はじめてのかんざきせつな
お待たせしてすみません。
少し書き溜めてました。
あと、新作【美少女達の僕への評価は五つ星】もよろしくお願いします。
わたしの名前はかんざきせつな
8さい。
パパが大すき。
ママが大すき。
おじいさまが大すき。
バイオリンが大すき。
絵と音楽も大すき。
青い空も大すき。
雨のにおいも大すき。
雨上がりのにじも大すき。
ぶっくんをからかうのが大すき。
ぶっくんのてれた顔が大すき。
ぶっくんのがんばりやさんのところが大すき。
ぶっくんのすなおじゃないやさしさが大すき。
ぶっくん、大大だ〜〜〜いすき。
「ん、う〜〜ん、、、あっ、夢だったんだ?夢、、、、じゃなかったら良かったのに。」
私はピカピカの記憶ばかりの夢から覚めました。もちろん、ここにぶっ君はいません。
私の名前は神埼刹那
年齢は17歳
趣味はピアノ。
そう、バイオリンはやめてしまった。
それに、夢いっぱいのセツナちゃんはもう何処にも居ない。
青い空は嫌い。
だって太陽の光で私の醜い心が露わになってしまうかもしれないから。
雨の匂いも嫌い。
ぶっ君と離ればなれになった時のことを思い出すから。
雨上がりの虹も嫌い。
楽しい時間は短いと思い知らされるから。
人をからかうのが嫌い。
ぶっ君との楽しいを思い出が蘇るから。
お兄様が嫌い。
お父様が亡くなった途端に『連れ子は神埼家から出て行け』なんて言っていじめるから。
お姉様が嫌い。
お父様が亡くなった途端に『あなたは連れ子なんだから私に逆らってはダメよ。幸せになってもダメ』なんて言って私を苦しめるから。
お爺様が嫌い
お兄様もお姉様もお爺様の差し金だから。
自分なんて大嫌い。
そんな事言われてもされても、ぶっ君と別れさせられても平気なフリして生きているから。嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い、だ〜い嫌い。
「お嬢様、ボーっとしてどうしたんですか?朝食の時間に遅れてしまいますよ。」
「ごめんなさい、五次方程式で、ちょっとわからない事があって、頭の中で確認してたの」
「相変わらずお嬢様は真面目ですね。研究者の正木様に似たのでしょうか?」
「ううん、私、お父様みたいに頭が良くないから。」
お父様は紛れもなく天才でした。
私が努力してもお父様の域に達するのに数百年はかかるでしょう。
「またまた、ご謙遜を。あっ着きましたね。」
食堂へ着くと既にお爺様とお祖母様、そして、お兄様が座っていた。
「おはようございます。遅れて申し訳御座いません。」
「いや、謝ることはない。まだ3分と25秒前だからな。」
経済界のドンと恐れられるお爺様が時計さえ見ずにそう答える。
失敗した。
ビジネスの世界では5分前行動が基本。
あんな泡沫の夢みたいなものに囚われていなければ十分間に合ったのに。
「どうした?早くしないとスープが冷める。」
しかめっ面でそう告げるお爺様が言うスープはお爺様の大好きなミネストローネ。
それを冷ましてしまった私を叱責する。
それを見てお兄様はニヤニヤと笑みを浮かべている。昔よく見た光景。最近は言動、行動、全てに気を配っているからこんなミスはなかったのに。
「そう言えば、セツナ。」
「はいっ、お爺様なんでしょうか?」
お爺様に急に話しかけられて、伸びた背筋が更に伸びたような気がした。
「いや、、、、て、、テスト。そう試験の結果はどうだったのか?」
お爺様にそう言われて私は少し安心しました。
「はいっ、お爺様。学年一位でした。」
なるべく驕りのないように淡々と返答する。
「ああっ、そ、そうか。それは良かっ‥コホン、勝って兜の緒を締めよと言うものだ。これからも神埼家の名に恥じぬように精進することじゃな。何かいり用のものはないか?」
私は一瞬考えるフリをしますが答えは決まっていました。
「いえ、特に御座いません。いつもお気遣い感謝いたします。」
「そうか。」
お爺様は何かに耐えるようなすごい目で此方を睨んで、数瞬経つと、、、また静寂が食堂を包んだ。
「最近何かないのか?」
またお爺様が静寂を破りました。
しかし、そんなに漠然と聞かれるとなかなか難しいものです。
「そういえば、数日前クラスメイトに落としたハンカチを拾ってもらいました。」
私は切羽詰まって思いつくままに出来事を話してしまい、後で後悔することになる。
「そうか。そのクラスメイトにはさぞお礼をあたえたのだろうな?」
そう、私の予想と違う質問が返ってきてしまったのです。
「えっ、、?『ありがとうございます。』とは言いましたけど。」
正直戸惑いを隠せません。
「ま、さ、か?なにもあげてないのか?」
そこから私が何を言ったのか、、何を言われたのかよく覚えていません。
ただ、私が選択を間違えたという事実だけが私の頭にしっかり刻まれてしまった。
そんな出来事があった数日後、私は命の恩人(橋本くん)に出会って、、その恩返しに奔走することになるのでした。