美しいモノ・集めるモノ /命をトるモノ・2人
翌日、学校では例の事件のことで騒ぎになっていた。
だがナツキにとっての救いは、周囲の生徒達が興味本位で話しかけることがなかったことだろう。
みな、ナツキとコンピュータ部を心配し、サイトのことも気にかけていた。
警察のパソコンの調べもすぐに済み、部員達は無罪であることを証明された。
だが殺人事件の犯人は捕まらず、生徒達は集団下校をするよう言われた。
地域ごとに教師が一人つき、ナツキの方向にはタカシナが担当することになった。
「何だか怖いよねぇ。学校近くで殺人事件、その現場の写真がウチの部のサイトに載せられるなんてさ」
同じ方向に帰る部員の一人が、ナツキに声をかける。
不安そうな表情は、学校の生徒達全員がしている表情だった。
一応警察も見回りをしてくれるし、遅くなる時は教師が必ず送ってくれることになっている。
教師の都合がつかない時は、親や兄弟などの送り迎えも許可されるようになった。
「うん…そうだね。早く事件が終わるといいね。そうすればサイトも早く復活できるかも」
ナツキは励ますように笑って見せる。
だが少し心苦しいようで、不安が見え隠れしていた。
「サイト、かぁ…。もう一旦閉じて、別のリニューアル版を作った方が良いのかも」
「あ~そうだね。時間と手間がかかるけど、そうした方が良いかも」
サイトは閉じているとは言え、すでにネット上ではかなりの噂となっていた。
「あ~あ。せっかく作ったのに、一からやり直しかぁ」
「またみんなで頑張ろうよ。ボクも頑張るから!」
「ナツキ…。うん、そうだね。みんなで頑張れば良いよね」
「うん!」
明るく言ったところで、ナツキの家の前に着いた。
「それじゃね」
「うん、バイバイ」