぃ⁉あたしを⁉」
ミシェの予想外の言葉に,あたしは目を剥いた。
「だってあたし,ただの人間だよ⁉そんなことしていいの?」
あたしの問いに,彼女はまたもあっさりと頷く。
「もちろんよ。ただ,人間が魔法を使うには,ちょっとした儀式を受けてもらう必要があるのだけど」