3
「ありがとう。お前にそう言われると、少し気が楽になるよ」
「うん…。でも先生は警察にそのことを言いに行ったんだよね? じゃあ犯人は…」
「そのうち捕まるだろう。彼の持っていたパソコンからも、証拠が出てくるだろうしな。…それにわたしの罪も」
「先生…」
「いくら情報を盗まなかったとはいえ、わたしのしたことも罪だ。彼と何ら変わらない」
「そんなっ…! …そのことも警察に?」
「ああ…。黙っているわけにはいかなかったからな」
タカシナは苦しそうに眉を寄せた。
「…先生も、裁かれるの?」
「どうだろうな? とりあえず解放はされたが…学校は辞めることにしたよ」
「えっ? 辞めるって…」
眼を見開くナツキに、苦笑を浮かべて見せる。
「もう辞職届は出してきた。今日から無職だな」
「やっヤダ! 先生を辞めるなんてイヤ!」
ナツキは堪らず立ち上がり、タカシナに抱き着いた。
「ナツキ…」
「ヤダよ…。ボクの側にいてよ、先生ぇ…」
泣き出すナツキの背中を、優しく撫でる。
「すまない。けどもう受理されてしまったんだ。教師としては側にいられないが、…お前が望むのなら、別の形で側にいたいと思う」
「タカシナ先生…」
涙で濡れた顔を上げ、愛しい男の顔を見つめた。
「しばらくは表立っては会えないだろうが、落ち着いたら…な?」
「…うん、ボク、待ってる。先生のこと、ずっと待ってるから」
「ああ」
タカシナは優しく微笑み、ナツキにキスをした。




