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初めてのめーちゃん


前を歩く芽愛がぴたりと足を止めた。


どうやら、目的地に着いたようだが‥‥


辺りを見渡すと高級住宅が眼前に広がっている。

まぁ、漫画に出てくるような豪邸ではない。


ただ、それでも恐らく数億は金がかかっているのだろう。敷地も建物もバカでかい。

それに、車庫には車が3台も止まっている。


その車も跳ね馬の愛称で知られるフェラーリだったり、シュトゥットガルト市の市章に限りなく近いと言われているエンブレムが燦然と輝いているポルシェだったり、いかにも高そうな車で思わず見ほれてしまう。



かっ、カッコいいな。

まぁ、俺が買えるのはせいぜいミニカーで、こんな車、一生乗る機会はないだろう。



「先輩、車好きなんですか?」

「ああっ、さすがにカッコいいよな。」



「そうなんですね。やっぱり男の子です。先輩にプレゼントしてもいいかパパに聞いてみますね。」


芽愛は笑顔を浮かべる。



ちょっと待て。

それじゃ、単なるタカリじゃないか?



「いやいや、そんなこと頼んだら、お父さんの俺に対する印象最悪じゃないか?それにまだ免許取れないから乗れないし。」


俺は丁重にお断りする。

親切心なのだろうか?

芽愛の思考回路がホントによくわからない。



「そっかぁ、じゃあ今度のデート、パパに運転手してもらおっかな。先輩もそれでいいですか?」

芽愛の表情に喜びの色が宿る。


いやいや、お父さんと一緒に芽愛とのデートなんてお父さんと俺にとっては単なる拷問でしかないじゃないか。嫌がらせか?


‥しかし、芽愛の口元にはまだ笑みが残っている。

つまりは天然なのだろう。


俺は仕方なく、芽愛に土下座をかまして芽愛の誘いを断るのだった。






「あなたがめーちゃんの彼氏さん?」

家に入ると、芽愛のお姉さんに出くわした。


俺は芽愛にお姉さんが居ることなんて全然知らなかったな。もしかして、俺ってば彼女の事あんまり知らないな。こんなにお金持ちなのも初めて知ったし。



ところで、めーちゃん?って?

誰だよ?


俺が戸惑いの表情を浮かべていると、お姉さんがパンッと手を叩いた。



「あっ、あらあら、ごめんなさい。私はめーちゃんの母の真珠よ。今日はよく来てくれたわね。」


「あの、めーちゃんって?誰ですか?」

俺が尋ねると、真珠さんは芽愛を指差した。


芽愛は真っ赤になった上、なんだか居た堪れないような表情を浮かべている。それによく見てみると涙目だ。正直、俺も気まずい。


まぁ、親に何てよばれてるかなんて、恥ずかしくて聞かれたくないよな。


「そうですか‥お母さ‥えっ?お母さん?お姉さんじゃなくて?」

いや、お母さんって‥どう見ても20歳くらいにしか見えないのだが。



「フフフフフッ、お上手ね。じゃぁ、やっぱりあなたが、めーちゃんの王子様?」



お、王子様?

えっ、俺って家ではそう呼ばれてるの‥‥?



マジか?


無意識に視線が芽愛を捉える。



「ちょっ、ちょっと、、ママ違っ、、いや、違わないけど、違うのぉっ。」


数瞬後、視線に気付いた芽愛の絶叫が家にこだました。


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