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コウガは眉をひそめながら、写真を凝視する。


男性が倒れている近くにはゴミ袋が重なり、山になっている。


そして灰色のコンクリートの壁と壁の間に死体はあり、その地面も汚れたコンクリートだ。


「だろうな。傷口からして、心臓を刃物で刺されたんだろう。恐らく即死だな」


低い声でシキは呟き、画面から手を放した。


すると写真は一瞬にして黒く染まり、次に映ったのはサイトの入り口だった。


「あれ? シキ、何かした?」


「していない」


コウガは眼を丸くしながら、再びあの写真を見ようとした。


だがどんなに探っても、あの写真は出てこなかった。


「…もしかして、消されたかな?」


「サイトの管理者か?」


「あるいは投稿者。二人のどちらかであれば、投稿した写真は消せるから」


コウガはため息をつきながら、キーボードから手を離した。


「でもどちらにしろ、あんなモノを美しいと思う人がいるってことか。人間もキミ達以上に恐ろしいモノだね」


「それはマカがよく言っていたな」


シキは皮肉めいた笑みを浮かべた。


「『下手な人成らざるモノより、普通の人間の方が恐ろしく思う時がある』と、口癖のように言っていた」


「彼女、苦労性みたいだね」


コウガは以前、ほんの僅かな時だがマカと接触した。


その後シキからマカのことを聞き、気の毒に思ってしまった。


シキと同じ血族として同属をまとめ、そして人間との接し方でいろいろと悩んでいるらしい。


しかも問題はいつも、彼女の近くで起こる。


そのことをシキは、マカ自身のせいだと言っていたが…。


「さっきの写真、シキは何か感じた?」


「いや? 特におかしなところは感じられなかった。ただ人が撮った普通の写真だろう」


「死体の写真は『普通』とは言わないんだけどね…」


コウガはスッと眼を細めた。


シキもそうだが、コウガもあの写真が本物であることを気づいていた。


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