2
コウガは深く息を吐いた。
シキと共に生きることを決めたのは自分自身だ。
しかし一緒にいるうちに、生活能力のなさに嘆くことはほぼ毎日だった。
だが追っ手を振り払うシキの戦闘能力の高さには、素直に尊敬していた。
「お前がマカのことを言える立場か?」
シキは赤い眼を細め、笑いながら間近でコウガの顔を見る。
「…それを言われると弱いんだけどね」
シキに人間を食べさせる為だけに、人間の興味を引く動画サイトを作った。
結果かなりの人間が犠牲となったが、コウガの心は痛まない。
すでにコウガの心は決まっていた。
どんなことが起ころうと、何をしようと、シキと共に生きることを―。
「―で? その写真がどうかしたか?」
「いや、人の好みっていろいろだなって思って」
そう言ってコウガはキーボードを操作し、シキに次々と写真を見せていった。
「一言に美しいモノと言っても、いろいろあるんだなって」
コウガの言う通り、サイトにはさまざまな写真が載っていた。
それは人であったり風景であったり、または家電やビルなど、人の価値観がそれぞれであることを表していた。
ふと新着の表示が出て、コウガはそこを開いて見た。
「…えっ?」
「何だ? コレは」
しかしその写真を見た瞬間、二人の表情は固まった。
シキはコウガから離れ、画面に触れてじっと写真を見つめた。
「何故、死体の写真など載っているんだ?」
画面いっぱいに映っているのは、一人の男性の写真だった。
スーツを着た、まだ二十代ぐらいの男性は、胸の辺りから血を流し、地面に倒れていた。
「この場所…どこかの路地裏か、ビルの裏か?」