初めてのハダカ(以下略)
すみません、久しぶりの更新です。
朝のほんの少し肌寒い並木道を俺と芽愛は並んで歩いている。しかも、手を繋いでいるんだから芽愛のデレぶりが可愛くて仕方がない。
「先輩、、、今日の私どうですか?」
「えっ?どうって?あっ、、目の下にクマ?どうしたの?芽愛、昨日眠れなかったのか?」
芽愛は目の下に薄っすら、くまが浮かんでいて、なんとなくいつもより元気がないように見えた。
「ばかぁ、どうしてそういうデリカシーがないこと言うんですか?夜中まで頑張ってメイク変えたんですけど、もしかして気付かなかったんですか?」
芽愛は『心底信じられない』ような顔をしていた。もしかして、呆れられているんだろうか?
確かによく見てみると目元とかちょっと
「いや、そう言えば変わったかもしれないな。
でも、『メイク変えた』って学校でメイクしてていいのか?」
そう、注意されないのだろうか?
もし注意されないとしたら俺も女装して学校に‥‥いかないけどな。
「えっ??でも、すっぴんで学校行くとか恥ずかしくないですか?」
恥ずかしい?
俺もすっぴんだぞ。
それに‥‥
「そういうもんなのか?でも、刹那とか、あれ?すっぴんだろ?恥ずかしがってないぞ」
「あ〜っ、すっぴん風メイクですよ、あれって普通のメイクよりよっぽど手間がかかるんですから。」
芽愛は完全に呆れ顔だった。
いや、だって女の子の化粧事情とか俺が知るわけないだろ?
「あっ。まぁ、とにかく俺の為に芽愛は頑張って化粧してくれたってことでいいんだよな?」
その気持ちが嬉しくて、なんだか目の下のクマまで愛おしく見えるから不思議なものだ。
「別に、、、先輩のためにしたんじゃないですからね。」
更にテンプレのツンデレみたいな事をいう芽愛を思わず抱きしめたくなるのを堪えた。
「いやぁ、芽愛って本当に可愛いな。」
「先輩‥‥」
急に芽愛が真剣な顔に変わる。
そして足を止めた。
もしかして、ここで、キスをするのだろうか?
予習なんてしてきていないけど、うまくやれるか?
ドクンドクンと鼓動が煩いほどボリュームを上げるが、怖気付くわけにはいかない。
俺は勢いで彼女にキスを‥
「先輩のニヤケ顔。ハダカデバネズミみたいで、キモい」
芽愛は至って真顔だった‥‥。
というか日常会話でハダカデバネズミとか初めて聞いたわ。確かにあれはキモいけれども。
なんなら排泄物とか食べちゃうけども、キモ可愛い分野かと思ってたわ。
ちなみに俺は排泄物を食べるような業の深い性癖はもっていないから安心してくれ。
「いや、だって芽愛ってば可愛すぎ‥」
言いながら自分の顔が点火したかのように熱くなった。いや、さすがに本人目の前にそんなこと言うのは照れるな。
「先輩、、、ってほんとうにどうしようもなくバカで悪趣味ですよね。どっちも死なないと治らないでしょうけど」
呆れたように呟いてソッポを向いた芽愛は耳まで真っ赤だ。
控えめに言っても可愛すぎる。
しかし、そこで邪魔が入った。
「ん?あれ?相原さん、こんなことで何してるの?」
芽愛に話しかけたのは見知らぬ女の子だった。
ポンパドールと呼ばれるフランス王ルイ15世の愛妾だった彼女の名前を冠する髪型の持ち主はニコリと笑った。
しかし、目が笑っていない。
それに感づいたのか芽愛はビックリした猫みたいに髪の毛を逆立てた。
「ん?友達って感じじゃないな?」
「ん、何言ってるんですか?私は相原さんのクラスメイトですよ。クラスで一番仲が良いんですから。」
えっ?
『相原って友達いたのか?』なんて思うのは失礼なことだろうか?まぁ、でもいい事だよな。
「そうか、友達。。仲良くしろよ。」
そう言って俺はその場を去った。
芽愛の顔を見ていたら、きっとそんな馬鹿なことはしなかったのだろうけど。その時の俺は全くそのことに気づいてはいなかった。




