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お話は佳境へ
後で変更箇所が出るかも
私は、エリー様達とあの方ユミコ様の事について対策を講じるべく、【ユウリン館】でお茶会を開いていました。
それと言うのも先日おこなわれた【学園祭】で大勢の方々の前で
「私、『サーラ・F・デルモ』にイジメられて学園で仲間はずれにされているの……。」
「【聖女】の私をイジメるなんて、今に天罰が下るわ!」
「あんな人の味方をすると、あなた達にも天罰が下るわよ!」
などと、根も葉もない事を言われました……
あの人の件があったので、学園のほとんどの方々は聞き流していましたけど。
しかし、他国から来た方々やヤータ教の一部の聖職者、熱心な信者の方々は、私を不審な目で見始めるようになってしまいました。
このままでは、エミール様との結婚も危うくなってしまいそうです。
そこで、エリー様達と密かに集まってお茶会を開く事にしたのです。
それなのにどこから聞きつけたのか、数名の聖職者や信者の方々と【ユウリン館】のスタッフの方達の制止も聞かず、私達の部屋に押し入って来たのです。
「こんな所でコソコソと、悪巧みをしていたんですね!
私の目を誤魔化せるとでも、思っていたのかしら?」
学園の制服を可愛いらしく着こなし、如何にもヒロイン気取りのユミコ様。
やはり、あの人と同じ匂いがします。
だいたい私達が、いつ悪巧みをしたというのでしょうか?
「あなたの家が悪事を働いているのは、わかっています!」
自信満々で、宣言されておられますが悪巧みって!?
私の家が、悪事って何の事ですの?
具体的な事は、いっさい言われないのですね。
「ジェスト様を解放してあげてください!
爵位を盾に、無理矢理婚約するなんて、酷いです!」
如何にも、ジェスト様を心配されているように、眉間にシワを寄せて言っていますけど『付き纏って、ご迷惑をおかけしている』のは、あなたの方ですわよね?
ユミコ様!
風紀委員長のジェスト様を解放って、何からですの?
爵位を盾にって、私の家とジェスト様の家は、同格の伯爵家ですわよ?
それに、私が婚約しているのは、エミール様ですわ!
ジェスト様とは、婚約の話が出た事もありません。
「あなたの所為で、ジェスト様は苦しんでいらっしゃいます!」
えぇ、ユミコ様あなたの言動で……
目を潤ませて心配そうに言われていますが、先日も
「迷惑だから辞めてください!」
と、言われたばかりでは?
そもそも、どこからジェスト様の名前が出て来るのですか?
「自分は男性を侍らせているのに、酷いです!」
こちらを非難する事ばかり言っていますけど、ご自分こそ、見目の良いヤータ教の聖職者や信者の男性を侍らせているのに、その台詞はブーメランですわよ。
その言葉を発した瞬間、部屋の空気が変わりました。
「誰が…男だって?ボクは、女の子だよ!」
今まで、ユミコ様の言動に呆れて黙っていた、シノン様から低い声が聞こえ、かなり怒っておられるのがわかりますわ。
「えっ?そんな!?何で女なの?シナリオにそんな事、書いてない!」
真っ赤な顔で慌てて取り繕ろおうと、されていますけど無理があると思います。
「それとも、私の知らないルートでもあったの?」
と、訳のわからない事を言っています。
すると、キイナ様が、
「シナリオですか?
君よく言ってるみたいだけど、『世の中を演劇の世界』とでも混同しているのかい?
だとすると、かなり危険な発想だね。
それこそ、ヤータ教の教義に反しているのじゃないか?」
キイナ様の言葉に、あの方の周りにいた方々から、動揺が見られ始めました。
すると今度は、青ざめた顔で
「な、何を言ってるの?
私は神様からお願いされてこの国に来てあげたのよ!
その私が間違った事を言う訳ないじゃない!!」
かなり焦っていらっしゃいますわね。
「僕の親戚で、ヤータ教教会本部に仕えている人がいてね。
今、『ユミコ様という【聖女】が実在している』のか、問い合わせているところなんだよね。」
ターク様の言葉に、益々焦って更に顔色を悪くするユミコ様。
すかさず、エリー様が
「そう言えば私、あなたが『聖魔法』を使用しているのを、一度も見た事ありませんけど……。
本当に使えるのですか?」
あら?そう言えばそうですわね?
すると、ユミコ様の周りにいた方々の1人が、激昂されて
「何を言ってる!ユミコ様は先月おこなわれた、【合同演習】で大勢の学園生を治療されたのに、上位貴族に手柄を無理矢理奪われた!のは、ここにいる全員知っているんだぞ!」
「「「「「そうだ!そうだ!!【聖女】ユミコ様に謝れ!」」」」」
それを聞いたユミコ様は、今度は真っ青を通り越して真っ白な顔で『シマッタ!』、というような顔をされました。
はい?
この方、何を言ってますの?
まだつづきます。